「気持ちのアップダウンが結構あるんですけど、最近は調子がいいんです。あと、去年まではいろいろと悩んでて、その悩んでるのをぶつける、みたいな気持ちで書いた曲が今回のEPには多くて。でも今はいろんなことが安定していて、違う視線で世の中を見れているので。頭の中が、わりとすっきりしていますね(笑)」
トリオ編成の羊文学のサウンドは、かつてのオルタナティブ・ロックを彷彿とさせる武骨なギターロック。そこで歌われるのは、他者との関係性や世の中との距離感に苦しむ人間の姿だが、これは塩塚自身のことなのだろうか?
「なんでもふたつあるんです。洋服も、派手な服を着たいと思うときと、地味で落ち着いた服を着たいと思うときとあるし。音楽も、激しいものを聴きたいときと、落ち着いた音楽を聴きたいときと、両極端のふたつが気持ちの中にあることが多くて。
だから『ひとりでどこかに行きたい』と自分で仕向けてるのに、『なんで私にかまってくれないんだ?』と思ってしまうこともある。あと、言いたくても言えないという気持ちもあるんです。調子によっては人と話すのが得意じゃないから、言いたくても、あぁもうダメだと思ったら、言えない。そういうのが残っちゃって、それを曲にして伝えちゃう……みたいな」
塩塚の中で起こる感情の起伏が曲の起伏となり、繊細でダイナミックな音楽を生み出しているよう。羊文学は平均年齢が20歳という若いバンドなだけに、今後の成長が楽しみだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.134(2017年10月24日発売/太田出版)


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