沖縄県内初とみられる民間のシェアハウス型在宅ホスピスの開所計画が進んでいる。医師、看護師、作業療法士の3人が共同代表を務めるNPO法人「いきがいLABO」が沖縄市美里で整備を進めている。
終末期の患者が、医療や介護ケアを受けながら住み慣れた地域で、同じ境遇の人と一緒に生活できる。今夏オープンの予定だ。(社会部・屋宜菜々子)
 病院のホスピスではなく、住み慣れた地域や自宅で最期を迎えることを望む人は多いが、家族での見守りが難しい場合もある。
 「『最期の時間を地域で暮らしたい』という当たり前の思いを実現できる場所をつくりたい」
 同法人の共同代表の一人、医師の長野宏昭さん(44)はその思いで構想を練ってきた。
 長野さんが院長を務める訪問診療クリニックや訪問看護、介護事業所などが入居する3階建てビルをリフォームして開設する。
 2階部分に在宅ホスピス「いきがいの家」を整備する。
個人の空間を確保するため寝室を8室設け、リビングやキッチンを共有する。3階のクリニックや訪問看護・介護事業所のケアが受けられる。
 1階には、がんや難病患者、医療的ケア児や認知症の高齢者、その家族らが医療や介護の相談をできる「よりどころ」を開設する。
 看護師で共同代表の親泊朝光さん(45)は「おかえり、ただいまと言える家をつくりたい」と話す。同じく共同代表で認定作業療法士の田村浩介さん(46)はよりどころについて「気軽に集い、相談できる場所にしたい」と意欲を語る。
 先月24日には、取り組みを知ってもらおうと医療関係者向けに見学会と講演会を開いた。
講演会では、がん患者などが看護師や心理士に無料で相談できる「マギーズ東京」(東京都)の秋山正子センター長が「地域の人に理解し支えてもらうことが大事だ」とアドバイスした。
[ことば] 在宅ホスピス
 終末期の患者に対し、医療機関ではなく、自宅や地域で緩和ケアをすること。訪問診療・看護・介護などを利用しながらその人らしい生活を目指す。自宅での生活が難しい場合はシェアハウスなどの民家で、同じ境遇の人と過ごす方法もある。最期を住み慣れた場所で過ごしたいというニーズは高く、高齢化に伴い死亡者が増加する中、ケアする人材の育成や確保、自宅以外の受け皿の整備が課題になっている。
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「最期の時間」は住み慣れた地域で シェアハウス型在宅ホスピス、今夏オープン予定 NPO「いきがいLABO」が沖縄市で
NPO法人いきがいLABO共同代表の長野宏昭さん(左)と親泊さん