直木賞をはじめ数々の賞を受賞し、昨年11月5日に100歳を迎えた作家・佐藤愛子氏のエッセイ集を、草笛光子主演で実写映画化した『九十歳。何がめでたい』(6月21日公開)に、歌舞伎界と声優界それぞれの“プリンス”、片岡千之助宮野真守が出演していることが明らかになった。

 老後の諸問題をユーモアを交えながら描いた『老後の資金がありません』(21年)の前田哲監督による本作は、主人公の愛子が、作家生活を引退し来客もなくなり鬱々と過ごしていたところに、時代遅れな中年の編集者・吉川真也(きっかわ・まさや)がエッセイの依頼を持ち込むところから始まる物語。

 祖父は人間国宝・片岡仁左衛門で歌舞伎を主軸に国内外で活躍の幅を広げる千之助が演じるのは、愛子の連載を担当する編集者・吉川(唐沢寿明)が所属する編集部の若手社員・水野秀一郎役。脚本を読んだ感想と水野というキャラクターについて、「心が温まるし、笑いもありで、幸せな気持ちになれて、老若男女が楽しめる作品だと思います。水野は今時の男の子、今時の社会人という部分では吉川と面白い対比になるキャラクターだと思います」とコメント。

 撮影現場については「前田監督と草笛さんのお二人の特別な空気感のやり取りが面白かったです。唐沢さんはいつか共演させていただきたいと思っていた憧れの方だったので、それがかなったのがうれしかったです。気さくな方で、一緒にお芝居出来ている実感もありながら、まだちょっと夢のような感覚もあります」と、笑顔で撮影のエピソードを語っている。

 一報、声優・歌手としてだけでなく、近年は俳優としても活躍している宮野は、同じ編集部の編集長・倉田拓也役を演じる。唐沢演じる吉川の上司役としてオファーを受けたことについて、「それってどんな役だ?恐れ多いなと思ったんですけど、後輩だけど出世して今は上司になるという形だったので、なるほどと。唐沢さんと実写でご一緒できるって本当に心からうれしかったので、出演できて良かったなと思っています」と話す。

 また、「唐沢さんが隙間の時間で常にいろんなお話をしてくれて、今カメラの前では言えないようなものも含めて(笑)。ミュージカルの話、舞台の話、アニメの話だったり、一瞬ではありましたが、そこで先輩後輩の空気感を構築できたのでシーンには自然と入っていけたのかなと思います」と、短い撮影時間で関係性を築いていったことを明かしている。

■片岡千之助のコメント

 最近映像の作品にチャレンジをさせていただいている中で、本作のオファーはとても嬉しくて。撮影がとても楽しみでした。

 脚本は心が温まる上に笑いもありで、幸せな気持ちになれて、老若男女が楽しめる作品だと思います。水野は今どきの男の子、今どきの社会人という部分では吉川と面白い対比になるキャラクターだと思います。

 現場では前田監督と草笛さんのお二人の特別な空気感のやりとりが面白かったです。唐沢さんはいつか共演させていただきたいと思っていた憧れの方だったので、それがかなったのがうれしかったです。気さくな方で、一緒にお芝居できている実感もありながら、まだちょっと夢のような感覚もあります。

 良い意味で、強烈な個性のあるキャラクターに囲まれた面白い作品なので、いろんな方に見ていただいて、このハッピーな雰囲気をぜひ味わっていただければと思います。

■宮野真守のコメント

 オファーを受けた時、びっくりしました。お話の内容を聞いた時に、唐沢さんの上司という事で、それってどんな役だ?恐れ多いなと思ったのですが、元々は後輩だけど出世して今は上司になる形で、なるほどと納得しました。唐沢さんと実写でご一緒できるって本当に心からうれしかったので、出演できて良かったなと思っています。

 監督ともすり合わせをしながら、現場を明るく楽しくをモットーに、社員のみんなが笑顔でいられるような現場作りをしている編集長の空気感は出せたと思っています。最初は緊張で硬くなってしまっていたのですが、唐沢さんが隙間の時間で常にいろいろなお話しをしてくれて。おかげで先輩後輩の空気感を構築できたので、演技には自然と入っていけました。

 佐藤先生と吉川がぶつかり合いながらも、その想いを共有していって、人生を楽しむことの指針のようなものを見てる側にも気づかせてくれる温かい作品だと思います。その中で、僕も倉田として皆さんの印象に残るような参加の仕方ができればと思って全力で臨みました。

 生きるとは大変だということをいろいろな形で示してくれますが、同時に生きるとは何て素敵なんだということにも気づかせてくれて、人生に温かく寄り添ってくれる言葉や思いをたくさんもらえる作品です。たくさんの方に観ていただきたいと思っております。