生田絵梨花が、ソロデビューを果たした1stEP『capriccioso』(カプリチョーソ)が4月10日に発売された。コロナ禍のステイホーム期間で音楽を改めて学んだことがデビューのきっかけだったという生田に、本作を制作するにあたってのエピソードやソロデビューへの思いを聞いた。


 タイトルの「capriccioso」は“気ままに”“気まぐれに”という意味の音楽用語。かちかち決められたことをやったり守ったりするのではなく、はみ出してみたり音で遊ぶような感覚を大事にしたいという生田の気持ちと、気軽に好きな時に好きなように聞いてもらいたいという想いを込めたという。

――今回リリースする「capriccioso」は、自身が作詞作曲を務めた楽曲を中心に、歌とピアノでリスナーの日常に寄り添う音楽を紡いだ作品となっているそうですが、作詞作曲はいつ頃から興味を持っていたのでしょうか。

【生田】4年前のコロナ禍のステイホーム期間がきっかけでした。それ以前は本当に作ったこともないし、作れないと思ってたんですけど、そのいろんな活動ができなくなって、自分は何をしたいのか、どんなことで役に立てるのかと、いろいろ考えた結果、やっぱり音楽に行き着きました。コロナ禍が明けて、有観客でライブできるようになったら、自分の曲を披露できるようにチャレンジしたいなっていう目標が1つ見えた瞬間に、止まってた時間が動き出したような感じがしたんです。


――そんな中、本ミニアルバムに収録されることになる楽曲もできたんですね。

【生田】最初はコードさえも読めなかったんですけど、教材本を買って独学から入りました。もう見よう見まねで始めて…。ステイホーム期間が終わる頃に初めて1曲形にしたのが「No one compares」でした。

――独学だそうですが、1曲目はどのくらいの期間で作り上げたんですか?

【生田】勉強し始めてから1ヶ月ぐらいかな…。早いように思うかもしれないんですけど、コロナ禍って本当に膨大な時間があったじゃないですか。
あの時間があったからこそできたことなんだなと思います。決していい出来事ではなかったですが、その期間がなかったら今回のアルバムはできてなかったと思います。

――ピアノ一本で作曲したとか。

【生田】途中でちょっとした機材とかアプリとかを入れてみたりもしたんですけど、私がすっごい機械音痴で(笑)。ピアノだけで曲を作るスタイルは今も変わってないです。メロディーを思いつくのと同時にピアノを触って作ってくみたいな。


――乃木坂46を卒業してから改めて1人で音楽と向き合ってみて、気づいたことはありますか?

【生田】まだ自分の曲をリリースしていない中で、卒業して1年目からソロライブができたことは私の中で大きかったです。音楽を1人でスタートさせるって大ごとじゃないですか。本来ならソロデビューするなんて、卒業したての私だったらすごいビビっちゃってたと思うんです。でも今はソロデビューすることがとても楽しみで、それはソロライブを通して音楽で人とつながるっていう作業が継続できたから。継続しつつ、新しい形を模索した期間を経てのデビューだったんです。

――ではソロコンサートをやろうと決心したのはどうしてだったんですか?

【生田】グループにいた時は、自分からアクションを起こさなくても常に音楽と接する状況にあったんですけど、卒業するとそれがなくなる。
そうなったときに、ライブでなら音楽に触れ続けられるし、ファンの方にも喜んでもらえるかなと思ったんです。

――藤井風さんの「ガーデン」カバーも収録されています。以前「何なんw」も音楽番組やライブでカバーされていましたが、反響がすごかったそうですね。

【生田】しっとり系の曲を伴奏したり歌ったりとかすることが多かったので、自分的にも藤井風さんの曲を歌うっていうこと自体が新しいジャンルへの挑戦でした。藤井さんの曲を意識的に聞くようになったのも、今まで自分にない要素を取り入れたいと思ったからなんです。

最初は、難しくて弾き語りはできないと思ってたんですけど、一生懸命練習しているうちにいつの間にか体に染み付いてくるというか、楽しく弾けるようになってきて。
だからこそ「Laundry」(アルバムリード曲)みたいな楽曲も生まれたと思うので、すごく大きなきっかけでした。

――藤井さんの曲も含めて、ピアノも自身の伴奏で収録されたんですよね。

【生田】自分の作品で収録するならやっぱり自分で弾きたいと言ったんですが、レコーディングは超大変でした(笑)。歌だけではなく倍かかるし、楽器って大変だなって改めて思いました。でも“弾き語り”は自分のアイデンティティとしてすごく大切なものなので、レコーディングも頑張りました。

――幼少期からピアノに触れてきましたもんね。


【生田】4,5歳くらいからピアノを始めたんですが、“楽しい”と思えるようになったのは芸能活動を初めてからなんです。ピアノが弾けるっていうことで歌の伴奏をさせてもらったりとか、他の楽器とアンサンブルさせてもらったりするようになってから、楽しいが上回るようになりました。それまではずっと「やらなきゃいけないもの」と思ってた。でも結果的に“楽しい”と思える場所を経験できたので、辞めずに続けててよかったなとじわじわと感じるようになりました。

――そんな経緯で今回発売されたアルバムはどんな作品ですか?

【生田】初めてのことがたくさん詰まった作品です。ゼロからはじめて一つ形にできたっていうことがすごくうれしいし、思い入れの強い1作目になったと思います。制作の大変さも含めて、ずっと大事にしたいアルバムになりました。

■プロフィール
生田絵梨花(いくた・えりか)
1997年1月22日生まれ。ドイツのデュッセルドルフ出身。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格。2021年にグループを卒業。現在はミュージカルをはじめドラマ・映画など幅広く活躍。2023年12月にはディズニー100周年記念作『ウィッシュ』の主人公アーシャ役の日本版声優を務めた。ソロアーティストとしては2022年からライブ活動を始め、2023年秋には全国5か所、9公演の全国ツアー『Erika Ikuta Autumn Live Tour 2023』を開催。2024年4月10日、ソロアーティストとしてのデビュー作となる1stEP『capriccioso』(カプリチョーソ)をリリースした。