歌舞伎俳優の坂東玉三郎(74)と落語家の春風亭小朝(69)が8日、都内で行われた「坂東玉三郎×春風亭小朝 歌舞伎座特別公演」取材会に登壇した。

 ふたりは、昨年7月に京都・南座「坂東玉三郎 夏のひととき」、今年1月に大阪松竹座「坂東玉三郎 はるのひととき」で共演。
この舞台が話題となり、7月25日に、東京・歌舞伎座で一夜限りの「坂東玉三郎×春風亭小朝 歌舞伎座特別公演」を開催する。

 舞台では今回で3度目の共演となるふたりだが、2020年に放送されたNHK大河ドラマ麒麟がくる』に兄弟役で出演。別々に撮影が行われ現場で一緒にはならなかったが、小朝は「NHKからオファーいただいたときに、『玉三郎さんの弟の役です』と言われて。これが結構大きかったんです」と玉三郎の存在が大きかったと告白。だが、届いた台本にその役の説明として「でっぷりと太った醜い男と書いてありまして。これセリフでもあるんですけどね。
『兄はなぜあのように美しい。それに比べてワシはなぜこのように醜いのか』と。それを何にもやらないでこのままの顔でやるんです。NHK残酷だなと思いました(笑)」と当時を振り返った。

 小朝が前座時代に踊りを習った先生が、玉三郎の母だといい、20歳の頃に出会ったというふたり。互いの印象を聞かれると、玉三郎は小朝について「20歳くらいの頃に出会っていたということで、何となく親近感があります。
『江戸言葉』が流ちょうに話せる人が身近にいるというのが、僕にとって非常に印象深いです。人柄は見たとおりで(笑)…こちらがああしたいこうしたいということを吸収してくれて、何でも僕の思った通りにやってくれる感じですね」と話し、信頼している様子がうかがえた。

 一方、小朝は玉三郎について「芸を極めた方なので、踊りやお芝居のことをたくさん質問するんですけど、返ってくる答えが端的で核心だけを突いているんです。落語界にそんな人いないんですよ(笑)」と、落語界にはいない貴重な存在であることを力説。

 また、玉三郎が父に「後ろ姿にうぬぼれが出ている」と言われ身が引き締まったというエピソードを引き合いに出し「こういう話を聞けるのが僕にとって勉強になるというか、刺激になるんですね。本当に落語界にそういうことを言ってくれる人はいないんですよ(笑)」と、重ねてその存在の大きさを話した。