衛星放送協会が、会員社が制作した優れた番組や、話題性のある編成企画、番組宣伝、広告事例を表彰するこのアワード。岩井監督は、先に公開された映画『キリエのうた』を再編集し、エピソードを掘り下げ、音楽をより長く収録したドラマ版『路上のルカ』で受賞した。
岩井監督は「一般的な平均値でいうと、90分~120分の映像にする場合、小説にすると大体100ページ以下なんですね。それ以上だと入らない。小説というのは大体200ページ以上あって、オーディオブックでいえば、6時間~12時間くらい。これを何とかダイジェストにして2時間に収めるというのが一番苦労する作業で、しかも不毛な作業で。脚本を仕上げたときに、どこか残念な思いというのが、必ず残るんです。そんな悔しい思いをずっとしてきたんですけど…」と正直な心境を告白。
そんななかで岩井監督の代表作『リップヴァンウィンクルの花嫁』について、日本映画専門チャンネルのプロデューサーから「全編作りませんか?」といった話があったといい、交渉して実現。さらに「今回は、大胆にタイトルも変えて別作品のようにしました」と、再度このような形態になった経緯を話した。
岩井監督は「こういう形では、まだまだ私ぐらいしかやってないかもしれないので、このタイミングでこういう立派な賞をいただけるのは、次、制作委員会に『こんなに立派な賞をいただけたんだ』と主張でき、理解していただけるんじゃないかと思います。この形がもっと広がれば、もっと迫力のあるものも多数出てくると思っていて。
さらに、受賞式には、『路上のルカ』主演のアイナ・ジ・エンドがVTRで登場。「『路上のルカ』は私にとって宝物の作品です」とメッセージを送ると、岩井監督は照れながら笑みを浮かべ、「本当にありがたいですよね」とコメントした。
授賞式には、「番組部門 ドラマ 最優秀賞」で全体のグランプリに選出された『特集ドラマ「母の待つ里」』より原作者の浅田次郎氏と出演の宮本信子、「同 中継最優秀賞」に選出された『Lemino presents ANIMAX MUSIX 2024 SPRING~LIVE&BACKSTAGE~』より出演者の茅原実里が登壇。各部門の最優秀賞が表彰され、登壇者は、それぞれの作品のエピソードなどを語った。そして、番組部門6ジャンルの最優秀賞の中から選出される「グランプリ」も発表され、『特集ドラマ「母の待つ里」』(NHK BS)が受賞した。
このほか、日本野球機構が特別表彰され、ゲストとして元プロ野球選手の佐々木主浩氏、お笑いコンビ・バッテリィズの寺家も登壇。司会は朝日放送テレビの加藤明子アナウンサーが務めた。
■「第15回 衛星放送協会 オリジナル番組アワード」受賞作品一覧
▼番組部門
ドラマ最優秀賞:特集ドラマ「母の待つ里」(NHK BS)
ドラマ審査員奨励賞:連続ドラマWゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―(WOWOWプライム)
ドキュメンタリー最優秀賞:「はだしのゲン」の熱伝導 ~原爆漫画を伝える人々~(BS12 トゥエルビ)
中継最優秀賞:Leminopresents ANIMAX MUSIX 2024 SPRING~LIVE & BACKSTAGE~(アニマックス)
バラエティ最優秀賞:Spicy Sessions(TBSチャンネル1)
バラエティ審査員奨励賞:放課後をサボるな!15 水中ドローンで大発見!?境港総合技術高校海洋科に密着!(釣りビジョン)
ミニ番組最優秀賞:うたごはん(チャンネル銀河)
文化・教養最優秀賞:筒井康隆の世界 ~文学界の巨人 90歳のメッセージ~(NHK BSプレミアム4K)
▼コンテンツ展開部門
最優秀賞:『路上のルカ』(日本映画専門チャンネル)
▼番宣部門
最優秀賞:2025年、また新たな歴史が刻まれる- 【WOWOWテニス グランドスラム】告知60秒プロモ(WOWOW)
▼広告部門
最優秀賞:MLBイッキ見!スペシャル ボールパークへ行こう 前編(J SPORTS)