野木氏は、ドラマ『アンナチュラル』(2018年)、『MIU404』(2020年)、『海に眠るダイヤモンド』(2024年)、『スロウトレイン』(2025年)をはじめ、映画『ラストマイル』(2024年)など、緻密な構成と予測不能な展開、社会問題に斬り込む作品からエンターテインメント作品まで手掛けるヒットメーカー。
野木氏とは映画『アイアムアヒーロー』以来のタッグとなる大泉が「野木さんが書かれてきている作品も素晴らしいものばかりなので、楽しみでしかなかった」と大いに期待する本作は、会社をクビになったサラリーマンが、“ちょっとだけエスパー”になって世界を救うという(?)かもしれない、完全オリジナル脚本で贈るジャパニーズ・ヒーロードラマ。
大泉演じる主人公の文太は、会社をクビになったどん底サラリーマン。妻と離婚し、財産分与と慰謝料で貯金は底をつき、ネットカフェを泊まり歩く日々。そんなある日、文太はとある会社の最終面接に合格、社長から思わぬ言葉をかけられる。「君には今日から、ちょっとだけエスパーになって、世界を救ってもらいます」。
用意された社宅に向かうと「おかえり」と見知らぬ女性が出迎える。どうやら“見知らぬ妻”と“夫婦“として暮らさなければならないらしい。妻は何故だか、文太を自分の夫だと思い込んでいる。何から何まで、意味がわからない。
“ちょっとだけエスパー”になった文太に与えられた仕事は<世界を救う>こと。しかも、「人を愛してはならない」という実に不条理で不可解なルール。
■大泉洋(文太・役)コメント
――本作のオファーを受けた時のお気持ちをお聞かせください
脚本が野木亜紀子さんだと聞いて、僕は『アイアムアヒーロー』という映画以来だったのでとても楽しみでした。それ以降、野木さんが書かれてきている作品も素晴らしいものばかりなので、楽しみでしかなかったです。
――その後、実際に野木さんの書かれた脚本をお読みになった感想は?
野木さんの脚本らしく、笑いもあるんですが、どこか悲しみをたたえているところがあったり…いろんなことを考えたくなる複雑な部分もあるのですが、それでも面白くてスラスラ読めてしまう。さすがだなと思いました。
――本作で演じられる文太にどのような印象を持ちましたか? また、共通点はありますか?
ここ数年、連ドラでは、わりと激しめの役を演じることが多かったんです。そう考えると、文太さんはとても優しい。穏やかな人物を演じるのは久々だなと思いました。文太さんには、周りに流されていってしまうところや、人に強く言えないところがあるんですが、僕も意外とそういうタイプです。僕がはっきりモノを言うのは「これが食べたい!」くらいなので(笑)
“ちょっとだけエスパー”というぐらいなので、文太さんにも何かしら能力があるわけなんですが、そのさじ加減が面白いんです。ちょっとだけとはいえ、なかなかのエスパーですよ。でも文太さんの能力は非常に怖いなと思ったので、僕は絶対欲しくないです。
――もしも文太のようにエスパーになれるとしたら、どんな能力が欲しいですか?
“飛ぶ”のも、実際にやったら肩が痛いとか、着地がヤバいとかいろいろ出てきそうだし…。そうなると“言語”ですね。最近も何度か、ちょっと海外に行ったのですが、全然言葉が通じないので、立ち所にどんな言葉でも話せる能力がほしいですね。
――“ジャパニーズ・ヒーロードラマ”ということで、大泉さんにとってのヒーローを教えてください
今さらかよと思われるかもしれないんですが、僕が人生で一番ハマッたヒーローは『24 -TWENTY FOUR-』(2001年ほか)のジャック・バウアーです(笑)。あと“元CIA”の人がかっこよくて好きなので、観る映画はほとんどが元CIAものです。生まれ変わったら元CIAがいいなと思うくらいです(笑)。バカですみません。
――最後に、放送を楽しみにしている視聴者の皆さんにメッセージをお願いします
まだ言えないんですが、出演する役者の皆さんがとても魅力的で豪華な方ばかりなんです。野木さんの脚本の中で、その方たちとのお芝居がどうなっていくのかが一番楽しみですね。
私はちょっとだけ能力を持っておりまして、そういう仲間がたくさん出てきます。
■野木亜紀子(脚本家)コメント
大泉さんとは3回目のお仕事です。大泉さんが大泉さんをしているときがいちばん好きなので、大泉さんが大泉さんなドラマを考えたら、ちょっとだけエスパーになりました。すごくない、ちょっとだけ。
貴島Pと企画を立ち上げたのが2021年の夏。あれから4年経ち、その間に神様ドラマや宇宙人ドラマが放送され、似てやしないかハラハラと見守ったこともありました。
SFやファンタジーが好きです。超能力ブームの時代に育ち『童夢』『AKIRA』『里見八犬伝』『テラ戦士ΨBOY』『帝都物語』といった作品群に夢中だった子ども時代。脚本家になってからは「いつかSFを作る」と言い続け、ようやくこうして始まります。
SFといっても本作は“少し不思議(※)”のSFで、派手な能力は出てきません。
(※)藤子・F・不二雄先生の言葉