大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」を手がけたデータサイエンティスト・慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章氏が26日、自身のインスタグラムに「“大阪の熱狂”と“東京との認識ギャップ”」と題した文章を投稿した。

 万博閉幕まで残り約半月。
「とりわけ関西圏では、SNSを介して体験が共有され、個々の経験がネットワークを通じて拡散していくという、現代的な祝祭のかたちが明確に現れました」とした上で、「しかしながら、その熱気は全国に均質に届いたわけではありません」とも指摘。

 距離、予約システム、メディアの温度差など複合的な要因に触れ、「そして閉幕直前のキャパシティを超えた混雑状況が、その解消を困難にしています。遠方から訪れる人々にとって、予約枠の逼迫や混雑の渦中で多層的な価値に深く触れることは、現実的に高いハードルになっています」とした。

 その上で「しかし、この認識ギャップが残る可能性をもって、万博の意義が損なわれるわけではありません。むしろ、ここにこそ現代社会における大規模イベントの新しい姿が映し出されています」とし、「かつての国民的熱狂の再現ではなく、地域ごとの体験と熱量の差異を前提にしつつ、それをどう社会全体の対話へと昇華させるか」だとした。

 一過性のイベントで完結させず、社会実装へ。宮田氏は「だからこそ、閉幕は終わりではなく、新たな対話の出発点であると、私は考えています」とし、「これら異なる経験を持つ人々が互いの視点を交わし、万博が投げかけた『未来社会のビジョン』という問いを社会に開いていくこと。そういったプロセス自体が、万博が残すべき大切なレガシーといえるのかもしれません」としたためた。

 これに対して「10月14日から『いのち輝く未来社会』が始まりますね!私自身も貢献する側として生きていきたいと願いますし、努めてまいります」「宮田先生の今回の万博への課題に共鳴しますし、これこそが次への問いというのも納得できます!」「2025年夢洲完結、ではない道を私も選んでいきたいです」など、多数の共感の声が寄せられている。
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