「原宿から世界へ」をビジョンに掲げるアソビシステムのアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」の勢いが昨年来、急速に加速している。FRUITS ZIPPERは今年2月、デビューから3年10ヶ月で自身初の東京ドーム公演を成功。
最新シングル「ぱわーオブらぶ/センセーション」(7月15日発売)は初週53.6万枚を売り上げ、今年度の女性アーティスト最高記録を打ち立てた。姉妹グループのCANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETもSNSを起点にヒット規模を拡大。昨年12月には第5のグループ、MORE STARがデビューした。5組38人の一大勢力となり、原宿発のカルチャーシーンを国内外に拡張している「KAWAII LAB.」の勢いを、オリコンのデータでひも解く。

■売上データで見るKAWAII LAB.の急成長

 コロナ禍の2022年2月に発足したKAWAII LAB.(通称カワラボ)は、きゃりーぱみゅぱみゅ、新しい学校のリーダーズらを擁するアソビシステムが、日本で成長を続けてきたアイドル文化を世界へ発信するプロジェクト。総合プロデュースはアイドルグループ・むすびズムの元リーダーで、モデル、タレントとしても活動する木村ミサ氏が務める。

 第1弾グループとしてFRUITS ZIPPERが2022年4月にデビュー。続いて2023年3月にCANDY TUNE、2024年3月にSWEET STEADY、同年8月にCUTIE STREET、2025年12月にMORE STARがデビューし、現在は5組38人が活動する。デビューを目指して経験を積むKAWAII LAB. MATES、九州を拠点とするKAWAII LAB. SOUTHも含め、次世代グループを継続的に送り出す育成基盤も整備されている。

 KAWAII LAB.の勢いを可視化するため、オリコンのランキング実績があるFRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETの4組の推定売上金額【※】を算出した。4組合計の売上金額は、2024年の約9.3億円から、2025年には約35.3億円へ急成長。前年比で約3.8倍に拡大している。


 集計時点で2026年に新作フィジカルをリリースしていなかったFRUITS ZIPPERを除くCANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETの3組に限ると、2026年上半期の売上金額は約13.7億円。2025年通年の3組合計売上約19.4億円に対し、半期で約71%まで達した。トップグループだけに売上が集中するのではなく、後発3組もそれぞれ市場規模を広げ、プロジェクト全体の存在感を高めている。

【※】売上金額は各週間ランキング[シングルTOP200/アルバムTOP300/ストリーミングTOP500/デジタルシングル(単曲)TOP200/デジタルアルバムTOP100/DVD TOP300/Blu-ray Disc TOP300]でのランクイン期間内のみ(ストリーミング/デジタルシングル(単曲)/デジタルアルバムの売上金額は期間内累積再生/DL数に基づく)の集計とする。ストリーミングの楽曲再生単価は1回あたり2.1円で算出。売上金額は小売価格(税込)で算出

■FRUITS ZIPPER:新シングル初週売上が女性アーティスト今年度最高記録

 KAWAII LAB.の“長女”FRUITS ZIPPER(通称:ふるっぱー)は、月足天音(メンバーカラー:赤)、鎮西寿々歌(オレンジ)、櫻井優衣(ミントグリーン)、仲川瑠夏(紫)、真中まな(空色)、松本かれん(ベビーピンク)、早瀬ノエル(黄)の7人組。2022年4月10日に配信リリースした「君の明るい未来を追いかけて」でデビューした。

 同年4月29日配信の2ndシングル「わたしの一番かわいいところ」(2023年9月13日に1st CDシングルとして発売)がSNSを起点に広がり、2024年12月にオリコン週間ストリーミングランキングで自身初の累積1億回を突破。26/7/27付時点で累積再生数は2.2億回に達している。「NEW KAWAII」(2024年3月22日配信開始)も累積1.2億回を超え、1億回突破は計2作品。5000万回突破は計5作品、1000万回突破は計12作品にのぼり、代表曲だけでなく、複数の楽曲が継続的に聴かれている。

 フィジカルもシングルが右肩上がりで売上を拡大。
転換点となった3rdシングルCD「KawaiiってMagic」(2025年5月14日発売)は、初週売上が前作の約4倍となる22.7万枚を記録し、自身初のオリコン週間音楽ランキング1位を獲得した。続く「はちゃめちゃわちゃライフ!/JAM」(2025年10月15日発売)は前作比約4割増の31.7万枚を売り上げ、2作連続で週間シングルランキング1位となった。

 そして、9ヶ月ぶりとなる5thシングルCD「ぱわーオブらぶ/センセーション」が7月15日に発売され、26/7/27付週間シングルランキングで3作連続1位を獲得。初週売上53.6万枚は、26/6/22付で櫻坂46「Lonesome rabbit/What’s “KAZOKU”?」が記録した52.3万枚を上回り、今年度の女性アーティスト最高記録となった。前作の31.7万枚を20万枚以上も上回り、自身初の初週ハーフミリオンも達成。2022年夏頃から「わたしの一番かわいいところ」がSNSを起点に注目されてから4年、FRUITS ZIPPERはCD売上でも女性アイドルグループのトップに躍り出た。

 年次売上推移も急伸している。2024年は前年比約7.5倍の約6.4億円、2025年は同約2.5倍の約15.9億円。フィジカルとストリーミングがほぼ半々というバランスのいい構成で市場規模を広げている。

 2023年の「日本レコード大賞」最優秀新人賞受賞を皮切りに、2025年大みそかには『NHK紅白歌合戦』に初出場。今年2月にデビューから3年10ヶ月で念願の東京ドーム公演を実現し、6月の『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』では最優秀ガールズアイドルカルチャーアーティスト賞(グループ/ソロ)を受賞した。SNS発のヒットからストリーミング、CD、ライブへと支持を広げ、ガールズアイドルの旗印的存在となっている。


■CANDY TUNE:「倍倍FIGHT!」でブレイク 2025年は前年比17倍の急成長

 KAWAII LAB.第2弾グループとして2023年3月に誕生したCANDY TUNE(通称:きゃんちゅー)は、桐原美月(青)、福山梨乃(水色)、小川奈々子(ミントグリーン)、南なつ(オレンジ)、立花琴未(赤)、宮野静(紫)、村川緋杏(ピンク)の7人組。2023年3月7日に配信リリースされた1stデジタルアルバム『CANDY TUNE』でデビューし、SILENT SIRENのすぅが作詞を手がけたリード曲「キス・ミー・パティシエ」がTikTokで人気を集めた。

 飛躍の起点となったのが、2024年4月24日配信の「倍倍FIGHT!」。リリースから約1年後の2025年にTikTokでじわじわと広がり始め、縦一列に並んだ隊形からメンバーが左右に飛び出すダンス動画をきっかけにブレイクした。

 オリコン・モニターリサーチによる「日本ガールズグループ調査2025」でも、CANDY TUNEを好きになったきっかけは「公式以外のYouTube」「TikTok」が突出。「カラオケで歌いたい」「曲や振り付けを覚えたり、まねしたりしたい」「SNSでのバズ・トレンド力」といった項目で支持を集めている。

 「倍倍FIGHT!」は2025年末に自身初のストリーミング累積再生数1億回を達成し、現在は1.5億回まで拡大。自身最大のヒット曲を携え、同年大みそかにはFRUITS ZIPPERとともに『NHK紅白歌合戦』へ初出場した。

 ストリーミングで広がった人気はCD売上にもつながっている。今年4月22日発売の3rdシングルCD「HAPPY BOUNCE BIRTHDAY」の初週売上は15.2万枚。前作「推し▽好き▽しんどい」(▽=ハート/2025年4月23日発売)の約2.4倍、1stシングルCD「キス・ミー・パティシエ」(2024年8月7日発売)と比べると約8倍に伸長した。

 年次売上金額は、2024年の約0.3億円から、2025年には約5.6億円へ拡大。
伸び率は“倍倍”どころか約17.2倍と、KAWAII LAB.4組で最大となった。2026年上半期も約3.8億円を売り上げ、半年間で前年通年の約67%に達している。

■SWEET STEADY:「SWEET STEP」で上昇気流 拡大期に突入

 KAWAII LAB.第3弾グループ・SWEET STEADY(通称:すいすて)は、奥田彩友(青)、音井結衣(水色)、栗田なつか(ピンク)、塩川莉世(紫)、庄司なぎさ(オレンジ)、白石まゆみ(赤)、山内咲奈(黄)の7人組。2024年3月1日に配信リリースしたデジタルシングル「始まりの合図」でデビューした。

 今年2月14日、3rdシングルCD「SWEET STEP」から先行配信された表題曲が、呪文のようなフレーズをきっかけにSNSで話題となった。26/3/30付で自身初の週間ストリーミングランキングTOP500入りを果たし(最高位は4/6付の157位)、累積再生数は1100万回を突破した。

 同曲のシングルCDが3月25日に発売され、累積売上は前作「YAKIMOCHI/ぐっじょぶ!」(2025年8月20日発売)の約2.3倍に伸長。初めて10万枚を突破し、自身最高の11.8万枚を売り上げた。

 年次売上金額は、2025年の段階で前年比約2.3倍の約0.9億円。「SWEET STEP」の売上が反映された2026年上半期には約1.1億円まで拡大し、半年間で前年通年を約28%上回った。4組の中で2026年上半期に前年の年間実績を超えたのはSWEET STEADYのみとなっている。

 上昇気流に乗るSWEET STEADYは、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で「SWEET STEP」を披露。
7月24日にはテレビ朝日系『ミュージックステーション』に単独初出演した。8月23日には横浜・ぴあアリーナMMで自身初のアリーナ単独ライブ、11月からは初のホールツアーを予定し、活動規模も拡大期に入っている。

■CUTIE STREET:国内外でバズを生む「かわいいだけじゃだめですか?」

 KAWAII LAB.第4弾グループとして2024年8月に「TOKYO IDOL FESTIVAL」(TIF)でステージデビューしたCUTIE STREETは、古澤里紗(黄)、佐野愛花(赤)、板倉可奈(ミントグリーン)、増田彩乃(青)、川本笑瑠(オレンジ)、梅田みゆ(水色)、真鍋凪咲(紫)、桜庭遥花(ピンク)の8人組。インフルエンサー、女優、アイドル、ダンサー、学生など異なる経歴を持つ8人が「KAWAII MAKER」として、自分たちが生み出す“KAWAII”を発信している。

 デビュー曲「かわいいだけじゃだめですか?」(2024年9月9日配信開始)は、配信後まもなくTikTokで火が付き、楽曲を使用したUGCの連鎖が生まれた。配信開始から約2ヶ月の24/11/25付週間ストリーミングランキング9位に浮上。KAWAII LAB.のグループ初となるTOP10入りを果たすと、25/1/27付では最高8位を記録。25年1月31日放送のテレビ朝日系『ミュージックステーション』に単独初出演したことや、K-POPアイドルによるチャレンジ動画が流行したことでさらに広くリーチし、配信開始からわずか半年後には累積1億回を突破した。

 現在、累積再生数は2.5億回を超え、KAWAII LAB.最大規模のストリーミングヒットとなっている。デビューから約2年で累積3000万回超えは計4曲、1000万回突破は計9曲にのぼる。

 ストリーミングのヒットに対し、2024年11月発売の1stシングルCD「かわいいだけじゃだめですか?」の累積売上は8.3万枚だった。しかし、SNSでファンダムを育て、2025年7月発売の「キューにストップできません!/ちきゅーめいくあっぷ計画」は約5.4倍となる44.8万枚へ急伸。
初週売上は前作の約6.3倍となる37.9万枚を記録した。

 2026年5月発売の最新シングル「キュートなキューたい/ナイスだね」の初週売上は、前作からさらに約17%増の44.1万枚。自身初のオリコン週間音楽ランキング1位を獲得した。ストリーミングで獲得した幅広い認知を、短期間でCD購入へ転換した成長速度はKAWAII LAB.の中でも際立っている。

 年次売上金額は、デビューから約4ヶ月間だった2024年の約2.2億円から、初の通年活動となった2025年には約12.9億円へ急拡大。前年比約5.8倍となった。2026年上半期も約8.9億円を記録し、半年間で前年通年の約69%を積み上げている。

 CUTIE STREETは国内での急成長に加え、韓国でも支持を拡大している。今年3月末に開催した初の韓国単独公演に先駆け、同26日にMnetの音楽番組『M COUNTDOWN』に出演。現地への敬意を込めた丁寧なローカライズと、守るべきアイデンティティを両立した「かわいいだけじゃだめですか?」の韓国語バージョンを披露して大きな反響を呼び、番組公式YouTubeのパフォーマンス映像は1400万回再生を突破。大半が韓国語で書き込まれているコメント数は約3万にのぼり、好意的なコメントで占められている。

 こうした関心が熱を持っているうちに次の施策を打つ圧倒的な機動力もKAWAII LAB.の特徴。番組出演後に音源化を決定し、15日後の4月10日に韓国語バージョンをリリース、5月3日にYouTubeでMVを公開した。7月25日・26日にソウルの世宗大学 大洋ホールで開催した単独公演のキャパシティは前回公演の3倍となったが、チケットは即完売し、2027年1月23日には約5000人キャパシティとなるKINTEX HALLでの単独公演の開催も決定。好機を逃さないスピード感のある展開によって、海外のファン拡大につなげている。

 「日本ガールズグループ調査2025」ではCUTIE STREETの好感層は10~20代の女性が中心。「SNSでのバズ・トレンド力」「コンテンツの供給量の多さ」といった項目で支持を集めている。

■MORE STAR:次世代を担うKAWAII LAB. MATES出身の新星

 KAWAII LAB.第5弾グループとして2025年12月にデビューしたMORE STARは、新井心菜(オレンジ)、遠藤まりん(青)、笹原なな花(黄)、鈴木花梨(ミントグリーン)、高梨ゆな(水色)、中山こはく(シルバー)、萩田そら(紫)、森田あみ(ピンク)、山本るしあ(赤)の9人組。メンバー全員が、KAWAII LAB.の次世代メンバー・KAWAII LAB. MATES出身で、5組最多の9人で構成されている。

 デビュー曲「もっと、キラッと」を2025年12月8日に配信し、同12日にKアリーナ横浜で開催されたKAWAII LAB.のライブイベントでお披露目された。現時点ではストリーミング、CDともにランクイン実績はないが、KAWAII LAB.全体の認知とファンダムが拡大した状態から活動を始められるのは、初期グループにはなかった強みだ。

 育成組織から新グループを継続的に送り出す仕組みが機能し始めたことも、KAWAII LAB.が単発のヒットプロジェクトではなく、持続的に規模を拡大するブランドへ向かっていることを示している。

■ライブ会場もスケールアップ KAWAII LAB.の次なる一手は?

 KAWAII LAB.のグループに共通しているのは、まずメンバーが日々の地道な発信によって自分たちの力でSNS上に土台を作り、そこで生まれた興味をストリーミング、CD、ライブへと循環させ、ファンの熱量を高めたうえでマスメディアに露出する“SNS先行型”プロモーションで成果を上げている。

 躍進はライブ会場の規模拡大にも如実に表れている。2022年4月にFRUITS ZIPPERがステージデビューしたライブハウス(収容人数約150人)から始まり、2024年のKAWAII LAB.2周年記念公演の会場は1500人規模のホールだった。しかし、翌2025年の3周年記念ライブはKアリーナ横浜で約2万人、今年2月の4周年記念ライブはKアリーナ横浜で5日間約6万人を動員した。FRUITS ZIPPERが切り拓いた道に、後発グループも続き、プロジェクト全体が急速にスケールアップを遂げている。

 一大勢力となったKAWAII LAB.はこの7月に、5ヶ国(中国、韓国、タイ、ベトナム、インドネシア)を対象としたアジアオーディション、スマートフォン向けゲームや公式キャラクター「KAWAII FRIENDS」を次々と発表している。KAWAIIカルチャーを国内外に拡張していくKAWAII LAB.の次なる一手からも目が離せない。
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