大塚製薬栄養素カレッジは7月30日、都内で「猛暑と過度なUVケアが招く夏の『ビタミンD欠乏』対策セミナー」を開催した。

講師を務めた大阪公立大学大学院生活科学研究科の桒原晶子教授は、猛暑による外出機会の減少や紫外線対策の浸透、魚離れなどの食生活の変化を背景に、日本人がビタミンD不足に陥る可能性が高まっていると指摘。
日々の食事や適度な日光を浴びることで積み重ねる「ビタミンD貯金」の重要性を訴えた。

「大塚製薬栄養素カレッジ」は、栄養素の基礎知識や食事、研究動向などを紹介する同社のウェブサイト。
大塚製薬、夏のビタミンD不足をテーマにセミナー 猛暑やUV対策、魚離れを背景に
「大塚製薬栄養素カレッジ」のWEBサイト
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ビタミンDは、カルシウムの吸収を促し、骨の形成を助ける栄養素で、食事から摂取できるほか、日光を浴びることで皮膚でもつくられる。

桒原教授によると、近年は猛暑によって屋外活動が減少し、紫外線を避ける行動が広がることで、皮膚でつくられるビタミンDの量が少なくなりやすいという。また、日本では若年層を中心に魚の摂取量が減少し、食事からの摂取も不足しやすくなっていると説明した。

ビタミンD不足が骨の健康に関わるほか、小児のくる病や筋力低下、フレイルとの関連が指摘されていると説明した。糖尿病や心血管疾患、認知機能などとの関係については、研究が進められている段階にあると紹介した。

妊娠期については、ビタミンDの栄養状態と妊娠高血圧症候群や出生体重との関連を示す研究があると説明した。一方で、ビタミンDは多く摂ればよいものではなく、適切な状態を維持することが重要と強調した。

ビタミンDの栄養状態を維持するには、食事と適度な日光を組み合わせることが基本となる。食事では、鮭をはじめとする魚介類やきのこ類、ビタミンDを強化した牛乳やヨーグルトなどを挙げた。魚の缶詰も手軽な摂取方法として紹介。
ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、適度な脂質と一緒に摂取すると吸収されやすいと説明した。

食事からの摂取が難しい場合は、強化食品などを活用する方法もあるとした。サプリメントについては、過剰摂取を避け、適切に利用する必要があると説明した。

日焼け止めについては、様々な研究成果を踏まえ、塗り方により血中ビタミンD濃度に影響があることを紹介した。猛暑時に無理に日光を浴びるのではなく、暑さを避けながら、買い物や散歩など日常生活の中で無理のない範囲で屋外に出ることが大切とした。ビタミンD不足は自覚症状が少ないため、生活習慣から不足の可能性を意識する必要性も指摘した。

第2部では、健康医療ジャーナリストの西沢邦浩氏との対談を実施した。西沢氏が、欧米でビタミンDを加えた食品やサプリメントが普及している背景を尋ねると、桒原教授は、高緯度地域では冬季に皮膚で十分なビタミンDをつくりにくいと説明。カナダでは牛乳への添加、英国では乳幼児や不足リスクの高い人への栄養補助食品の提供など、公衆衛生施策として取り組みが進められていると紹介した。

一方、日本では魚食文化があるため、従来はビタミンDが不足しにくいと考えられてきたが、若年層を中心とした魚離れや屋内で過ごす時間の増加によって状況が変化しているという。

桒原教授は、「一度だけ魚を多く食べたり、長時間日光を浴びたりするのではなく、毎日の食事や適度な日光を積み重ねることが『ビタミンD貯金』につながる」と呼び掛けた。
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