助動詞のshouldとhave toは、どう使い分けたらいいのか。英語習得の専門家、川崎あゆみさんは「この2つには明確な違いがある。
shouldには『君のためを思って言うけどこうすべき』といった助言やアドバイスのニュアンスがあり、have toは、テストや納期など、外から与えられた責任を伴う『外からの約束』の意味を持つ」という――。
※本稿は、川崎あゆみ『思ったことを英語にできる 3ます英語』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■助動詞を使った表現、日本人にはなじみやすい
助動詞は、その名のとおり動詞を助ける言葉です。未来のことは不確実で確信度合いが異なるため、willのほかcan(可能性がある)、should(すべき)、might(かもしれない)などを使い、これから起こる未来を解像度高く表現する際に役立ちます。
助動詞は、動詞にやわらかさや個性を持たせ、伝わり方に変化をもたらしてくれるもの。やわらかい表現をよく使う日本人にはなじみやすい一方で、どれがどの意味か、とっさのときに迷うことも多いのでしっかりとイメージをつかんでおきましょう。
■イメージをつかむと間違えにくくなる
will <決心>
よし決めた やるぞ!

語源はwillan。「意思」や「願望」をあらわしていた
be going to <計画>
もう決まっているから

進行形と同じカタチで、今すでに予定していることを伝える
can <可能>
できるできる やってみよう

語源はcunnan。知識があることを意味する。知る→できる→可能性があると変化
might <曖昧>
うーん、たぶん? もしかしたらね

語源はmagan(力がある)。そこから権力がある→許可する→可能性が広がる、に
should <助言>
君のためを思って言うけどこうすべき

語源は「本来そうあるべき」。それが→すべき→するはず、に変化
have to <責任>
期日を守ってやらないと

have(持つ)+to(することを)から、やらなきゃという意味に
must <断定>
そりゃ間違いない

「許可される」という意味の古英語が語源。
義務や必然性を意味する
be going to、be able to、 be about to、be supposed to、used to、have toそしてwant toは助動詞のように働く言葉のかたまりとして紹介します。
*ここでの語源は、おもに古英語(OE)を示しています
■can「できるよ・するよ」――可能性がある――
「ありうる」という可能性を伝えるときによく使われるのがcanです。「能力がある」「できる」というニュアンスで考えると理解しやすくなります。
I can do it later.(私はあとでそれをできます)
Can you help me?(手伝う可能性はあるか→手伝ってくれますか?)
be able toはcanが使えないときに登場
I can swim./I will be able to swim.
→ どちらも「能力(できる)」の意味で、英語ネイティブはcanをよく使います。canが置けないwillやtoのあとではbe able toが登場。
■might「かもしれない」――低めの可能性――
「起こるかもしれない低めの可能性」を伝えるときはmay/might(かもしれない)を使います。
I might do it tomorrow.(明日する可能性がわずかにある)
日常会話で低確率のことを示すmightはあまり使いません。使いすぎると優柔不断だと思われるようです。
Maybe.(たぶんね)は副詞で単体でも文頭でも使えます。
Maybe I can do it later.(たぶん、あとでできる)
mayは日常ではほとんど使われない⁉
mayはmightよりもフォーマルなため、日常ではあまり使われません。mayは口頭ではMay I ~?(してもいいでしょうか?)でホテルなどでていねいに許可を求める際に使われますが、日常会話ではCan I ~?(してもいい?)が一般的。まずはcanを使いこなしていきましょう。

■should「本来こうあるべきだろう」――根拠をもとに――
「本来そうあるべき」という意味から「そうあるべき→すべき→するはず」という意味へと広がりました。shouldはアドバイスを伝えるときにも使えます。
You should try it.(試してみるべきだよ)
しなかった後悔を伝える「すべきだったのに」
過去の後悔を伝えるときは〈should have+過去分詞〉のパターンが役立ちます。会話では短縮形を使い、should’ve(シュドゥヴ)という発音に。
I should’ve studied more.(もっと勉強すればよかった)
迷惑かけちゃうから…
英語ネイティブはbe supposed toをよく使いますが、これは決まっていることを守らないといけないとき、それを期待されているときの表現です。
「迷惑をかけたくない」という気持ちが含まれることも。ちなみにhad betterは「やらないとマズい」というニュアンスのときに使います。
be supposed to (予定やルールとして~するはず)
I’m supposed to be there at 3 p.m.(3時にそこにいることになっている)
■have to「しなきゃ」――外からの約束――
*ハフトゥ(発音注意)
「しなければならない」という意味をあらわす際には、助動詞のmustではなくhave toのほうがよく使われます。
・外発的

have to

テストや納期など外から与えられた責任
・内発的

must

「自分が」強く感じる必須のこと

want to

「自分が」したいこと
I have to do my homework later.

(あとで宿題をやらなきゃ)
You don’t have to do it.

(やらなくてもいいよ=任意)
質問では“Do you have to ~?”に
Do you have to do it now?(それ、今やらなきゃいけないの?)
*have to は「持っている(have)+することを(to)」でできていました。もともと一般動詞なので質問の文では do/does(助動詞)が登場します
日本語の「マスト」はmustではない
「それはマストで」など日本語では人気のmust(~しなければならない)は、ネイティブは公式な文書や絶対に行動したほうがいい緊急時など以外ではほとんど使いません。一方で日常会話では「~に違いない」という推測の意味ではよく使われます。日本語のマストはhave toで表現しましょう。

■助動詞で確信度を伝えている
助動詞は、そもそも話し手の確信度を伝えるときに使うので、まだ決まっていない未来とは好相性です。しかし「○○に違いない」「○○のはずだ」という具合に、話し手の「今の確信度」を伝えるときにも使えます。
He is Tom!(確信度100%)トムである!【確実】

He must be Tom.(確信度95%前後)トムに違いない!【ほぼ確信】

He should be Tom.(確信度80%前後)トムのはずだ【手がかりから推測】

He can be Tom.(確信度50%前後)トムの可能性がある【可能性あり】

He might be Tom.(確信度30%前後)トムかもしれない【弱い推測】
英語では未来と現在の線引きがあいまい
英語では、確定した未来を「現在形」や「進行形」であわらすことがあります。じつは「未来の表現」というものは言語のなかでも比較的新しく、英語でもwillが未来をあらわすようになったのはあとからです。
・be

I am busy tomorrow.(明日忙しい)
・have

I have a flight tomorrow.(明日、飛行機に乗る)
・be + -ing(進行形)

I am leaving tomorrow.(明日出発する)
■この場面で何と言う?
電車に乗り遅れて、どうすればいいか迷っているとき
I missed my train. What should I do?
私は / 逃した / 電車を // 何を / 疑問(べき) / 私は / する?
miss(逃す)は I missed the opportunity.(好機を逃した)などにも使います。「ミスした」はI missed.ではなく、I made a mistake. と言います。「自分が乗る予定の電車」はそのまま my train でOK。
shouldを使って、What should I say?(何を言うべきか)/ Where should I go?(どこへ行くべきか)/ When should I do it?(いつすべきか)なども定番です。
トイレを借りていいか確認するとき
*持ち運べないものを借りる=使う
Can I use the bathroom?
疑問(できる) / 私は / 使う / トイレを ?
a toiletは「便器」そのもの、bathroom/restroom/washroomは「お手洗い」の意味です。useはその場で使うもの、borrowは持ち運べるもの、rentはお金を払って借りるときに使います。
遅刻する可能性がほんのわずかにあるとき
I might be late for the meeting.
私は/=かもしれない/遅れる/その会議に
mightは「わずかな可能性」をあらわす助動詞で「もしかしたら…」という30%前後の確率を伝えます。
「そろそろ行こうか」と提案するとき
Maybe we should go now.
たぶん/私たちは/行くべき/今
shouldは提案をあらわす助動詞で、maybeをつけるとやわらかい印象に。
probablyを使うこともできます。例)We should probably go now.
やることになっていることを伝えるとき
I’m supposed to finish this by 5.
私は/終えることになっている/これを/5時までに
「~することになっている」とルールや予定を伝えるときの表現です。I was supposed to ~ but I couldn’t.(する予定だったけどできなかった)とセットで使われることもよくあります。
長いフライトで疲れている相手を気遣うとき
You must be tired after the long flight.
あなたは/=に違いない/疲れている/~のあと 長いフライトの
mustは「~に違いない」と確信しているときに使います。You must be Tom!(トムさんですね!)のように、初対面のあいさつにも。
※川崎さんの「さき」は正しくは「たつさき」です。

----------

川﨑 あゆみ(かわさき・あゆみ)

英語講師

最速英語習得の専門家・グロバリ代表。講師歴10年以上、延べ5000名以上に英語を指導。英語力ゼロで、アメリカで自信を喪失した自身の経験から、日本人が英語を効率よく習得し英語でも人生でも成功できる方法を求め、10年以上かけて、独自の「グロバリメソッド」を開発。

----------

(英語講師 川﨑 あゆみ)
編集部おすすめ