ビジネスなど初対面の場面で好印象を与えるにはどうすればいいのか。日本合コン協会会長で、初対面同士のマッチングを2000回以上見てきた田中絵音氏は「初対面の言葉は人間関係に大きく影響する。
好かれ続ける感じのいい人には共通点がある」という。
■初対面の一言で、得する人と損する人の違い
仕事やプライベートで初対面の人と会った時に、何を喋ったら良いのかわからない時はありませんか。初めて会う相手の情報が何もない中で、どんな言葉掛けがベストなのかという判断は難しくて当然のことです。
しかしながら、人は、出会った時に受けた第一印象が、その後の関係にも大きく影響します。
私は顔合わせや商談など、初対面の人ばかりの中で、最初の一言で相手の心をグッと掴み、相手の心をパッと開かせる人を何度も見てきました。そうでない人との差は明確です。
知らない人と話す時の無難な雑談としてよく挙げられるのが「天気の話」です。しかし、それをしたところで不快にはならないものの、特に何か印象が残るわけでもないし、もっと話したいと思うきっかけにもなりません。
■出会ってすぐに嫌われる人の特徴
残念なのは、パッと見の第一印象で「いい人そうだな」と思われても、その後の話ぶりで嫌われてしまうこと。初対面の場で、仕事上の愚痴や誰かの文句を言ってしまう人を、私は何度も見たことがあります。ネガティブな面が見えると、「もうこの人とは会いたくないな」と思われてしまいます。まだ何も関係性が生まれていない初対面では、第一印象が悪ければすぐに縁が切れてしまうんですよね。

チャンスを掴むために大切なことは、初対面の一言で相手の気分を高揚させ、自分に良い印象と興味を抱いてもらうことです。なかには「社交辞令やお世辞は言いたくない」なんて人もいますが、言葉一つで人との出会いが善良なものとなり、交友関係が発展していけば、より楽しい人生を歩んでいけます。どうせなら、楽しくなる方が良くないですか?
ここからは、感じのいい人が使っている、初対面の相手の心に響く魔法の一言を紹介します。
■名刺交換で「今日はお会いできて嬉しいです」
今日初めて会って、これから相手を知っていくという序盤のタイミングで、「今日はお会いできて嬉しいです」の一言を入れると、相手は嬉しい気持ちになります。さらに相手は「自分に好感を持ってくれているから、嫌われないようにしよう」という心理が働き、とても良い関係を構築していけるのです。
たとえば名刺交換の時、自分の社名や名前を言った後に「今日はお会いできて嬉しいです! よろしくお願いします」とひとつ言い足すだけ。相手の心をグッと惹き付けて、お互いにポジティブな雰囲気で話を進めることができます。
近い言葉で、「今日はお会いできることを楽しみにしていました」も良いですね。お互い出会った瞬間にポジティブな感情を持つことで、その後の親交の深め方も積極的で、スピードアップしていきます。
■プレゼンの始めに「ちょっと緊張しています」
初めての場で緊張しているなら、自分は緊張しているとストレートに伝えましょう。会話が多少ぎこちなくても「緊張しているから仕方ないな」と思ってもらえて、こちらの心理的ハードルが下がります。また「緊張しているなら、自分が会話をリードしよう」と相手がフォローアップする態勢を整えるかもしれません。
積極性を引き出すこともできる、実は有能な一言です。
たとえば大事なプレゼンをする際、冒頭で「ちょっと緊張しておりますが……」と一言足してみましょう。それだけで場の緊張感も和らぐはずです。
その他にも、「自分、人見知りで」とか「こういう場に慣れていなくて」といった表現も、率直な感情が伝わり、人間味があって親近感が湧きますね。
次第に緊張が解けてきたことがわかると、相手は「自分に心を開いてくれた」という達成感を持ち、嬉しくなります。2段階の効果が期待できるナイスな一言です。
■会話の途中で「初めて会った気がしないですね」
一通り会話をしたら、「初めて会った気がしないですね」と、さらに相手の心をぐっと引き寄せる一言を。ビジネスシーンで使えば「価値観が合うから、今後何か一緒に取り組んでいけそう」という発展的な意味合いになります。
恋愛的な出会いの場面であれば、「私たちは意気投合して、楽しい時間を過ごせているね」と運命的に感じていることが伝わります。
これを言うベストタイミングは、メインの議題が終わったあとの歓談タイム。会話が一番盛り上がっている時です。笑いも交えているような雰囲気の中で、軽やかに「なんだか初めて会った気がしないですね~!」と言うのがポイント。
真顔で言ってしまうと、「本当にどこかで会ったことがあるのかな」など、スピリチュアルな受け取り方をされることもあり、ネガティブな印象になってしまうので要注意です。
■「時間作ってもらい、ありがとう」と感謝する
感謝の言葉は、丁寧で礼儀正しい印象を与え、好感度が高めてくれるキラーワードです。取引先とのミーティングを始める際に「お忙しい中、お時間を作っていただきありがとうございます」の一言があると、相手は「いえいえ、とんでもないです」と、やや恐縮するはず。結果、お互いを重んじた気持ちで歩み寄ることができます。
自己紹介や話が一通り終わったタイミングで言うのも良いでしょう。貴重な時間を割いてくれたことに感謝の気持ちを伝えます。
この場合、どちらが誘って、時間をもらったかは、さほど気にしなくて構いません。大切なのは、相手のことを少し知った段階で「この出会いが良いものだと思っている」というメッセージを伝えることです。
■別れ際に「ぜひまたお会いしたいです」
最後は、この出会いを一過性のもので終わらせることなく、永続的に交友関係を築いていきたいという気持ちを伝えましょう。「今日の出会いは有意義だったな」と相手はいい印象を持ちます。たとえばエレベーターの待ち時間など、ミーティングが終わった去り際にサラッと言うのがポイントです。
「ぜひまたお会いしたい」はかなり直球な表現。
言われた方も嬉しいものです。お互いに「今後どのように関係を発展させていこうか」という思いが植え付けられ、会っていない時でも相手のことを考える時間が増えていくでしょう。
それらの時間を経て再会した時には、初対面の時よりもより良い関係になっているに違いありません。
■感じのいい人は、大胆に気持ちを表している
感じのいい人はこれらの一言を駆使して、初対面のシーンを段階的に活用し、より良い人間関係を築いています。言うのが恥ずかしいと思う人もいるかもしれませんが、感じがいい人ほど、恥ずかしがらず大胆に言っているものです。
ちょっとした工夫でコミュニケーションが円滑になると、人と出会うのが楽しくなってくるはず。好印象を振り撒きながら、どんどん自分の世界を広げていきましょう!

----------

田中 絵音(たなか・えのん)

一般社団法人日本合コン協会 会長

イベントプロデューサー。恋愛アドバイザー。2000回以上の合コンイベントに携わり、男女の恋愛心理に精通。婚活、デート、合コン、マッチングアプリなど、最新の出会いビジネスに詳しい。識者としてのメディア出演は500本以上。著書に『こじらせ男子の取扱説明書(トリセツ)』ほか国内外で8冊。


----------

(一般社団法人日本合コン協会 会長 田中 絵音)
編集部おすすめ