※本稿は、井上皓史『無敵の早起き』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■朝と夜の時間割をつくる
早寝早起きを実際に行うにはどうすればいいでしょうか。
まず最初のコツは、朝と夜の時間の使い方を「時間割」にして書き出してみる、ということです。
そして朝型の生活を送るためには、夜の活動をすべて朝の時間帯にスライドすることが大切です。時間割をつくり、いままでの生活習慣を可視化してみると、いかに普段の活動が夜に傾いているのかが把握できると思います。
あるビジネスパーソンの時間割は、次のような感じだとします。
[Before]
・朝7時半起床。支度をして8時半に出発。9時に出社。
・19時半に退勤、その後は23時まで飲み会、だらだら仕事、だらだらYouTubeなど。
・風呂に入ってから、テレビやスマホを見てゴロゴロ。
・睡眠時間は毎日6時間から6時間半程度。なんとなく疲労感に悩まされる。
このような一日の時間割を、たとえば次のように改善するとします。
[After]
・朝5時起床。支度をして7時半まで自分時間。8時半に出社。
・18時半には退勤。19時に帰宅。20時までに食事、風呂、家事を済ませる。
・その後は自分時間を過ごし、22時には就寝。
・睡眠時間は毎日7時間。
■帰宅後の読書を翌朝に行えないか
このような時間割にするためには、どこをどう改めればよいでしょうか。それを知るためにも、まずは自分の現在の時間の使い方を書き出してみてください。
そして紙に書き出す際は、できるだけ詳しく書いていきましょう。
どこかに時間をかけ過ぎたり、時間を無駄にしたりしていないか、帰宅後に行っているもので朝にシフトできるものはないかなどと考えながらチェックしていきます。
たとえば、帰宅後に本や新聞を読んでいるなら、それを翌朝に行えないかと考えます。なお、読書や勉強は家でもできますが、朝、会社近くのカフェなどで行うことをお勧めします。
家でやっても同じじゃないかと言われそうですが、家にいると、やるべきこと、気になることなどが次々と現れて、結局、朝の貴重な時間を無駄に使ってしまいがちだからです。
書き出した紙を見て、時間の使い方をあれこれ考え、試行錯誤してみてください。そしてあなたに合ったオーダーメイドの時間割をつくりましょう。
まず、自分の生活の実態を知るために紙に書き出す。
自分の生活のどこが弱点なのかを把握する。
■朝の2時間=ゴールデンタイム
いままで7時に起きていた方には、私は5時に起きることを勧めています。
もちろん6時でも構わないのですが、5時起床のほうがお勧めです。その理由を説明します。
朝の時間を活用すれば優先順位の高い仕事に集中して取り組むことができます。
また、仕事以外のこと、たとえば副業や起業に向けた準備をすることもできます。英語の学習や資格試験の勉強もできるでしょう。さらに、人との交流範囲を広げて新しい出会いを見つける可能性も増やすことができます。
このように、いろいろなチャンスに恵まれている朝の自由な時間を2時間は確保したいというのが、5時起床をお勧めする理由です。
仮に、起床してから外出するまでの支度に1時間かかるとします。また、通勤にも1時間かかるとします。始業時刻は9時という企業に勤めているとします。この場合、もし6時に起床する生活であれば、始業前の自由な時間は1時間しか確保できません。
1時間では、早起きのメリットが充分味わえず、もったいないのです。
可能なら、前項の「時間割」のように、始業前の自由な時間を、毎朝2時間たっぷり味わっていただきたいと思います。
■3時や4時に起床するというのは現実的ではない
起床してから外出するまでの支度がもっと短時間で済むとか、さらに通勤時間が短いなどの理由で、6時に起きても始業前に2時間確保できるという人もいると思います。
そのような場合でも、5時には起床して朝の自由な時間帯をさらに長く確保するほうが、より充実した朝の時間を過ごすことができるでしょう。
仮に5時に起きて支度と通勤を経て、6時にオフィスに到着できるのであれば、始業前に3時間もの貴重な時間を確保することができます。
ただし、始業前にできるだけ長時間を確保するほうがよいといっても、3時や4時に起床するというのは現実的ではありません。
あまりに早い時間に起床するとなると、就寝時間を相当早めるか、睡眠時間を短くするかしかありません。どちらも続けるのが難しい条件です。早起きの生活が続かなくなります。
無理のない就寝時間を維持しながら、朝の自由な時間を2時間味わうために、可能なら5時起床を習慣にしましょう。
朝の自由な時間を1時間確保するのと2時間にするのとでは、
どれくらい違うか、一度試してみるとよい。
■適切な睡眠時間を知る
朝の5時に起床するためには、夜は何時に就寝すればよいでしょうか。
それは人によって異なります。なぜなら、適切な睡眠時間は人によって異なるからです。
早寝早起きを習慣にするには、まず自分に合った睡眠時間が何時間であるのかを知る必要があります。そのためには、自分自身でそれを見つけることです。
参考までに、日本人の平均睡眠時間をご紹介しましょう。
経済協力開発機構(OECD)による2021年の調査によれば、15歳から64歳までの日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟国中、最短だったそうです。なお、OECD加盟諸国の平均は8時間以上で、日本人の平均よりだいぶ多いものでした。
ただ、こういったデータ類は参考にはなるものの、人によって必要な睡眠時間は異なるのが当然であり、一般化して一律にあてはめるのには無理があります。
自分に合った睡眠時間を知るためには、やはり自分で調べて体験することが大切です。
そのやり方ですが、次のような方法をお勧めします。
数週間から1カ月程度を使って、実際に自分が何時間寝たのかを記録してください。
・24時に寝て5時に起きる。
・23時に寝て5時に起きる。睡眠時間は6時間
・22時に寝て5時に起きる。睡眠時間は7時間
・21時に寝て5時に起きる。睡眠時間は8時間
このように、ある一定期間を使っていろいろな睡眠時間のパターンを試してください。すると、毎日7時間眠ればスッキリして日中も眠くならない、毎日5時間では疲れが残っており日中も眠い、毎日8時間も寝る必要はなくその前に自然と目が覚める、などといった自分の傾向が見えてきます。
■たっぷりと睡眠を取り、日ごろの睡眠負債をなくす
なお、適切な睡眠時間を見つけるうえで、ひとつ注意すべき点があります。それは、最初は「睡眠負債」を抱えている可能性が高いということです。
睡眠負債とは、日ごろの睡眠不足が蓄積されて慢性的に睡眠時間が足りていない状態のことをいいます。
睡眠負債を抱えた状態で適切な睡眠時間を知ろうとしても、おそらくうまくいきません。慢性的に睡眠が不足しているので、その状態でたとえ何時間寝たとしても、やはりまだ眠いということになりかねないからです。
これを回避するために、週末や連休などを利用して、まずは普段よりも多く寝ることを心がけましょう。たっぷりと睡眠を取り、日ごろの睡眠負債をなくすことが大切です。
そのあとで、自分に合った睡眠時間を知るために、いくつかのパターンで就寝時間を試してみるのがよい方法です。
さらに、見出した睡眠時間が、本当に自分に合ったものであるのかどうかを確認する方法があります。
自分にとって適切な睡眠時間が7時間ではないかと考えたら、7時間寝た日の日中に眠気が来ないかどうか、チェックするのです。
そして、毎日7時間睡眠を続けていて、大きな疲労を感じないようであれば、適切な睡眠時間を得ているといえるでしょう。眠気や疲労を感じないか確認してみてください。
逆に日中に強い眠気を感じたり、大きな疲労を感じたりすることがあれば、もう一度、自分に合った睡眠時間を確認する必要があります。
自分に合った睡眠時間を自分で見つける。
そのために、まず睡眠負債を解消する。
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井上 皓史(いのうえ・こうじ)
朝活コミュニティ「朝渋」代表、Morning Labo取締役
1992年、東京都生まれ。朝活コミュニティ「朝渋」代表。株式会社Morning Labo取締役。2児の父。2016年より朝活コミュニティ「朝渋」を東京・渋谷で立ち上げ、読書や英会話、ゲストを招いたトークイベントなどさまざまな活動を行う。これまで3万人以上に「早起き」のメソッドを伝えている。著書として『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』(小学館)がある。
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(朝活コミュニティ「朝渋」代表、Morning Labo取締役 井上 皓史)