小室圭さん眞子さん夫婦に待望の子どもが生まれた。
だが、秋篠宮家も宮内庁もしばらくは沈黙したままで、新聞、テレビもこの「慶事」を報じなかった。
それについて考察する前に、この「スクープ」の内容をみてみよう。
セブンによれば、小室夫妻は3月に、ニューヨークに渡ってから3度目になる引っ越しをしていたという。
「ニューヨーク・マンハッタンから車で1時間ほどのエリアにあるレンガ造りの一戸建て。延べ床面積90m2ほどの2階建てで、1階部分はガレージや洗濯スペースがメインで、階段を上がった2階に、家族の団らんの場となるリビングが広がっている」(セブン)
この家にベビーベッドや新生児用の洋服、おむつ用のゴミ箱などが次々に運び込まれているという。
セブンは5月中旬、この家に2人の友人たちが集まり、「彼らの引っ越しを祝うとともに、眞子さんの大きなお腹を愛でながら、新しい命の誕生をいまかいまかと待ちわびていた」という。
だが、読み進めるとタイトルとは異なり、眞子さんは「間もなく出産するという」と書いてある。セブンの締め切り時点では「出産」を確認できてはいなかったようである。
■なぜ宮内庁は沈黙していたのか?
ところがセブンのネット版であるNEWSポストセブンは5月22日(11:50)配信で、「《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”『夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた』」と報じたのである。
これが事実なら、本誌セブンの締め切り直後に眞子さんは出産し、生まれて数日の“新生児”を乳母車に乗せて夫婦で散歩していたことになる。
あり得ないことではないのかもしれないが、違和感を持ったのは私だけではないだろう。
それに、この報道が事実だとすれば、宮内庁はなぜ発表しないのだろうか。
しかも、小室夫妻の子どもは、「上皇ご夫妻の初ひ孫、秋篠宮ご夫妻の初孫となる。さらに天皇皇后にとっても初めての姪孫(てっそん)」(女性セブンプラス 5月25日 11:00)であり、さらに将来の天皇である秋篠宮悠仁さんの甥か姪になるのである。
セブンの後に発売された女性誌も、週刊現代、週刊ポストも、この話題を取り上げてはいるが、すべて「セブンによれば」として、独自取材ではないことをことわった上で、あれこれ論じているだけである。
セブンには大変失礼だが、これはもしかすると「誤報」かもしれないという疑問が頭をよぎった。だが、もしそうだとしたら、宮内記者会が西村泰彦宮内庁長官に問いただし、宮内庁は「事実とは違う」と発表しているはずである。宮内庁が沈黙したままなのは「事実」だという証ではないか。
そうした私の疑問は、5月29日発売の週刊新潮(6月5日号)と週刊文春(同)を読むことで氷解した。
■「発表する必要はない」秋篠宮家の意向が働いたか
新潮によれば、
《宮内庁担当記者が言う。
「女性セブンプラスの報道と同じ22日に行われた西村泰彦長官の定例会見では、『眞子さんの出産を宮内庁は把握しているか』との質問が出ました。ところが、これに長官は『この場で申し上げることは何もありません』と言い放ったのです」
近年では高円宮家の三女・守谷絢子さんが3人の男児を出産。それぞれ19年11月、22年9月、24年5月で、宮内庁はいずれも当日に性別と併せ公表してきた。
「その経緯も踏まえ、記者が再度『これまで皇族を離れた女性については出産を公表してきたが』と質したのですが、長官は『それは各宮家のお考えだと思います』と述べるにとどめ、さらに『宮家とは話をしたのか』と問われても『申し上げることはない』と繰り返すばかりでした」(同)》
新潮が改めて西村長官に聞いたが、「宮内庁が発表することではないですから」と素っ気なかったという。
もちろん、宮内庁が黙殺する裏には、秋篠宮の“意志”があることはいうまでもない。
宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司氏が新潮でこう解説する。
「宮内庁は天皇や皇族のお考えを尊重します。特に私的なことについては、長官といえども了承がないと何も言えません。眞子さんの出産については、秋篠宮殿下が『一般国民の出産を宮内庁が発表する必要はない』とお考えなのだと思います」
■初孫が生まれても、和解は望み薄
文春では秋篠宮家関係者がこう話している。
「眞子さんの渡米以降、秋篠宮さまも紀子さまも、お誕生日にあたって眞子さんの様子を聞かれても『本人が控えてほしいと言っている』と明かさなかった。眞子さんから“勝手に話さないで”と釘をさされるほど、秋篠宮ご夫妻と眞子さんとの溝は深まっているのです」
“類例を見ない”形で結婚し、ニューヨークへ旅立ってしまった娘を許せないという、秋篠宮の気持ちはわからないでもないが、「眞子さんに初孫が生まれれば和解するのではないか」という淡い期待も虚しいようである。
また、文春は、眞子さんが子供を生んだのは4月上旬だったのではないかと見ている。そうだとしたら、2人で乳母車を押し散歩しているというのは自然である。
文春によれば、眞子さんが出産したのはコネチカット州ではなく、ニューヨーク州の病院だったとしている。
そういえば、ニューヨークのヘルズキッチン地区に住んでいた頃、病院に通う眞子さんの姿がよく目撃されていた。一部報道では、不妊治療のためではないかと報じられたが、その病院で生んだのではないか。
■生まれた時期も性別も公表しない異例ぶり
「出産費用については、加入している民間保険の種類、そしてその中に含まれているdeductible(免責)の額によって自己負担額が大きく異なってきます。仮に保険に入っていない場合、自然分娩だと2万ドル前後かかり、帝王切開はその5割増程度となるでしょう」
日本での出産費用は約50万円程度だといわれるから、その6倍くらいになるようだ。
もし、4月頃出産していたとすれば、宮内庁は1カ月以上も黙っていたということになる。5月30日にようやく発表したが、
「宮内庁は30日、秋篠宮ご夫妻の長女、小室眞子さん(33)が第一子を出産したと明らかにした。
眞子さんは令和3年に小室圭さんと結婚し、皇籍を離脱。その後、渡米した。宮内庁は出産時期や子供の性別を明らかにしていない」(産經新聞電子版 5月30日 14:22)
宮内記者会から突き上げられ、宮内庁が秋篠宮と相談し、渋々発表したのであろう、生まれた時期も性別も明らかにしないというのは、尋常ではない。
皇室の慣例を破り、ニューヨークへ移住した小室圭さんと、実の娘である眞子さんを絶対許さないという、秋篠宮の強い意思表示であろう。
生まれた赤ん坊も、あと1年ぐらいたつと言葉を話せるようになる。だが、この子には「グランパ」と呼べる人はいないのだ。不憫である。
■悠仁さまの「成年式」への出席は「全くあり得ません」
眞子さんの妹の佳子さんは6月4日から、2週間のブラジル親善旅行に出ている。眞子さんと唯一連絡をとっているといわれる佳子さんは、帰国の途中、アメリカに立ち寄り、眞子さんと再会するのだろうか。
今年9月には、長男の悠仁さんの「成年式」が行われる。だが、新潮で秋篠宮家に通じる関係者によれば、
「眞子さんの出席も取り沙汰されている。その機会にご両親に孫のお披露目をするのでは、との見方も出ていますが、全くあり得ません。式を主催される秋篠宮さまはそもそも、眞子さんを招待なさるおつもりなどない。悠仁さまの晴れ舞台に水を差すという以前に、内親王として踏み行なうべき道を外れて出ていったことへの“帰結”として、出席を認めるわけにはいかないのです」
拗(こじ)れに拗れた秋篠宮と眞子さんの関係は、初孫の誕生でも修復できないようだ。
だが、秋篠宮は頑なでも、紀子さんは孫の顔を見たい、抱いてみたいと内心では思っているのではないか。
佳子さんが間に入り、そう遠くない将来、紀子さんが眞子さんや孫と会う機会は必ず来る。それが親子の情であり、孫が両家の「鎹(かすがい)」になってくれるはずだ。そう思いたいが……。
■夫婦そろってベビーカーを押す幸せな光景が
一方の小室夫妻のほうは、そうした秋篠宮の気持ちを知ってか知らずか、結婚3年でようやく待ち望んだ子供を授かり、幸せな結婚生活を送っているようだ。
文春によれば、美しい田園や丘陵地帯を有する、アメリカ・コネチカット州のある町の生い茂る木々に囲まれた一軒家で、小室夫妻は暮らしているらしい。
治安もよく、夫の圭さんの勤めているニューヨークの法律事務所まで車で1時間くらいのところだそうだ。
文春は小室夫妻の日常をこう描写している。
「近隣住民にとっては、静かな印象を与えるカップルだ。だが顔を合わせると、必ず笑顔で『ハロー!』と挨拶し、大きく手を振ってくれる。
必要なものはネット通販で手に入るが、妻はしばしば買い物に出る。牛乳で作られた白カビチーズや、紫色の蘭。お店に足を運ぶからこそ、自由に好きなものを選ぶことができる。
夫は日ごろは弁護士として法律事務所で働いているが、今は育児休暇中で、NYのオフィスを離れている。だから夫婦そろって、ベビーカーを押して近所を散歩することもできる。近隣住民から見ても、その光景は幸せそのものだった。
何の変哲もない、新たな命を迎えたばかりの夫婦の生活。
■新居の購入価格は1億円前後か
アメリカに来て3度目になる新居は、
「不動産業者によれば、広さは約七十四平米の二階建て。1ベッドルームに加え、地下に“ボーナススペース”も備えられており、日本でいえば2LDKの一軒家という感じでしょうか。独立した玄関のある連結式の集合住宅で、マンションと比べ、上下のフロアへの騒音などを気にすることなく子育てできます。このエリアは高級住宅街として知られ、市場に物件がなかなか出ない。売りに出された途端にすぐ買い手がつき、提示価格より高値で買われることもある」(地元不動産関係者=文春)
新居の購入価格は68万ドル(約1億160万円)だそうで、この集合住宅にはベッドルームが1つのタイプと2つのタイプの2種類があり、夫妻が選んだ1ベッドルームタイプは2ベッドルームと比べると格安だという。
新潮も購入価格は約9700万円だとし、このうちの約4万ドル(約570万円)を頭金として払い、残りは銀行ローンを組んだと報じている。
アメリカで20年以上携わってきたNY州公認不動産ブローカーの滝田佳功氏によると、小室さんの年収は4000万円といわれているから、30年ローンで現在の金利と固定資産税をもとに試算すると、月々の支払いは70万円弱くらいになり、十分返済は可能だとみている。
アメリカでは暮らしに合わせて7~10年ごとに住宅を買い替える習慣があるが、「価格は毎年上昇するため購入時以上の値で売れる」(滝田氏)から心配ないという。
さらに、文春によれば、小室夫妻が住み始めた地域は、アメリカの中でも教育水準が高いことで有名だそうだ。
■そろそろ、両家が歩み寄ってもいいのではないか
「米誌『USニューズ&ワールド・レポート』が大学進学率や全米学力調査のスコアを基にした今年の調査によれば、コネチカット州は五歳から十八歳までの大学前教育(Pre-K-12)の分野で全米三位を獲得。さらに、3~4歳の子供が保育園やプレスクールに通う割合は、全米の州でニュージャージー州に並んで一位となっています。“英才教育”を授けるにはうってつけのエリアと言えるでしょう」(教育ジャーナリスト)
秋篠宮家と小室圭・眞子さん夫妻のここまでの3年半を見ていると、人生というのは皮肉なものだとつくづく思う。
皇籍を離脱し、多くの国民から批判を受け、ニューヨークへ移り住んでも苦労の連続だっただろう小室圭さん・眞子さん夫妻だったが、何度か挫折しながらも夫がニューヨーク州の弁護士資格を取得した後は、着実に仕事をこなし、年収も増やし安定した生活を得た。眞子さんは内助の功を果たしながら、待望の子どもを授かった。
一方の秋篠宮家は、姉の眞子さんを慕い、両親とは意思疎通がうまくいかない佳子さんの結婚問題があり、筑波大に入ったばかりの悠仁さんの「帝王教育」をどうするかという難問も抱え、国民から厳しい目を向けられている。
秋篠宮はきっとこう思っているのだろう。「私は間違ったことはしていない」と。だが、秋篠宮にいいたい。時には理よりも情を優先することがあってもいいのではないか。恩讐を超えて両家が歩み寄り、秋篠宮と紀子さんが「初孫」を抱いている姿を見てみたい。
多くの国民は、そう願っているに違いない。
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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。
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(ジャーナリスト 元木 昌彦)