人生が豊かになるお金の使い方とは何か。2ちゃんねる創設者のひろゆきさんは「その出費が自分に良いリターンをもたらすかという投資思考を頭の隅に置いておくといい。
大金が溶けてリターンが見込めない『あの場所』は無駄遣いの最たるものだ」という――。
※本稿は、ひろゆき『貧しい金持ち、豊かな貧乏人』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
■一番安いものを買って「最低水準」を知る
ネット通販やスーパーで買い物をするとき、僕にはひとつのポリシーがある。細かい点は気にせず、とにかくいちばん安いものをまず買ってみるというものだ。
「そのジャンルにおける最低水準」を知るためである。
それを買って試してみて不満がなければ、僕にとってそのジャンルの品は最低水準のもので問題ないということだ。最安値のものでいいということである。
もしいちばん安い商品だと不十分に思えたなら、次はもう1ランク上げてみる。それでも満足できなければ、さらにあと1ランクだけ上のものを買うわけだ。
■洗剤は汚れが落ちればいい、ホテルは寝られればいい
たとえば、僕が洗濯機の洗剤に求めるのは衣類の汚れを落とすことのみだ。いちばん安いものでほぼ問題ない。でも缶詰のコーンの場合は、あまり安いと食感がイマイチなことが多い。
だから気持ち高めのものを買うようにしている。
大学生のころ初めてのひとり暮らしで部屋選びをした際も、まず内見したのはいちばん安い物件だった。そこはシャワーだけで浴槽がなかった。立て付けもボロボロだ。なんだか冬は寒そうだ。だから2番目に安い浴槽付きの物件に住むことにした。「最低から2番目」の部屋だったが、なんの不自由もなく暮らせた。
僕は旅先でホテルを選ぶ際も、そのエリアの最安値を探す。僕にとってホテルの役割は寝ることだけだ。基本的に眠れればどこでもいいのである。
以前、テレビの仕事でアフリカのマラウイの国境沿いの街へ行ったときには、Airbnbでいちばん安い宿を申し込んでみた。ゴキブリが室内にうようよしていたが、気にせずにぐっすり眠ってしまった。
人生で経験した最低レベルの宿だったと思う。でももう一度そこに泊まれと言われても平気だ。
自分が許容できる最低水準がわかっていれば、余計なコストを払う必要はなくなるのである。
■出費は「リターンがあるか」の投資思考で
その出費があなたに良いリターンをもたらすかどうか。そんな投資思考をいつも頭の隅に置いておく。それこそが賢い安上がりな生き方である。
財布の紐を締めるばかりが芸ではない。良いリターンが得られるのであれば出し惜しみする必要はない。遠慮なくお金を使おう。
あなたが料理好きなら奮発して高い調理器具を買うのはありだ。使い勝手のいい器具を使えば、料理がますます楽しくなる。料理の出来栄えもさらに良くなるだろう。
結果として外食が減って節約になるのだ。それは大きなリターンである。
映画好きで足しげく映画館に通っている。映画館で味わえる臨場感がたまらない。そんな人は自宅の一室にホームシアターを設置するのもいい。もちろん費用はかさむが、ネットフリックスを迫力満点でいつでも楽しめる。長期的にみて毎週映画館に出向くよりコスパはいいはずだ。これも有意義な投資である。
■キャバクラ、ホストクラブは「アホの極み」
かたやリターンが見込めないものにお金を費やすのはダメだ。
たとえばキャバクラやホストクラブ通いはその最たるものだろう。いくらお金をつぎ込んだところで意中の相手を口説き落とすのは無理だ。それでも何百万円か使えば、なびいてくれるかもしれない。
でもそんな関係はすぐ終わる。
キャバクラでバカ騒ぎしてストレス発散? それでひと晩で多額のお金を溶かすのはアホの極みだ。あとにはなにも残らない。
ストレスがたまっているならほかにいくらでも対処法はある。友だちや同僚に悩みを聞いてもらうのも手だ。それで気が楽になるかもしれない。そのほうがはるかに有益だ。お金もかからない。
その出費でリターンを得られるのか。その出費は価値のある投資になりえるのか。お金は人生の手段だ。上手に適切に使おう。
大切なのは選択と集中である。
投資思考が日々を充実させるのだ。
■ひろゆきの移動はいつもエコノミークラス
飛行機のファーストクラス。ホテルのエグゼクティブルーム。どちらも値が張る。値が張るのはそこに付加価値があるからだ。でもその「付加価値」は高い料金に見合うだけのものなのだろうか。どちらもそうは思えない。
それらは富裕層向けのサービスだ。金払いのいい人たちがターゲットである。つまりそのサービスは本質的ではない。単なる贅沢である。
過剰なオプションにより無暗に値段が吊り上がっているわけだ。
飛行機の本質的なサービスとはなんだろう。乗客を目的地まで送り届けることだ。当たり前だがそのサービスはエコノミークラスでも受けられる。そしてこれも当たり前だが所要時間も同じだ。ファーストクラスだから早く到着するわけではない。
かく言う僕もかつてファーストクラスを利用したことがある。たしかに座席は広々としていて、機内食も豪華でおいしかった。で、眠っているあいだに目的地についた。――いま僕はどこに行くにもエコノミークラスである。
■いい部屋の設備は「使うひまがない」
ホテルのエグゼクティブルームも過剰だ。客室が広すぎる。一泊か、多くてもほんの数日の滞在だ。しかも客室にいるのはほぼ朝と夜だけだろう。いろんな設備があってもそのほとんどは無用の長物だ。使うひまがない。
ホテルの本質的なサービスは宿泊だ。つまりベッドで安眠できることだ。それなら普通のビジネスホテルで十分だろう。余計なオプションにお金を払うのはバカらしい。
そのサービスを利用する目的はなんなのか。その目的さえ果たせればいいのだ。それ以外のサービスは企業が一儲けを狙った戦略商品である。手を出してはいけない。
僕は日本に出張に来たとき漫画喫茶(ネットカフェ)に泊まることがある。そこにはシャワーがあり、髭剃りやシャンプーといったアメニティもそろっている。なんの不自由もない。それで一泊だいたい2000円である。良心的だ。
■高級車や高級腕時計を買わない理由
僕は高級車やハイブランドの衣服や装飾品といったものにぜんぜん興味がない。
その理由はいろいろあるが、ひとつには日ごろから「最悪のパターン」を考えているからだ。
何十万、何百万円もする腕時計を身につけるのはたしかに気分がいいのかもしれない。でも最悪のパターンを考えてみる。もしピカピカの高級時計に大きな傷がついてしまったら? かなりへこむと思う。
安い腕時計なら、たとえ傷がついたとしても「また買えばいいか」とすぐに気持ちを切り替えられる。いちいち慌てることはないだろう。
車だってそうだ。事故を起こして廃車になった場合、安い中古車なら「仕方ないな」で済ませられる。でも何百万円もする新車だったらしばらく立ち直れない。
家だって同じだ。僕はいまフランスに住んでいるが、日本にいたときはどうしても買う気にならなかった。ずっと賃貸暮らしだった。
■マイホーム購入の「最悪のパターン」
家を買おうと思えば買えたが、最悪のパターンを恐れていたのだ。家を所有し、維持するにはいろんな費用がかかる。またさまざまなリスクもつきまとう。
もし台風で家の一部が破損したら、自分で修理費を払わないといけない。台風で破損しなくても年月が経つとあちこちガタが来る。そのメンテナンス費がどんどんかさんでいくかもしれない。
それに変な人が隣に引っ越して来たら困る。あるいは騒音を出すような工場が近所に建つかもしれない。そういった最悪のパターンを考えると、大金を払ってまで家を買う気にはとてもなれない。大金で心配を買うようなものだ。
ようするに持ち物は安ければ安いほどいい。あれこれ気をもまなくて済む。安上がりな生活はこのうえなく自由で快適なのだ。

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ひろゆき(ひろゆき)

2ちゃんねる創設者

東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。

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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)
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