マネジメントで大切なことは何か。経営コンサルタントの藤井孝一さんは「私は10年以上経営した経験があるが、業績が悪化すると心がすさんで、つい社員に厳しく当たることもあった。
※本稿は、藤井孝一『40代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■40代は最前線を走り続けることに熱中してはダメ
40代の10年間をどう働くかは、残りのビジネス人生の明暗を分けます。さらにいうなら、定年後の人生にも影響を及ぼすでしょう。
40代は、仕事を過去の延長線上でそれなりにできてしまうことが多くなります。なにかトラブルが起きても、いままでの経験則から大事に至る前に解決できる場面も増えるでしょう。
しかし、人は万能ではありません。衰えてくる能力は衰え、伸ばせたはずの能力も伸ばせなくなってきます。
キヤノン電子名誉会長の酒巻久氏が、こんなことをいっています。
「いまの40代は20代、30代のころとそれほど変わらずに、最前線を走り続けている人が多いのではないか。しかし、走り続けることに熱中していてはダメ。技術者なら技術の面で、営業マンなら営業力の面で、どんなに努力しようとも若い世代と勝負できなくなるときがくる」
だから、40代は自分の強みをしっかりとつくれるように働き方をシフトしなければなりません。
■マネジメントでは、いままでにない能力が必要
それでは、40代は、なにを強みにすべきでしょうか。
そのひとつは、やはり、「マネジメント力」だと思います。
役職につくとプレイングマネジャーとしての実績を求められます。現場の第一線でも結果を出すとともに、何人の部下を指導できるかという手腕も問われるのです。
この二つを両立させるのは想像以上に大変でしょう。
たとえば、部下に仕事を任せているつもりでも、「ここの会社の担当者とはつきあいが長いから、俺から頼んどくわ」と、途中から自分の仕事にしてしまっている。これではいけないのです。
かわりに、その担当者と部下を引き合わせることで、部下の人脈づくりをサポートできればいいマネジメントになります。
部下に任せきる力、信じる力のように、マネジメントでは、いままでにない能力が必要になります。
やる気のない部下のモチベーションを高めるよう試行錯誤したり、ひとりで突っ走りがちな部下にブレーキをかけたりするのもプレイングマネジャーの役割です。
そしてどこの企業に移っても通用する能力を身につけないと、これからの時代は生き残っていけません。
自分では転職する気はなくても、いまの時代はいつ企業が倒産するかわからないのです。いまいる会社でしかできない仕事をしていると、まったくつぶしがきかなくなるでしょう。
■「ありがとう」をノルマ化する
マネジメントでは、日々のささいなやりとりも大切です。
私も会社を立ち上げて10年以上経営しましたが、ずっと試行錯誤しながらやってきました。失敗もたくさんしました。社員に厳しく指導したほうがいいのではないかと思い、声を荒らげて怒っていた時期もあります。
しかし振り返ってみると、できるだけ褒めるよう心がけ、ことあるごとに「ありがとう」と感謝し、部下を寛容に受け入れていたときのほうが、間違いなく会社はうまくいっていました。
会社経営には波があるものですが、業績が悪化すると心がすさんで、つい社員に厳しく当たることもありました。そういうときこそ笑顔で感謝するようにしたところ、自然と業績は上向いていったのです。
経営者向けの本では、よく「笑顔で社員に接しよう」「社員に感謝しよう」とアドバイスしています。けれども、心構えだけではなかなか身につかないものです。
私は、「毎日10回ありがとうという」ことをノルマ化していました。
スマートなやり方ではないかもしれませんが、携帯の待ち受け画面に表示したり、メモに書いて机の目立つところに貼ったり、自分に「今日、10回いいましたか?」と確認する自動メールがくるようにするなど、思いつく限りの方法を試しました。
立場が上がれば上がるほど、「ありがとう」という機会は減っていきます。したがって、それくらいしないと実行できないのではないでしょうか。
私も昔は、社長室などに「感謝」という額縁を飾ってあるのを見て、「嘘くさいなあ」と内心笑っていました。
けれども、いまはそうする意味がとてもよくわかります。文字にして「見える化」しないと、なかなか感謝の気持ちは持ち続けられないのです。
みなさんも、部下や家族に感謝の心を表すために、ぜひ、「ありがとう」というのをノルマ化してみてください。
実行したらその効果が必ずわかります。
■視野の広い人と、狭い人の分岐点
視野の広い人と、狭い人の違いはどこで生まれるのでしょうか。
それは「好奇心」の有無だと思います。
私は大学時代、バイトでホテルのボーイをやっていました。
時給に換算すれば、家庭教師のほうがずっと割はよかったのですが、あえて選びませんでした。
ボーイのほか、左官業や植木屋などでのバイトもしました。それは社会人になったら絶対にやらないだろうと思える業界を知りたかったからです。
ホテルでバイトしている人たちは、実にさまざまでした。一流大学出の作家崩れ、芽の出ない役者の卵、歌舞伎の女形崩れなど、めったに出会えないような人と交流できたのです。本当に刺激的でした。
バブル期でしたから、ホテルの正社員には羽振りがよくて上から目線で接客する人もいました。
それに比べて、バイト社員は世の中でうまくいっていないと扱われがちな人たちです。
それでも自分の夢をあきらめていない姿を見ていると、「お金ばかりがすべてじゃないんだな」と、若いなりにいろいろ考えるきっかけになりました。
■世の中の常識は簡単に覆る
自分のまわりの世界だけを見ていたら、けっして視野には入ってこない世界があります。
2011年に『ニューヨーク・タイムズ』紙で米デューク大学の研究者、キャシー・デビッドソン氏の研究が発表され、話題になりました。
「2011年度に入学した小学生の65%は、大学卒業時、いまは存在していない職につくだろう」
そんな衝撃的な内容です。
この数値予測が実際に的中していたかどうかは問題ではなく、たしかに、私が子どものころはIT関係の仕事などありませんでしたし、私のような経営コンサルタントもほとんどいなかったでしょう。
一方で、なくなった職業、あるいはほとんど見かけなくなった仕事も数えきれないほどあります。カメラの現像屋、煙草屋、レンタルレコード屋、チリ紙交換屋……などです。
日本の伝統的な立場のように思われている専業主婦は、戦後の高度成長期になってから生まれたものです。
戦前までは女性も自営業や農業で働くのが普通で、一日中家事をしていたのは一部の女性だけだったといいます。専業主婦はわずか数十年の歴史しかないのです。
終身雇用も、実はそれほど歴史は古くありません。60年代に浸透していった概念であり、その時期も中小企業では転職が盛んだったといわれています。
つまり、世の中の常識は簡単に覆るものなのです。いまから10年後、いまみなさんがしている仕事もなくなっている可能性があるのです。
そういった世の中の流れを的確につかむためには、さまざまなネットワークを持っておくのが最善策です。
■ホテルやコンビニでバイトするのも一手
人的ネットワークづくりで考えるべきことは、同業者ばかりではなく、いろいろな職業の人をネットワークに加えることです。
それは「つきあう人を固定化しない」ためです。さまざまな価値観を持ち、自分とはまったく違う生き方をしている人と交流すると、それだけで世界観が広がっていきます。
人的ネットワークを広げるには、自分から積極的にそういう場に出かけていく必要があります。
余力のある人は、就業規則をチェックしたうえで、休日に大人の社会勉強と称して、いまの仕事とはまったく違う仕事、たとえばホテルやコンビニなどでバイトをしてみるのもいいかもしれません。
接客の大変さがわかるだけでなく、世代ごとの行動パターンや世代別のニーズなど、世の中の仕組みが垣間見られます。
そこまで体力のない人は、積極的にいままでつきあったことのない人と出会えるような場を探してみるべきでしょう。
地域のボランティアやカルチャーセンターでやっている講座、たとえば中国語、将棋、卓球などの同好会に参加してみるのも一案ではないでしょうか。
地域のボランティアは、お子さんのいる方や仕事をリタイアした方、商店を営んでいる人など、それこそさまざまな年代、職種の人がいます。
高齢者と話をしていると、介護サービスの仕組みが話題にのぼることもあります。制度そのものを理解するのも難しいですが、運用面の問題点は実際に利用している人の声を聞いてみないとわかりません。
学生さんと話をしていれば、いまの就活情報がわかりますし、主婦の人からはPTAやモンスターペアレントの話、子どものお受験事情なども聞くことができます。
それはすべて、世の中の一部です。本を読んで知識を得るのも大切ですが、実際に体験している人の話を聞くと、よりタイムリーでより生きた知識が得られます。
■自分のなかにつくっている“同業種の壁”を取り払う
そういう場で知り合った人とは、さほど頻繁に会わなくても、効率的に情報収集ができる可能性が高いでしょう。
スタンフォード大学のマーク・グラノヴェッター教授によれば、「緊密な社会的つながりを持つ人よりも、弱い社会的つながりを持つ人のほうが、自分にとって新規性のある情報をもたらしてくれる可能性が高い」とのことです。
親しい友人や家族といった自分と緊密なつながりのある人は、同じような環境、生活スタイル、価値観を持っていることが多く、自分の知っている情報と重なる情報が多いものです。
一方、自分と弱いつながりの人は、自分とは違った環境、生活スタイル、価値観であるため、自分の知らない有益な情報を与えてくれる存在になりうるのです。
そういう意味でも、同じ業種の人ばかりでなく、他業種の人と積極的に交流をはかると自分の知らない世界を知ることができます。
自分のなかにつくっている“同業種の壁”を取り払いましょう。職種や肩書ではなく、相手の人となりを見てつながりを持つかどうかを決めるべきだと思います。
----------
藤井 孝一(ふじい・こういち)
経営コンサルタント
中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。
----------
(経営コンサルタント 藤井 孝一)
しかし、そういうときこそ笑顔で感謝するようにしたところ、自然と業績は上向いていった」という――。
※本稿は、藤井孝一『40代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■40代は最前線を走り続けることに熱中してはダメ
40代の10年間をどう働くかは、残りのビジネス人生の明暗を分けます。さらにいうなら、定年後の人生にも影響を及ぼすでしょう。
40代は、仕事を過去の延長線上でそれなりにできてしまうことが多くなります。なにかトラブルが起きても、いままでの経験則から大事に至る前に解決できる場面も増えるでしょう。
しかし、人は万能ではありません。衰えてくる能力は衰え、伸ばせたはずの能力も伸ばせなくなってきます。
キヤノン電子名誉会長の酒巻久氏が、こんなことをいっています。
「いまの40代は20代、30代のころとそれほど変わらずに、最前線を走り続けている人が多いのではないか。しかし、走り続けることに熱中していてはダメ。技術者なら技術の面で、営業マンなら営業力の面で、どんなに努力しようとも若い世代と勝負できなくなるときがくる」
だから、40代は自分の強みをしっかりとつくれるように働き方をシフトしなければなりません。
力技でもなく小手先のテクニックでもない、自分だけの「強み」がないと40代は評価してもらえないのが現実なのです。
■マネジメントでは、いままでにない能力が必要
それでは、40代は、なにを強みにすべきでしょうか。
そのひとつは、やはり、「マネジメント力」だと思います。
役職につくとプレイングマネジャーとしての実績を求められます。現場の第一線でも結果を出すとともに、何人の部下を指導できるかという手腕も問われるのです。
この二つを両立させるのは想像以上に大変でしょう。
たとえば、部下に仕事を任せているつもりでも、「ここの会社の担当者とはつきあいが長いから、俺から頼んどくわ」と、途中から自分の仕事にしてしまっている。これではいけないのです。
かわりに、その担当者と部下を引き合わせることで、部下の人脈づくりをサポートできればいいマネジメントになります。
部下に任せきる力、信じる力のように、マネジメントでは、いままでにない能力が必要になります。
やる気のない部下のモチベーションを高めるよう試行錯誤したり、ひとりで突っ走りがちな部下にブレーキをかけたりするのもプレイングマネジャーの役割です。
そしてどこの企業に移っても通用する能力を身につけないと、これからの時代は生き残っていけません。
自分では転職する気はなくても、いまの時代はいつ企業が倒産するかわからないのです。いまいる会社でしかできない仕事をしていると、まったくつぶしがきかなくなるでしょう。
■「ありがとう」をノルマ化する
マネジメントでは、日々のささいなやりとりも大切です。
私も会社を立ち上げて10年以上経営しましたが、ずっと試行錯誤しながらやってきました。失敗もたくさんしました。社員に厳しく指導したほうがいいのではないかと思い、声を荒らげて怒っていた時期もあります。
しかし振り返ってみると、できるだけ褒めるよう心がけ、ことあるごとに「ありがとう」と感謝し、部下を寛容に受け入れていたときのほうが、間違いなく会社はうまくいっていました。
会社経営には波があるものですが、業績が悪化すると心がすさんで、つい社員に厳しく当たることもありました。そういうときこそ笑顔で感謝するようにしたところ、自然と業績は上向いていったのです。
経営者向けの本では、よく「笑顔で社員に接しよう」「社員に感謝しよう」とアドバイスしています。けれども、心構えだけではなかなか身につかないものです。
私は、「毎日10回ありがとうという」ことをノルマ化していました。
スマートなやり方ではないかもしれませんが、携帯の待ち受け画面に表示したり、メモに書いて机の目立つところに貼ったり、自分に「今日、10回いいましたか?」と確認する自動メールがくるようにするなど、思いつく限りの方法を試しました。
立場が上がれば上がるほど、「ありがとう」という機会は減っていきます。したがって、それくらいしないと実行できないのではないでしょうか。
私も昔は、社長室などに「感謝」という額縁を飾ってあるのを見て、「嘘くさいなあ」と内心笑っていました。
けれども、いまはそうする意味がとてもよくわかります。文字にして「見える化」しないと、なかなか感謝の気持ちは持ち続けられないのです。
みなさんも、部下や家族に感謝の心を表すために、ぜひ、「ありがとう」というのをノルマ化してみてください。
実行したらその効果が必ずわかります。
■視野の広い人と、狭い人の分岐点
視野の広い人と、狭い人の違いはどこで生まれるのでしょうか。
それは「好奇心」の有無だと思います。
私は大学時代、バイトでホテルのボーイをやっていました。
時給に換算すれば、家庭教師のほうがずっと割はよかったのですが、あえて選びませんでした。
ボーイのほか、左官業や植木屋などでのバイトもしました。それは社会人になったら絶対にやらないだろうと思える業界を知りたかったからです。
ホテルでバイトしている人たちは、実にさまざまでした。一流大学出の作家崩れ、芽の出ない役者の卵、歌舞伎の女形崩れなど、めったに出会えないような人と交流できたのです。本当に刺激的でした。
バブル期でしたから、ホテルの正社員には羽振りがよくて上から目線で接客する人もいました。
それに比べて、バイト社員は世の中でうまくいっていないと扱われがちな人たちです。
それでも自分の夢をあきらめていない姿を見ていると、「お金ばかりがすべてじゃないんだな」と、若いなりにいろいろ考えるきっかけになりました。
■世の中の常識は簡単に覆る
自分のまわりの世界だけを見ていたら、けっして視野には入ってこない世界があります。
2011年に『ニューヨーク・タイムズ』紙で米デューク大学の研究者、キャシー・デビッドソン氏の研究が発表され、話題になりました。
「2011年度に入学した小学生の65%は、大学卒業時、いまは存在していない職につくだろう」
そんな衝撃的な内容です。
この数値予測が実際に的中していたかどうかは問題ではなく、たしかに、私が子どものころはIT関係の仕事などありませんでしたし、私のような経営コンサルタントもほとんどいなかったでしょう。
AIという新技術もいま生まれています。
一方で、なくなった職業、あるいはほとんど見かけなくなった仕事も数えきれないほどあります。カメラの現像屋、煙草屋、レンタルレコード屋、チリ紙交換屋……などです。
日本の伝統的な立場のように思われている専業主婦は、戦後の高度成長期になってから生まれたものです。
戦前までは女性も自営業や農業で働くのが普通で、一日中家事をしていたのは一部の女性だけだったといいます。専業主婦はわずか数十年の歴史しかないのです。
終身雇用も、実はそれほど歴史は古くありません。60年代に浸透していった概念であり、その時期も中小企業では転職が盛んだったといわれています。
つまり、世の中の常識は簡単に覆るものなのです。いまから10年後、いまみなさんがしている仕事もなくなっている可能性があるのです。
そういった世の中の流れを的確につかむためには、さまざまなネットワークを持っておくのが最善策です。
■ホテルやコンビニでバイトするのも一手
人的ネットワークづくりで考えるべきことは、同業者ばかりではなく、いろいろな職業の人をネットワークに加えることです。
それは「つきあう人を固定化しない」ためです。さまざまな価値観を持ち、自分とはまったく違う生き方をしている人と交流すると、それだけで世界観が広がっていきます。
人的ネットワークを広げるには、自分から積極的にそういう場に出かけていく必要があります。
余力のある人は、就業規則をチェックしたうえで、休日に大人の社会勉強と称して、いまの仕事とはまったく違う仕事、たとえばホテルやコンビニなどでバイトをしてみるのもいいかもしれません。
接客の大変さがわかるだけでなく、世代ごとの行動パターンや世代別のニーズなど、世の中の仕組みが垣間見られます。
そこまで体力のない人は、積極的にいままでつきあったことのない人と出会えるような場を探してみるべきでしょう。
地域のボランティアやカルチャーセンターでやっている講座、たとえば中国語、将棋、卓球などの同好会に参加してみるのも一案ではないでしょうか。
地域のボランティアは、お子さんのいる方や仕事をリタイアした方、商店を営んでいる人など、それこそさまざまな年代、職種の人がいます。
高齢者と話をしていると、介護サービスの仕組みが話題にのぼることもあります。制度そのものを理解するのも難しいですが、運用面の問題点は実際に利用している人の声を聞いてみないとわかりません。
学生さんと話をしていれば、いまの就活情報がわかりますし、主婦の人からはPTAやモンスターペアレントの話、子どものお受験事情なども聞くことができます。
それはすべて、世の中の一部です。本を読んで知識を得るのも大切ですが、実際に体験している人の話を聞くと、よりタイムリーでより生きた知識が得られます。
■自分のなかにつくっている“同業種の壁”を取り払う
そういう場で知り合った人とは、さほど頻繁に会わなくても、効率的に情報収集ができる可能性が高いでしょう。
スタンフォード大学のマーク・グラノヴェッター教授によれば、「緊密な社会的つながりを持つ人よりも、弱い社会的つながりを持つ人のほうが、自分にとって新規性のある情報をもたらしてくれる可能性が高い」とのことです。
親しい友人や家族といった自分と緊密なつながりのある人は、同じような環境、生活スタイル、価値観を持っていることが多く、自分の知っている情報と重なる情報が多いものです。
一方、自分と弱いつながりの人は、自分とは違った環境、生活スタイル、価値観であるため、自分の知らない有益な情報を与えてくれる存在になりうるのです。
そういう意味でも、同じ業種の人ばかりでなく、他業種の人と積極的に交流をはかると自分の知らない世界を知ることができます。
自分のなかにつくっている“同業種の壁”を取り払いましょう。職種や肩書ではなく、相手の人となりを見てつながりを持つかどうかを決めるべきだと思います。
----------
藤井 孝一(ふじい・こういち)
経営コンサルタント
中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。
----------
(経営コンサルタント 藤井 孝一)
編集部おすすめ