家族が円満であるための秘訣とは何か。父子の仲睦まじいやりとりをYouTubeなどで発信しているアカウント「親子バラエティ」が出した『お父さんの夢を叶えたら家族が愛で溢れました』(KADOKAWA)より、一部を紹介する――。

■韓国ドラマの影響で友達優先から家族優先へ
僕は映画やドラマを見て、家族について考えることがあります。わりと影響を受けやすく(笑)、さまざまな作品を通して「やっぱり家族の幸せが僕の一番の幸せ」だと思うようになりました。
なかでも影響を受けたのは、韓国ドラマの『梨泰院クラス』。主人公、パク・セロイが仲間とともに飲食業界のトップを目指して奮闘する物語です。友情、恋愛、仕事、復讐など、さまざまな要素があるのがこの作品の魅力ですが、僕はパク・セロイの行動のベースに「父親への愛情」があるところに感銘を受けました。
パク・セロイは亡き父親を思って復讐の道を進む。復讐がいいかどうかはさておき、それほど家族を第一に考えて、家族のために生きている姿がかっこいいなと思ったんです。
高校生の頃にこの作品を見た僕は、それまで友達優先だった毎日が、家族優先へと変わりました。パク・セロイは僕のメンターになっています。
■家族間の最適な距離を自分で考えて行動する
でも、世の中の人全員に、「家族を一番大事に思ってほしい」と訴えるつもりはありません。仕事が一番の人も、友達が一番の人も、恋愛が一番の人も、いろんな人がいると思うし、それぞれの価値観があります。
それに、家族との関係が良好でなく、離れなければ生きていけない場合もあるでしょう。
実際に親からDVを受けた知人の話を聞いたことがありますし、「親子バラエティ」にも親との関係に悩む人からメッセージをいただくことがあります。もうこればかりは僕が何か言えるわけもなく、家族間の最適な距離を自分で考えて行動するしかないのだと思います。突き放しているような感じに聞こえるかもしれませんが、事実、僕は家族の悩み解消のプロではないし、どうしようもできないですから。
それぞれの人生、それぞれの家族の形があるから、僕の考えを押し付けようとは思いません。でも、もしもこれまで家族についてあまり考えたことがないのなら、「親子バラエティ」がちゃんと考えてみるきっかけになったら嬉しいなと思います。
■マザコンもファザコンも最高!
人は一人きりでは生きていけません。必ずコミュニティが存在し、その最少単位で最も身近なのが家族。その家族を大切にすることが、僕の人生でやるべきことだと思っています。仕事も家族のためなら頑張れます。大変なことも家族のためなら、家族と一緒なら乗り切れます。
マザコンもファザコンも最高じゃないですか! 家族が大好きなことって全然おかしくないと思います。僕にとっては褒め言葉です。

誰が何と言おうと、僕は自分の家族の幸せを真剣に考えていて、これはいつだってブレない僕の核になっています。
ちなみに、アメリカのドラマ『ブレイキング・バッド』と韓国ドラマ『涙の女王』も大好きです。テイストは違いますが、両方とも大切な人を思う心情が存分に描かれていて、それを経て自分はどう生きるかというのを考えさせられます。もう一つ、『僕のヒーローアカデミア』の主人公、デクの生き方も好きです。いつも人を思い、誰かの心に寄り添う優しさを持つデクも、僕のメンターの一人です。よかったらぜひ。
■こんなにも早く家族の大切さに気づくなんて…父の驚き
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俺は結婚してからずっと、家族のために働いてきたけど、それまではもう自由に生きてきたから、息子がこんなに早く家族が大切ということに気づいたのはすげえなと思うわ。

俺も『梨泰院クラス』は好きだぞ。息子に勧められて見たけど、普通に面白い。息子ほど家族を感じたわけではないけど、パク・セロイは確かにかっこ良かったな。

ついでに言うと『スラムダンク』も好きだわ。仲間で一つの目標に向かって戦うっていうのはいいね。
家族からちょっと離れちゃったかもだけど、人を思う気持ちは誰が相手でも同じだと思うぞ。
■人も物も、自分に関わるもの全てを大切にする
父は物の扱いがすごく丁寧です。「女性を扱うように」とは言わないけれど、まさにそんな感じで物を大切にしています。たとえ壊れても修繕してまた使う。そう簡単に新しい物に買い替えることもしません。
父は若い頃にバイクに乗っていて、当時友達からもらったヘルメットを大切にとってありました。僕がバイクをプレゼントしたとき、倉庫からそのヘルメットを引っ張り出し、ちぎれそうになっていたあごひもを直してかぶっていました。
また、父が自宅で着ている洋服の中には、10代の頃に友達にもらったものもあるそうです。
物を大切にするというのは、その物にまつわる人のことも大切にしているということだと僕は思います。プレゼントしてくれた人のことを思えば、物をぞんざいに扱うことってできないですよね。
いくら人に優しくても、物を雑に扱うとしたら……。対人でも自分にメリットがないと感じたら、物と同じように切り捨ててしまう気がしませんか? その点父は、人も物も、自分に関わるものすべてを大切にする。

人に優しくしたいのなら、まずは身近な物を優しく扱う。きっと父はそこまで深く考えているわけではないと思いますが、父の優しさは上辺ではなく、万物への愛情があるのだと思います
■「自分よりも家族に何か買ってあげたい」
お父さんのおすすめ

自分ではあまり意識したことないけどなあ。確かにヘリーハンセンのフリースは、20歳手前くらいに仲間からもらったのをいまだに着てる。先に社会人になった仲間が買ってくれたのよ。そいつもまさかまだ着てるとは思ってないだろうなあ。くれたことすら忘れてるんじゃないか(笑)。着られるうちはずっと着るよ。もったいないし。

そもそも俺は物欲があまりない。車やバイクは憧れているものがあるけど、何台も所有したいとか、しょっちゅう乗り換えたいとかはない。自分に何か買うんだったら、家族に何か買ってあげたいんだよな。今までたいしたものを買ってあげたわけじゃないけど、やっぱりそう思うかな。


最近は息子にもらってばかりだから、そのうち何かお返ししなきゃな。コーラでも買ってやるか(笑)。息子はコーラが大好きだから
■ふられて落ち込んでいたら銃声のようなノック音が…
僕は父と恋バナをよくします。
初めて父と恋バナをしたのは中学生の頃。僕に彼女ができたんですが、その彼女のお父さんと僕の父が高校の部活の先輩後輩だったということが発覚しました。それを父に伝えたら「まじか⁉」と盛り上がりました。以来、僕はわりとオープンに父と恋バナができるようになりました。
それから高校生の頃、僕が彼女にふられて家で泣いていた日のこと。自分の部屋にこもって一人悲しみの淵に沈んでいると、突然銃声のようなノック音が響き渡りました。
「入るぞ」
僕が返事をする前にドアは開かれ、父が入ってきました。
「おい、どうかしたのか?」

「……彼女にふられた」

「なんだよ、それで泣いてんのか。ダッセエな(笑)」

「……別にいいじゃん」

「なんでふられたのよ?」

「彼女が蛙化したっぽい……」

「(爆笑)ダッサ!」

「そんな笑わないでよ……」

「笑うよ。
男なら自分からふれよ」

「何それ?(笑) ふるのに男とか女とか関係なくない?(笑)」
笑い続ける父と話しているうちに、いつの間にか僕の顔にも笑みが浮かんできていました。
■両親から恋愛指南…母からは駆け引きのアドバイス
母とも恋愛の話をします。いつだったか、好きな女の子を遊びに誘おうとしていることを話すと、「ちょっと最近会いすぎなんじゃないの?」「たまには引いたほうがいいんじゃないの?」なんていう駆け引きのアドバイスをくれました(笑)。
恋愛指南といえば、父もよくくれます(笑)。ドライブデートをすると言うと、「急ハンドル、急ブレーキはやめろよ」「車内の温度は寒くないか、暑くないかちゃんと聞くんだぞ」とか。食事だったら、「水はちゃんと彼女の分も汲んでやるんだぞ」「絶対奢ってやれよ。男は金出してなんぼだからな」とか。
両親の結婚前のラブラブな状態は想像できないけど、きっと二人はそうやって愛を育んだんでしょう(笑)。真っすぐなお父さんに対して、母が駆け引きしていたと思うと笑えてきます(笑)。
■家に彼女や好きな人を呼んで感想を聞くことも
話が少しそれましたが、要は家族と恋バナができるかどうか。それは家族が仲良くあるための一つの秘訣だと僕は思います。だから僕は両親に包み隠さず自分の恋愛事情を打ち明けるんです。
「今、好きな子がいてさ……」

「明日、初デートなんだよね」

「今日、(告白を)決めてくるわ」

「ステーキ食べに行って、夜景見に行って告白してきた」
時には、家に彼女やまだ付き合ってもない好きな人を呼ぶこともあります。両親がいれば普通に紹介して、彼女が帰った後に感想を聞いたりもします。
「今日連れてきた子、めっちゃかわいかったでしょ?」

「そうだな。今までで一番かわいかったな」
なんて(笑)。
結局、友達同士の会話で盛り上がるのって、恋バナとか異性の話(誰々がかわいいとかかっこいいとか)だったりするじゃないですか? だから、親子で友達のように恋バナができるようになると、距離がぐっと近づくと思うんですね。
■親子でも友達のように対等に話せるのが恋バナ
親子の会話って子どもが若いうちは基本的に、勉強の話とか、部活の話とか、進路の話とか、将来の話とか、子どものネタが中心になることが多いと思います。それらは親子という性質上、親は叱ったり褒めたりと“上下”のような立ち位置が存在して進む会話です。
一方、恋愛要素や異性の話は、たとえ親子でも“対等”でいられるような気がするんです。一緒にテレビを見ていて、音楽番組に出ていたアイドルグループの「どの子が一番タイプか?」という話に、叱るも褒めるも上からも下からもないでしょう(笑)。父も昔の恋バナをしてくれたりして、本当に友達のようだと思います。お父さん、若い頃はナンパをしまくっていて、相当モテたらしいです。ホントかなあ(笑)。
ちなみに、タイプの話でいうと、お父さんは小動物系の子が好きで、僕は目がきりっとしたきれい系の子が好きなので、奪い合うことはありません(笑)。
僕の恋バナをいつも両親は笑って聞いてくれます。ちょっとした失敗談なんかを報告するとゲラゲラ笑います。僕は両親が心から笑ってくれているその瞬間が大好きです。
こうして、何げないコミュニケーションを増やすことで、勉強や仕事の悩み、人間関係の悩みだってすんなり離せる関係を築けると考えています。要は、コミュニケーションの多さが大切なのです。
お父さんのおすすめ

自分の子どもがもしも娘だったら、誰かと付き合ってるなんて聞いたら気が気じゃなくて根掘り葉掘り聞いてしまうんだろうけどね。息子だから、まあ、好きにやれよっては思ってるけどね。ただ、相手のお嬢さんを不安にさせるようなこととか、失礼なことだけはないようにしてくれればそれでいいよ。

俺? 俺は若い頃モテてたよ。かわいいと思った子は必ずモノにしてきたからね(笑)。本当だって!
■両親の馴れ初めを聞いてみる
「家族と恋バナをすること」の延長線にありますが、両親が結婚に至るまでの恋愛話って聞いたことはありますか?
親の恋バナって、子どもの立場としては聞きたくない人もいるかもしれません。なんか生々しいというか照れくさいというか。でも、恋をして夫婦になり、子どもが生まれるって、至って普通のこと。それが、家族だから話しにくいとか、話したくないとか、聞きたくないというのはなんだか寂しい気もします。
とはいえ、僕は両親の恋愛遍歴に特段興味を持っているわけではないので、自分の恋バナの流れでなんとなく聞いてみただけではありますが。それでも、子どものほうから尋ねてみると、親は意外と喜んで話してくれることもあります。それに、思い出を振り返ることで当時の感情を掘り起こすというか、改めて相手のことを大切に思えて、夫婦仲が良くなったりすることもあるんじゃないかと思います。そしてそれが家族の仲が良くなることにもつながっていく。
■誰にでも優しい父のようなお父さんになりたい
僕の両親は高校の同級生です。同じクラスで仲のいい友人だったみたいですが、卒業後、父が20代半ばの頃にスポーツジムに行くと、そこで働いていた母と偶然再会し、付き合うようになったとのこと。
どうやら高校時代から父は母に好意を持っていたようなので、そこから交際に至るまではすぐだったらしいです(笑)。
どういう顔で聞けばいいのかわかりませんが(笑)、今でもいつも母を思い、気遣っている父を見ていると、自分も両親のような夫婦になりたいと思ったりします。そして、誰にでも優しい父のようなお父さんになりたいです。
お父さんのおすすめ

高校生の頃から、ママのことはちっちゃくてかわいいなと思ってたんだよな 当時はなんで付き合わなかったのか後悔したこともあったけど、再会できて運命を感じたんだよ。

息子たちもこうして立派に成長したのは、ママのおかげだよ こんなに幸せな家族を持つこともできて、感謝しかない。いつもそう思ってるけど、なかなか口に出すことはないから、改めて言葉にするとなんか照れるな(笑)。

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親子バラエティ(おやこばらえてぃ)

有名になりたい父の夢を叶えるために、「親孝行したい息子」×「息子と思い出を作りたい父」というタッグで、2022年からSNS投稿を開始。父とのありのままの日常を発信し、親孝行や家族を大切にすることの価値を広めている。今年の目標はYouTube登録者数100万人。

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(親子バラエティ)
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