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ソニーは、フルサイズイメージセンサー搭載のCinema Lineの映像制作用カメラ「FX3」を2021年3月12日に発売する。受注開始は3月2日10時より、希望小売価格は税別45万9,000円。


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※360°「回転」「拡大」「縮小」が可能で本体細部確認できます。

FX3は映像制作用カメラの商品群「Cinema Line」コンセプトの製品で、2020年12月に発売したFX6の下位モデルとなる。基本的な仕様はミラーレス一眼カメラ「α7S III」とほぼ同等で、動画機能時の有効約1026万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載し、ISO80からISO102400、拡張時ISO80からISO409600の高感度設定、最高4K120Pに対応。CFexpressカードスロットを2基搭載し、ボディ内手ブレ補正を搭載する。

それらの基本使用に加えてFX3では、S-Cinetoneやハンドルユニット、グリップ、タリーランプ、ズーム、冷却ファンなどを搭載してCinema Lineコンセプトのシネマカメラを実現している。各部を詳しく紹介していこう。



取り外し可能なXLRアダプターハンドルユニットを標準で同梱拡張性の面では、本体の上にXLRボックス搭載の取り外し可能なXLRハンドルユニットが標準で含まれている。ハンドルユニットには2チャンネルのXLR/TRSコンポコネクタを搭載し、4チャンネルの24ビット録音が可能。トップハンドルとカメラ本体には3.5mmのマイクジャックも搭載している。

キヤノンのEOS C70やBlackmagic DesignのBMPCCシリーズにはmini XLRを搭載しているが、FX3はフルサイズのXLR端子を搭載。変換ケーブルやアダプターを必要としないのはメリットとしている。

標準で含まれるXLRハンドルユニットを搭載した様子。
XLRアダプターキット「XLR-K3M」の単体価格は税別5万6,000円だが、FX3はこのXLR-K3Mの機能とよく似たアダプターを同梱して税別45万9,000円を実現しているハンドルユニットには、XLR端子2系統と3.5mmステレオミニマイク端子1系統の入力端子を搭載さまざまなオーディオ設定が可能別売りのガンマイク「ECM-VG1」と組み合わせた様子FX3には、アクセサリー用ネジ穴(UNC 1/4-20)を本体の天面に3個、左右側面に1個、合計5個搭載している。また、トップハンドルにも3個搭載している。これらのネジ穴を使って、本体だけで周辺機器の搭載が可能。サードパーティのケージが不要になることにより、カメラの大きさや重量の削減も可能している。

本体の天面に3個のアクセサリー用ネジ穴を搭載本体の左右に1個のアクセサリー用ネジ穴を搭載
IRIS、ホワイトバランス、ISOのカスタムボタンを右手グリップに搭載操作性の面では、右手側にズームレバー、カスタムボタン(IRIS、ホワイトバランス、ISO)、RECボタンの操作性ボタンを集中させている。カスタムボタンをアクティブにしてダイヤルを回すと、設定が可能。
また、カスタムボタンを長押しするとオートとマニュアルが切り替わる。このあたりの使い勝手は、FX3の大きな特徴となっている。ズーム操作は連動ズームであれば、ズームバーで調整が可能。

右側にズームレバー、カスタムボタン(IRIS、ホワイトバランス、ISO)、RECボタンの操作性ボタンを搭載これまでのαシリーズでは人差し指でRECボタンを押していたが、FX3では、親指でRECボタンを押す操作性を実現している背面には、MENUEボタンやフォーカス拡大など右手操作に便利な機能が集められている信頼性の面では、冷却ファンを内蔵。動作モードは、「Auto」「Minimum」「Off in Rec」「Always Off」から選択可能。シグマ形状グラファイト材料を含む放熱構造を取り入れており、熱を逃がす構造を採用。
これらにより、長時間による4K60P連続撮影の不安を払拭している。

収録機能では、10ビット4:2:2、16ビットのRAW出力に対応。HDMIはmini HDMIではなくて、Type Aポートを搭載。10ビット4:2:2や16ビットRAW出力をHDMI経由でデータ出力を可能としている。

HDMIはType Aポートを搭載。背面には冷却ファンを搭載している全面、背面、上の天面にタリーランプを搭載。
タリーランプや録画ボタンを前面に搭載して、自撮りをしやすい仕様を実現している。

前面、上面、背面にRECランプを搭載。オン、オフを個別に設定可能本体の前面にもRECボタンを搭載。自撮りの際に便利だ液晶モニターは、3型の左開きバリアングルモニターを搭載。CFexpressのType A/SDXC/SDHCデュアルスロットを採用している。

3型液晶モニターを搭載。
解像度は144万ドットCFexpressのType Aに対応シネマの映像表現に関しては、VENICEやFX9で培われているシネマ業界の知見を生かしたS-Cinetoneを搭載。録画をしたらすぐにS-Cinetoneで収録ができる形になっている。

S-Cinetoneは、従来の業務用機と異なり、αシリーズのピクチャープロファイルとして搭載。これまでのαシリーズでは、PP1からPP10まで10種類のピクチャープロファイルを選べたが、FX3では新たにPP11が追加されている。PP11がS-Cinetoneとなる。

センサーは、フルサイズを搭載しており、動画での有効画素数は約1026万画素形。静止画撮影時の有効画素数は約1210万画素形。フルサイズセンサーの搭載により、浅い被写界深度で大きなボケを作ることを可能としている。

オートフォーカスは、AF精度の高いコントラスト検出方式と、AF速度に優れた像面位相差検出方式のメリットを兼ね備えた「ファストハイブリッドAF」を搭載。さらにリアルタイム瞳AFやタッチトラッキングを搭載。瞳AFやアクティブの手ブレ補正の搭載により、被写体の動きに集中をした撮影を可能にしている。

高感度性能は、最大の拡張のISOは409600。15stop+のワイドラチチュード、10ビット4:2:2のAll-Intraの記録が可能形になっている。

CodecはH.264とH.265に対応し、XAVC SやXAVC HSとをサポート。収録設定に関しては、最大600MbpsのAll-Intra、XAVC S-I 4KとXAVC S-I HDに対応。また、10ビット4:2:2のカラーサンプリング、プロキシにも対応。10ビットの4:2:2のHybrid Log Gamma、クリエイティブルックにも対応している。

スローモーションは、最大4K120Pに対応。24フレームの編集で約5倍のスローモーションが実現できる。

手ぶれ補正は、光学式の5軸ボディ内の手ブレ補正を搭載。手ブレ補正を向上させるアクティブモードやCatalyst Browseに対応しており、メタデータの情報から強力な手ブレ補正を実現可能としている。


動画専用機としての拡張性や操作性を実現最後にFX3とα7S III、FX6の違いを紹介しよう。主に、動作撮影性と操作性や拡張性の部分をピックアップしてみたので、3機種の違いを確認してほしい。

■動画撮影性能の違い

商品名
FX3 Cinema line
α7S III
FX6 Cinema line
希望小売価格
税別459,000円
市場想定価格
税別409,000円
税別726,000円
シネルック
S-Cinetone
S-Cinetone(Ver.2.00アップデートで対応
S-Cinetone/S709
S-Log
S-Log3/2,HLG
S-Log3/2,HLG
S-Log3,HLG
LUT(monitoring)
709(800%)
709(800%)
709(800%)/S709
LUT(custom)
N/A
N/A
Yes(User LUT)
可変ND
N/A
N/A
電子可変ND(1/4~1/128)

■操作性と拡張性の違い

商品名
FX3 Cinema line
α7S III
FX6 Cinema line
ハンドル
XLRハンドルユニット
N/A
スマートハンドル
グリップ
-
N/A
スマートグリップ
スクリュー
1/4-20 UNC×5個
N/A
1/4-20 UNC×8個
タリーランプ
前面/上面/背面
N/A
前面/上面/背面
ズーム
ズームレバー
N/A
ズームレバー
RAW
16ビットRAW出力(HDMI Type-A)
16ビットRAW出力(HDMI Type-A)
16ビットRAW出力(HDMI Type-A)
オーディオ
XLR/TRS×2、3.5mm×2/LPCM 4ch 24ビット
3.5mmジャック/LPCM 2ch 16ビット
XLR×2/LPCM 4ch 24ビット
TC
N/A
N/A
TC入力&出力

■信頼性の違い

商品名
FX3 Cinema line
α7S III
FX6 Cinema line
冷却ファン
内蔵
N/A
内蔵

txt・構成:編集部

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