子供時代の素朴な疑問、「お父さんはなんでいつも家にいるの?」「うちにはなんで車がないの?」で、初対面にして意気投合!

矢部太郎が、絵本作家の父との思い出をテーマとする『ぼくのお父さん』を描くにあたって読み返したのが、つげ義春の私小説的マンガ『無能の人』。つげ家の父子と矢部家の父子は、実は似ている? ちょっと変わった「絵描き」のお父さんを持つ二人が、ぞんぶんに語り合った。


発売2ヶ月も経たずして10万部を突破したマンガ『ぼくのお父さん』。矢部太郎が、絵本作家である父・やべみつのりとの子供時代の思い出を、独特のほっこりしたタッチで描いたものだ。この作品に取りかかるにあたって、矢部が参考のために読み返したのが、つげ義春の『無能の人』だったという。そこに描かれているマンガ家の家族の在り方や父と子の関係が、自分の子供の頃に近いように思われ、同作に登場する息子が成長してマンガを描いたら……という気持ちも、念頭にあったとのこと。

そんな矢部からのたってのリクエストで、敬愛するつげ義春の一人息子・つげ正助さんとの初対談が、『無能の人』の舞台である東京都調布市で実現。ちょっと変わったお父さんのいる家族の思い出を語り合った。

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ともに父が会社勤めでなかった二人は、子供時代に「ウチのお父さんはなんで家にいるんだろう」と思ったという話題から、初対面にして意気投合。両家とも裕福ではなく、「他の家は車があるのに、ウチはなんでないの」という共通の不満を持っていたこともわかった。他にも、なんでもスケッチする矢部の父のエピソード、つげ家の遅すぎるカラーテレビ導入のてんまつや家族旅行のこぼれ話、さらにはすべて実話と誤解されがちな『無能の人』の具体的な虚実にまで、話ははずんだ。

対談を終えた二人は、『無能の人』に描かれた多摩川に移動して写真撮影。対談はそのツーショットとともに、「芸術新潮」9月号に掲載される。

矢部太郎(やべ・たろう)
1977年、東京都生まれ。
芸人・マンガ家。1997年にお笑いコンビ「カラテカ」を結成。『大家さんと僕』で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。

つげ正助(つげ・しょうすけ)
1975年、東京都生まれ。つげ義春・藤原マキの一人息子。今年3月に完結した『つげ義春大全』刊行にあたっては、父のマネージャー役として奔走した。

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【掲載誌】「芸術新潮」2021年9月号
【発売日】2021年8月25日
【造本】A4変型 無線とじ
【特別定価】1590円(税込)
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/geishin/

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