合同会社メイカーズリンク(埼玉県川口市・代表/栗原稔)は、町工場の自社製品の開発/発表/販売を通じ、町工場の活性を目的とした事業を行っており、年間通して展示会出展、催事出展など多岐にわたる活動を行なっております。
2024年4月24日より町工場とファンが集う会員制オンラインコミュニティ「町プロタウン」をスタートしました。
このストーリーでは、「共創とイノベーションを創出し、社会に還元していきたい」そんな思いを持って町プロタウンを構想したメイカーズリンク代表であり町工場の経営者、おやっさんこと栗原稔が、オンラインでのコミュニティを立ち上げたきっかけと歩んできた道のり、「町プロタウン」を通して目指す未来への思いをお伝えします。
栗原稔(合同会社メイカーズリンク代表社員)
精密切削加工メーカー、栗原精機創業者の長男として昭和35年池袋に生まれる。 2003年株式会社栗原精機代表取締役社長に就任。2023年5月会長就任。 2018年合同会社メイカーズリンク創業。 2021年よりFM川口「Metallic Friday」ラジオDJを務める。X(旧 Twitter)名は「おやっさん」
https://twitter.com/krige09
町工場同士の横のつながりを作りたくて、2013年に「モノづくりコミュニティ・MAKERS LINK」というオンラインのグループをFacebook上で立ち上げました。
現在の登録者数は約2,500人です。そこではリアルな活動というよりは、みなさんがモノづくりに関する投稿をしてくれています。
2020年コロナ禍で大手からの受注がストップする中、意を決してFacebookグループ「MAKERS LINK」の中で、「2020年10月のギフトショーに一緒に出ませんか?」と有志を募ってみたところ5社が集まりまして、出展したことがリアルな活動の始まりです。
続けて出展していく中、運営メンバー間で「町工場の自社製品であることの旗印を立てた方がお客さんにとってわかりやすいのでは?」と考えるようになり「町工場プロダクツ」という名前を掲げるようになりました。
出展当時はまだ自社製品がなかった町工場の仲間もいましたが、ギフトショーのために試作品を制作し、その後の商品化につながったという事例もあります。
展示会での共同出展や催事運営を通じて仕事し合った町工場は、2024年5月現在120社を超えています。日本全国に仲間が増えて「町工場から元気を届けたい!」とそれぞれの地で頑張っています。
"おやっさん"とは、同業の若い方々から自然発生した呼び名です。私の会社、栗原精機(埼玉県川口市)は息子が3代目社長として継いでくれています。その息子と同世代の経営層の方々が「俺たちの”おやっさん”なんだ」と呼んでくれるのはとても嬉しいしありがたいです。どんな方ともフラットな関係でいたいと考えているので”おやっさん”という呼び方のおかげで話してくれるハードルが下がれば嬉しいです。
実は町工場プロダクツの活動を始めた初期のころからずっと思っていたんです。「業界を超えて異業種が交流できる場があったらいいよね」と、デザイナーの眞鍋玲さんとは一緒にご飯を食べながらよく話していました。町工場の企業以外にもデザイナー、メディア、士業などの専門家も入ってくれたらいいんじゃないかなと。
「マッチングアプリを開発したら良いのかな?」「Web上にイエローページを作ったら良いかな?」「とりあえず合コンやってみる?」「仲人やってみる?」などさまざまな意見を交わしたり実際に異業種の間に入ってみたり。
そんな試行錯誤を続ける中、2023年8月に転機となる出来事がありました。コミュニティ作りの経験豊富な田中健士郎さんとの出会いです。
健士郎さんがパーソナリティを務める「Podcast働き方ラジオ」にゲスト出演させていただき、その後も交流が続く中で「会員制オンラインコミュニティ」という形が町工場プロダクツの理想形を実現できる方法なのではないかと思い始めました。
パーソナリティの田中健士郎さんが主宰する共創分散型コミュニティ「ライターゼミ」は、町をコンセプトとしたコミュニティ作りをしていると聞き、ぶわーっと町プロタウンの構想が湧いてきたのです。「町工場プロダクツ」には「町」という言葉が入っていますから、町をコンセプトにしたコミュニティ作りはイメージがつきやすくて。健士郎さんたちとミーティングを重ねる度に、構想が次々と固まっていきました。
町プロタウンには町工場とファンが交流する空間を設けています。Slackというアプリケーションを使ってオンラインで投稿を読んだり、気になった投稿にアイデアを出したり。もちろんプロジェクトを立ち上げることも可能です。
コミュニティのいいところは、単発のマッチングと違ってオンラインでの対話を通じてお互いの「人となり」がわかっている前提で話を進められることです。企業Websiteは設備の情報など企業のスペックはわかるけど、その会社を経営している人のパーソナルな部分はわかりかねる。
2024年2月のギフトショー出展の際に「町プロタウン」のプレ告知をスタートしました。町工場関係者はもちろん、仲間になってほしいクリエイターや専門家にも意見を聞いて、4月のサービス開始に向けて一気に実装に入りました。と言っても私がすべてやるのではなく、運営の眞鍋さんとテクニカルで熱い思いを持ってくれているメンバーがすごいスピード感で制作を進めてくれました。
前述の田中健士郎さんはIT企業に勤める傍ら、町プロタウンの準備を進める中で株式会社SessionCrewという会社を立ち上げ、コミュニティ運営に熱量を注いでくれています。田中さん自身が町工場が作り出す製品のファンでもあり、ファンたちの心理や思いに共感しながら町工場に光る可能性をワールドワイドに探ってくれているのです。SessionCrewには海外在住メンバーもおり、海外視点での日本の町工場の可能性を共有してくれます。ちょうどいろいろなタイミングが相まって、町工場の自社製品を海外で発表する仲間も増えてきました。私の会社も地元・川口の町工場仲間と協力しながら2025年に海外展示会を控えています。町工場プロダクツを3年間続けてきて、現在非常に大きなうねりとなってきています。
私の周りには活動的な町工場が多くありますが、全国的に見たら町工場の置かれてる経済的な状況は正直なところあまり良くないのは確かです。
そんな時に『町プロタウンって、コミュニティって遊びみたいなこと』って思われるかもしれませんが、僕は逆だと思っていて。苦しい時やピンチな時こそワクワクと楽しいことに目を向けて、まずはそこからスタートしようというのもひとつの考え方じゃないかなと思っています。リーマンショックのとき、経営者として本当に苦しい思いをしましたが、MAKERS LINKというコミュニティを作って発信することで会社が存続できました。コロナ禍も大変でしたけど、一度リーマンショックを経験しているので「ピンチ=チャンス到来、自社製品開発と販路開拓に舵を切る!」と着々と準備をし展示会に出たことで、一気に会社の運気が変わりました。今は自社製品開発と本業である部品加工の仕事のバランスをうまく取りながらどちらも大事にしています。デザイナーやスタートアップとの協業も増え、彼らの先を見据えた考えもキャッチしながら町工場として出来ることの可能性を日々模索しています。
町プロタウンに入ったら、具体的に明日から何かをやらなきゃいけないということではありません。うちはそんなに余裕ないよという人も、まずは参加することがひとつのきっかけになるのではないでしょうか。今はまだ自社製品がない町工場でも大丈夫です。町プロタウンへの参加には会費が若干かかりますが、スタートして一年後、二年後には見える景色が変わっているかもしれない、くらいのイメージで気楽に参加してもらえるとうれしいです。
「町プロタウンって何?」を動画で紹介しています。
【町プロタウンへの入会を検討されている方へ】Q&Aセッションで質問に答えます!
2024年4月24日より町工場とファンが集う会員制オンラインコミュニティ「町プロタウン」をスタートしました。
同社が2013年から取り組んできた「自社製品の開発・発表・販売を通じて町工場の活性を目指す」取り組みの発展形である「町プロタウン」は、町工場以外のどんな立場の方も関われるしくみです。町工場のみならず、さまざまな業界、町工場が作るモノが好きで応援したいという個人ファンの方もご参加いただけます。オンラインなので場所を問わず、情報を共有し新しいモノづくり、そしてイノベーションを生み出します。
このストーリーでは、「共創とイノベーションを創出し、社会に還元していきたい」そんな思いを持って町プロタウンを構想したメイカーズリンク代表であり町工場の経営者、おやっさんこと栗原稔が、オンラインでのコミュニティを立ち上げたきっかけと歩んできた道のり、「町プロタウン」を通して目指す未来への思いをお伝えします。
精密切削加工メーカー、栗原精機創業者の長男として昭和35年池袋に生まれる。 2003年株式会社栗原精機代表取締役社長に就任。2023年5月会長就任。 2018年合同会社メイカーズリンク創業。 2021年よりFM川口「Metallic Friday」ラジオDJを務める。X(旧 Twitter)名は「おやっさん」
https://twitter.com/krige09
はじまりはFacebookグループ、展示会出展をきっかけにリアルな活動「町工場プロダクツ」旗印へ
町工場同士の横のつながりを作りたくて、2013年に「モノづくりコミュニティ・MAKERS LINK」というオンラインのグループをFacebook上で立ち上げました。
現在の登録者数は約2,500人です。そこではリアルな活動というよりは、みなさんがモノづくりに関する投稿をしてくれています。
2020年コロナ禍で大手からの受注がストップする中、意を決してFacebookグループ「MAKERS LINK」の中で、「2020年10月のギフトショーに一緒に出ませんか?」と有志を募ってみたところ5社が集まりまして、出展したことがリアルな活動の始まりです。
続けて出展していく中、運営メンバー間で「町工場の自社製品であることの旗印を立てた方がお客さんにとってわかりやすいのでは?」と考えるようになり「町工場プロダクツ」という名前を掲げるようになりました。
出展当時はまだ自社製品がなかった町工場の仲間もいましたが、ギフトショーのために試作品を制作し、その後の商品化につながったという事例もあります。
展示会での共同出展や催事運営を通じて仕事し合った町工場は、2024年5月現在120社を超えています。日本全国に仲間が増えて「町工場から元気を届けたい!」とそれぞれの地で頑張っています。
"おやっさん"とは、同業の若い方々から自然発生した呼び名です。私の会社、栗原精機(埼玉県川口市)は息子が3代目社長として継いでくれています。その息子と同世代の経営層の方々が「俺たちの”おやっさん”なんだ」と呼んでくれるのはとても嬉しいしありがたいです。どんな方ともフラットな関係でいたいと考えているので”おやっさん”という呼び方のおかげで話してくれるハードルが下がれば嬉しいです。
コミュニティ作りの経験豊富な人との出会い。程よくオープンな場所でアイデアの交換が可能に
実は町工場プロダクツの活動を始めた初期のころからずっと思っていたんです。「業界を超えて異業種が交流できる場があったらいいよね」と、デザイナーの眞鍋玲さんとは一緒にご飯を食べながらよく話していました。町工場の企業以外にもデザイナー、メディア、士業などの専門家も入ってくれたらいいんじゃないかなと。
「マッチングアプリを開発したら良いのかな?」「Web上にイエローページを作ったら良いかな?」「とりあえず合コンやってみる?」「仲人やってみる?」などさまざまな意見を交わしたり実際に異業種の間に入ってみたり。
そんな試行錯誤を続ける中、2023年8月に転機となる出来事がありました。コミュニティ作りの経験豊富な田中健士郎さんとの出会いです。
健士郎さんがパーソナリティを務める「Podcast働き方ラジオ」にゲスト出演させていただき、その後も交流が続く中で「会員制オンラインコミュニティ」という形が町工場プロダクツの理想形を実現できる方法なのではないかと思い始めました。
パーソナリティの田中健士郎さんが主宰する共創分散型コミュニティ「ライターゼミ」は、町をコンセプトとしたコミュニティ作りをしていると聞き、ぶわーっと町プロタウンの構想が湧いてきたのです。「町工場プロダクツ」には「町」という言葉が入っていますから、町をコンセプトにしたコミュニティ作りはイメージがつきやすくて。健士郎さんたちとミーティングを重ねる度に、構想が次々と固まっていきました。
町プロタウンには町工場とファンが交流する空間を設けています。Slackというアプリケーションを使ってオンラインで投稿を読んだり、気になった投稿にアイデアを出したり。もちろんプロジェクトを立ち上げることも可能です。
コミュニティのいいところは、単発のマッチングと違ってオンラインでの対話を通じてお互いの「人となり」がわかっている前提で話を進められることです。企業Websiteは設備の情報など企業のスペックはわかるけど、その会社を経営している人のパーソナルな部分はわかりかねる。
SNSは誰もが見られる空間な分、情報の精度や確度が散漫になりやすい。程よくオープンな会員制のオンラインコミュニティ空間では、よりポジティブなアイデアの交換ができると考えています。もちろん信頼が積み上がってきたらビジネスとしての受発注のやりとりも積極的に行ってほしい。コミュニティ発の製品が生まれた暁にはコミュニティをフル活用して応援しますし、関係者が多い方がきっと出てきた商品もよく考えられたものになっていくと思うんです。
会員制オンラインコミュニティ「町プロタウン」がいよいよ始動、海外展示会への出展も準備中
2024年2月のギフトショー出展の際に「町プロタウン」のプレ告知をスタートしました。町工場関係者はもちろん、仲間になってほしいクリエイターや専門家にも意見を聞いて、4月のサービス開始に向けて一気に実装に入りました。と言っても私がすべてやるのではなく、運営の眞鍋さんとテクニカルで熱い思いを持ってくれているメンバーがすごいスピード感で制作を進めてくれました。
前述の田中健士郎さんはIT企業に勤める傍ら、町プロタウンの準備を進める中で株式会社SessionCrewという会社を立ち上げ、コミュニティ運営に熱量を注いでくれています。田中さん自身が町工場が作り出す製品のファンでもあり、ファンたちの心理や思いに共感しながら町工場に光る可能性をワールドワイドに探ってくれているのです。SessionCrewには海外在住メンバーもおり、海外視点での日本の町工場の可能性を共有してくれます。ちょうどいろいろなタイミングが相まって、町工場の自社製品を海外で発表する仲間も増えてきました。私の会社も地元・川口の町工場仲間と協力しながら2025年に海外展示会を控えています。町工場プロダクツを3年間続けてきて、現在非常に大きなうねりとなってきています。
町工場の新たな可能性を信じて、苦しいときこそチャンスに
私の周りには活動的な町工場が多くありますが、全国的に見たら町工場の置かれてる経済的な状況は正直なところあまり良くないのは確かです。
そんな時に『町プロタウンって、コミュニティって遊びみたいなこと』って思われるかもしれませんが、僕は逆だと思っていて。苦しい時やピンチな時こそワクワクと楽しいことに目を向けて、まずはそこからスタートしようというのもひとつの考え方じゃないかなと思っています。リーマンショックのとき、経営者として本当に苦しい思いをしましたが、MAKERS LINKというコミュニティを作って発信することで会社が存続できました。コロナ禍も大変でしたけど、一度リーマンショックを経験しているので「ピンチ=チャンス到来、自社製品開発と販路開拓に舵を切る!」と着々と準備をし展示会に出たことで、一気に会社の運気が変わりました。今は自社製品開発と本業である部品加工の仕事のバランスをうまく取りながらどちらも大事にしています。デザイナーやスタートアップとの協業も増え、彼らの先を見据えた考えもキャッチしながら町工場として出来ることの可能性を日々模索しています。
町プロタウンに入ったら、具体的に明日から何かをやらなきゃいけないということではありません。うちはそんなに余裕ないよという人も、まずは参加することがひとつのきっかけになるのではないでしょうか。今はまだ自社製品がない町工場でも大丈夫です。町プロタウンへの参加には会費が若干かかりますが、スタートして一年後、二年後には見える景色が変わっているかもしれない、くらいのイメージで気楽に参加してもらえるとうれしいです。
「町プロタウンって何?」を動画で紹介しています。
気になる方は下記noteからご覧ください。
【町プロタウンへの入会を検討されている方へ】Q&Aセッションで質問に答えます!
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