<新田ゼラチン外観>
<相愛大学キャンパス>
プロジェクト開始のきっかけは自社の商品を使用したレシピ開発依頼
「レシピ創造プロジェクト」のきっかけは当時新田ゼラチンの子会社である株式会社ニッタバイオラボ(2021年に新田ゼラチンに吸収合併)が、新田ゼラチンの商品を使用したレシピ開発を杉山文さんという料理研究家と行っていたことが始まりです。レシピ開発は新田ゼラチンの商品であるコラーゲンペプチドというゼラチンを低分子化した機能性素材を使った健康レシピでした。このレシピ開発を依頼していた杉山さんが相愛大学の教員となったことが、プロジェクトを立ち上げるきっかけとなりました。
<レシピ創造プロジェクトを支える教授陣>
右から 杉山文教授:レシピ指導・監修
竹山育子教授:嚥下障碍者へのレシピ応用
品川英朗教授:摂食・嚥下障害に関する情報発信
■「ゼラチン、アガー=ゼリーの素」という固定化されたイメージがあった
新田ゼラチンでは、ゼラチン(動物由来)とアガー(海藻由来)やそのほかゲル化剤と言われる植物性素材も取り扱っています。すべて保水性があり、食感を変更したり、固めたりできる素材です。その頃、ゼラチンやアガーには固定化されたイメージがありました。いわゆる「ゼリーの素」というイメージです。一般的にはお菓子作り、特にゼリー、プリンなどに使われることが多いのですが、実際はもっと多くの料理に使用できること、介護のための嚥下食などにもとりいれられるようになっていることは新田ゼラチン社内やBtoB企業の間では常識となっていました。
例えば、コンビニのラーメンスープや総菜の汁を固めるのもゼラチン、チャーハンに入れて米粒を簡単にバラバラにできるのもゼラチン、お薬を飲みやすく嚥下のサポートに使われるゲル化剤という表示のアガーなどです。使用方法は多岐にわたります。
しかし飲食を作る栄養士、介護施設で働く栄養士でもそれら特性をすべて使いこなせている方は少ないのではないかと感じていました。その一方、相愛大学ではゼラチン・アガーを介護のための嚥下食に利用する研究が進んでおり、ゼラチン・アガーの可能性を広げるには最適なパートナーでした。
■すべてを学生達に取り組んでもらう形でプロジェクトがスタート
相愛大学では、すでに企業とコラボしてお弁当を開発する学生と企業との協創プロジェクトが始まっていました。同じ協創プロジェクトの形をとり、学生達に自由な発想でゼラチン・アガーを活かしたレシピ創造に取り組んでほしいとの思いから「レシピ創造プロジェクト」はスタートしています。当初は、撮影機材、器などがなく、杉山教授から大学広報に依頼していただき、一から揃えていただきました。ホームページに掲載するので、彩、盛り付けなど工夫し相談しながら撮影を進めていきました。
レシピはゼリーとして固めるだけではなく、泡立ててソースやドレッシングにするなど学生ならではのアイデアを多く出してもらいました。また、ご飯や麺料理などに入れ保水性を高める、ほぐしやすく仕上がるなど、試作をして実感することができ、それを活かしてメニュー開発をしました。試作では、失敗することも多く、硬さなど調整しながら仕上げまで何度も納得するまで繰り返し行いました。
<試作の様子>
大学を卒業後、栄養士、管理栄養士として施設や病院などに就職する学生が多くおります。ゼラチンやアガーをおやつとして使うだけでなく、嚥下食などにも展開していく知識が必要となります。
「プロジェクトをきっかけにゼラチン、アガーを使う機会を多くいただき、多くの学生達が開発に携わり、色々な用途に活用することができるようになりました。この知識は社会に出てからも必要となり、とても貴重な機会を作っていただけたと思っております。」(相愛大学 杉山教授談)
また食の将来を担う管理栄養士として卒業後の就職先で知恵と経験を活かせるよう、すべてを学生達で取り組んでもらう仕組みにしました。
また学生達が考えたレシピを介護用、嚥下食に変えるにはどうするか?というコメントを教授たちに入れてもらい、一つのレシピの幅を広げることにしました。こうして2016年から「レシピ創造プロジェクト」がスタートしました。
■今年で8回目になるプロジェクトは、毎年学生達が自分で試行錯誤する
「レシピ創造プロジェクト」は今年で8回目を迎えます。毎年1回生の実習でゼラチン、アガーを取り入れ、4回生のゼミで本格的に開発を行います。開発前にゼラチンやアガーの食感、特徴などを学生にしっかりと理解してもらい、色々なメニュー提案を行っていきます。学生達は自分たちで季節を取り入れたテーマを決め、試作を重ね、レシピ文を書き、写真を撮ります。もちろん締切付です。スケジュール管理も重要な課題です。教授陣は相談には乗りますが、あくまで「創造」は学生達。今はやりの「映え」を意識したレシピや新しいゼラチンの使い方など提案は様々です。
<プロジェクト第1回:なんちゃってビール>
一見ビールに見えますが、実は、下の部分はオレンジとグレープフルーツの果汁をアガーで固めたゼリーで、上の部分はゼラチンで泡立ててビールの泡の様に仕上げています。
<プロジェクト第7回:溶けにくい2種のもちもちアイスクリーム>
上新粉とアガーを使うことで、溶けにくいアイスクリームが誰でも簡単に作ることができます。ミルクとほうじ茶をたっぷり入れることでコクのある風味豊から味わいになります。
<プロジェクト第8回:七夕そうめん>
七夕をイメージし、パプリカを星型に切るなど工夫して七夕感を出しました。麵つゆをゼラチンでジュレにすることでそうめんに良く絡み、いつもと違ったそうめんを味わえます。
■レシピ公開やゼラチンやアガーの理解を深めるための講義も実施
新田ゼラチンは、作成されたレシピを「新田ゼラチン株式会社ホームページ」と「コラーゲンナビ」というサイトにて公開しています。また、学生達がゼラチンやアガーへの理解を深めるために講義も行います。
今年は6月8日に学生達に向けて「ゼラチン、アガー、寒天の使い方」講義を新田ゼラチン総合研究所 開発部員が行いました。それぞれゼリーにはよく使用される料理素材ですが、原料も違えば使い方、出来上がった食感や口溶けも違います。
講義では実際にゼラチン、アガー、寒天で作ったゼリーを食べてもらい、食感の違いを確認してもらいました。そしてゼラチンを低分子に分解することでできる機能性素材「コラーゲンペプチド」の機能性、ゼラチンもコラーゲンも同じ素材であり、たんぱく質であることなど普段意識していないことも同時に伝えることにより、知識の幅を広げてもらいました。
<2023年6月8日 新田ゼラチン主催講座の様子>