2026年W杯予選を世界最速で突破した日本代表は、歴代最強との呼び声もある。

一方、W杯最終予選で日本相手の2試合で計10失点した中国は、予選敗退が決定。

2002年日韓大会以降、W杯から遠ざかるなど低迷が続いている。

また、E-1での敗戦により、中国は日本に1998年以降27年も未勝利という記録も継続されることになった。

そうしたなか、元中国代表FWヤン・シューが、『Watching Sports』で、中国と日本のサッカーのユース育成における格差について語ったという。

「私は日本のユース育成がいかに堅実で体系的であるかを目の当たりにした。日本の子供たちは6歳から14歳までの基礎が非常にしっかりしている。

彼らが成長し、ヨーロッパで更なる飛躍を遂げる時、そのポテンシャルは大きく広がるだろう。ただヨーロッパに行くためだけにヨーロッパに行くのはダメだ。

まず基礎を固めなければいけない。何かを学びたいなら、まず自分に何が欠けているかを知る必要がある。

私が見てきた限りでは、日本のサッカー界はアジアとヨーロッパのサッカー文化や民族性の違いを真剣に研究し、それが指導方法や効果の違いにつながっている。

日本は相手の長所と短所、そして自分たちに合うものは何なのかを考え、具体的な方法を研究してきた。

例えば、U-9の年齢層がドリブルを練習する際、日本のコーチは、より合理的かつ目的意識を持ってドリブルする方法を強調する。

その哲学は、ドリブルを目的とした練習は間違いだということだ。

現在、我々のユーストレーニングでは、いわゆる科学的なトレーニングばかりが重視されているが、努力は忘れられている。

中国の子どもたちは雨や雪が降ると練習できないし、暑い日も練習できない。彼らは非常に繊細だ。親が全てを世話することに慣れてしまい、子どもたちは自主性を失っている。

日本のサッカーを見れば分かることだが、彼らは週3回の練習をして、練習がない日は課外授業を申し込んで自主練習をする。

彼らのトレーニングと試合の強度は非常に高い。(日本で?)以前、私の次男がある大会に出場し、朝から昼までプレーした。試合後、コーチはシャトルランの追加練習をするように指示した。

35分間の練習で、次男は泣きながら走り終えたが、日本の子供たちは平気だった。そういう激しさに慣れているからだ。

今の日本のサッカーでは、実は技術的な基礎はあまり語られない。

なぜなら、箸を使って食事をするのが当たり前のように、技術は彼らにとって最も基本的なスキルだからだ。

技術抜きでサッカーを語る意味がどこにあるのか?日本の子供たちは小学校6年生までは、ドリブルでボールを操り、ピッチ上で自由に突破できる。誰もが自分の技術を極限まで発揮するが、6年生を超えると、誰もそのような指導をしない。

誰もがコーチの戦術に従ってプレーし、システムを形成する。川崎フロンターレのコーチに聞いたところ、子供たちは幼い頃は、様々な技術の練習で『足し算』をして、12歳になったら『引き算』を始めるべきだと言っていた。

我々が若い頃は、日本チームと対戦する際に、体格で有利に立っていた。日本の選手は技術が高いが、我々は自分たちの体を使って戦うことができる。

私も若い頃はこのようにプレーし、うまくいった。しかし、18歳を超えると、(日本選手の)体格も発達するので、このような(フィジカル頼みの)プレーは意味がない」

中国では日本に比べて、技術的指導で後れをとっているほか、武器だったはずのフィジカルでも劣るようになってきているとか。また、中国ではユース年代のコーチの待遇がよくないという課題も抱えているという。

37歳のヤン・シューは中国代表として54試合に出場し、日本との対戦も経験している。

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