
1月1日からスタートした冬の移籍マーケット。欧州各国では2月初頭にクローズされ(まだ動いている国もいくつかあるが)、数多くの選手が新天地へと移っていった。
その中で今回は「冬の移籍で大成功しそうな9名」をご紹介する。
ジェイドン・サンチョ
移籍元:マンチェスター・ユナイテッド
移籍先:ボルシア・ドルトムント
マンチェスター・ユナイテッドは混乱状態にあり、エリック・テン・ハフ監督は選手たちの能力を最大限に引き出すことに苦労している。その不安定な部分の一つが、ジェイドン・サンチョとの関係であった。
サンチョはトレーニングでの取り組みに関してテン・ハフ監督と意見の相違があった。監督が発した記者会見でのコメントにサンチョは公然と反発し、友好的な解決には至らなかった。事実上サンチョはトップチームから追放されていた。
そしてこの冬にローンで古巣のドルトムントに送られたサンチョは、すぐにブンデスリーガで先発出場。2試合で2アシストを記録し、素晴らしいビジネスであることを証明している。
ティモ・ヴェルナー

移籍元:RBライプツィヒ
移籍先:トッテナム・ホットスパー
このドイツ代表選手がプレミアリーグに復帰してくることは、チェルシーのファンにとっては驚きもあったかもしれない。かつてイングランドでは多くのシュートを外し続け、批判を受けていたからだ。
しかし27歳になったヴェルナーがアンジェ・ポステコグルー率いるトッテナム・ホットスパーでプレーすることはなかなかエキサイティングな見通しを感じさせる。攻撃的なスタイルのチームであり、ソン・フンミンの負担をかなり軽減させられる。
それが功を奏するかどうかは時間が経てばわかるが、この獲得がローンであるということも大きい。しかも半年後に買い取りを行うことを決めても、その額は1550万ポンドとかなり安い。
アルマンド・ブロヤ

移籍元:チェルシー
移籍先:フラム
フラムがプレミアリーグに残留できるかどうかという点については、ストライカーが大きなカギになる。ミトロヴィッチがサウジアラビアへと去り、ラウール・ヒメネスが苦戦する中、前線のパワーは明らかに足りていなかった。
今季チェルシーで19試合に出場して2ゴールしか決めていないブロヤであるが、まだ22歳と若く、サウサンプトンにローン移籍していたときには大きなインパクトを残した。
プレミアリーグ22試合を戦って28ゴールしか決めていないという攻撃力不足がフラムの大きな問題点であり、その解決にブロヤは大きな役割を果たすはずだ。
カルヴィン・フィリップス

移籍元:マンチェスター・シティ
移籍先:ウェストハム・ユナイテッド
ジョゼップ・グアルディオラ監督のシステムに全くハマらなかったカルヴィン・フィリップス。移籍金があまりにも高額で、給与もかなりのものだったこともあってなかなか他のクラブに移るのが難しい状況であった。
ただほとんど試合に出ていない状況が続くことは彼のキャリアにとって大きなダメージになると思われていたなか、この冬にはウェストハム・ユナイテッドへと期限付き移籍することになった。
ウェストハム・ユナイテッドはデクラン・ライスをアーセナルに放出してから中盤に厚みが少なくなっており、カルヴィン・フィリップスの加入はかなり大きなものになりそうだ。
ジョーダン・ヘンダーソン

移籍元:アル・イティファク
移籍先:アヤックス
わずか半年でサウジアラビアを去ることになったジョーダン・ヘンダーソン。リヴァプールからスティーヴン・ジェラード率いるアル・イティファクに移籍し、破格の年俸を約束されたものの、その環境には全く馴染むことができなかったという。
そして今回クラブが契約解除に同意し、ヘンダーソンはオランダ・エールディヴィジのアヤックスへと移籍することになった。年俸は6分の1まで下がったというが、それでも彼は家族のためにヨーロッパ復帰を決断したという。
今季の序盤戦で降格圏にまで落ちたアヤックスの問題は、チームがあまりにも若く、勝利のメンタリティが欠けていること。そこにジョーダン・ヘンダーソンという存在が入ることはまさにクリティカルな影響を及ぼす可能性がある。
エリック・ダイアー

移籍元:トッテナム・ホットスパー
移籍先:バイエルン・ミュンヘン
アンジェ・ポステコグルー監督が就任したトッテナム・ホットスパーで戦力外の扱いとなっていたエリック・ダイアー。シーズン前からそれは伝えられていたと報じられているが、夏に移籍先は見つからなかった。
しかしこの冬、バイエルン・ミュンヘンへとローン移籍することが決まった。プレミアリーグで4試合しか出場していなかった彼であるが、友人でもあるハリー・ケインを追ってドイツに渡る。
バイエルンはダヨ・ウパメカノやキミッヒ、ライマーが負傷しており、まだキム・ミンジェとマズラウィも代表チームに合流しているため不在。そこに半年だけでもエリック・ダイアーほどの選手がいてくれることは「救い」でしかない。
ドニー・ファン・デ・ベーク

移籍元:マンチェスター・ユナイテッド
移籍先:アイントラハト・フランクフルト
ついにマンチェスター・ユナイテッドから抜け出す道を見つけたドニー・ファン・デ・ベーク。アヤックスで若くして大ブレイクを果たしたものの、イングランドへの移籍は大失敗としか言いようがない状況になっていた。
恩師でもあるエリック・テン・ハフ監督の就任も助けにはならず、選手としてのキャリアに大きなキズを残してしまった。とはいえまだ26歳と若く、ドイツ・ブンデスリーガでそれを再建させるチャンスを得ることができた。
アイントラハト・フランクフルトにとっても彼の買い取り条項は1400万ユーロと手頃であり、ランダル・コロ・ムアニが昨年高く売れたことを考えれば十分に支払える額だろう。
ガブリエウ・パウリスタ

移籍元:バレンシア
移籍先:アトレティコ・マドリー
かつてアーセナルでプレーしていたことで知られているブラジル人センターバック。イングランドを離れてからはバレンシアに移籍し、6シーズン半に渡ってプレー。キャプテンも務めるなど253試合に出場してきた。ところが、この1月に「契約解除でアトレティコ・マドリーに移籍」という異例の展開になった。
その理由はこうだ。ガブリエウ・パウリスタとバレンシアの契約には「20試合出場したら自動的に1年延長」という条項があった。しかしバレンシアは彼の年俸550万ユーロを支払うことを嫌がり、彼との契約を解除することを選んだのだ。
そのため、アスピリクエタやヒメネスら怪我人が続出したアトレティコ・マドリーは0円で実績あるセンターバックを獲得することに成功したのである。もしガブリエウ・パウリスタが活躍しなかったとしても、アトレティコにとって「うまい」取引だった。
モハメド=アリ・ショー

移籍元:レアル・ソシエダ
移籍先:ニース
アンジェでデビューしたモハメド=アリ・ショーはまさにシンデレラボーイであった。10代でトップチームのレギュラーとなり、鋭いドリブルでリーグ・アンを席捲。左利きで細身のアタッカーはフランスの将来を担うタレントとも期待された。
そして18歳でレアル・ソシエダへと移籍してラ・リーガに挑戦するも、1年目は怪我に苦しめられ、オヤルサバルや久保建英らがいるチームの中でなかなかポジションを確保できずにいた。
そしてこの冬は1000万ユーロでニースへと加入し、いきなり左サイドのスタメンを確保。慣れ親しんだリーグ・アンの舞台で調子を取り戻せば、すぐにその移籍金を超えるほど価値を高めることになるだろう。