ワールドカップ2次予選で北朝鮮をホームに迎えた日本代表。
結果的に1-0という最少スコアでの勝利となったが、決勝点は開始早々の2分に生まれた。
左サイドでボールをキープした上田綺世のヒールパスから、田中碧がクロス。ファーサイドの堂安律が折り返し、南野拓実がボレーを放つもヒットせず。しかしこぼれ球を再び堂安がマイナスへ送り、田中が落ち着いてコースへ流し込んだ。
今年1月のアジアカップは選外となり、期待された冬の移籍もかなわなかった田中。所属のフォルトゥナ・デュッセルドルフで、いまや主力選手となりつつある25歳は試合後に得点シーンをこう振り返っている。
「綺世がディフェンスを2枚引きつけてヒールかな?その前に目が合ったので、あまり顔を出さずにそこで待っていて『来るかな』と思っていたところ、すごく良いパスをくれました。律がファーにいるのは見えていましたし、欲を言えば律が直接決めてくれたら良かったかなとは思いますけど。ああやってこぼれてきて、律がまた折り返してくれたので、あそこに入るマイナスが空いていたなと思っていたので、そういう意味では良いボールをくれたので、決めるだけでした」
田中は左足でクロスを上げたあと、ボールの行方を見守りながらスルスルとゴール前のスペースへ侵入。持ち前のゴールセンスを生かした見事なゴールだった。
また、アシストをした堂安の“視点”も面白い。
「拓実くんが決めてくれるかなと思ったんですけどこぼれてきて。相手のディフェンス陣が下がっているのは分かっていたので、碧がいることは見ていなかったですけど、あそこに落とせば誰かがいるだろうと、信じながら蹴りました」
田中を視界にとらえていたわけではなかったという堂安。
しかし、南野がボレーを放った時点で相手を押し込んだ状態だったため、マイナスのスペースに出せば誰かがいるはず。そういった判断のもとで出されたラストパスだったようだ。
たとえ見えていなくても、何をすればゴールの可能性が高いのか。堂安のクレバーさが感じられる得点シーンでもあった。
先制後は北朝鮮を攻めあぐね、後半にはあわや失点のシーンもあったが、最後は5バックにして難しいゲームをきっちり勝ち切った日本代表。それも田中のゴールがあったからだ。
「やっぱりサッカーはゴールを目指してやることなので、どんな形であれそれがオウンゴールでも、今日の1点目みたいなものであっても、セットプレーでも。ゴールは正義ですしそれはやっぱり評価するべきだと思います。そこは別に全然ネガティブにとらえていないというか、ゴールを取ったこと自体は僕自身もポジティブにとらえています」
試合内容に関して反省の弁を語りつつも、1点の重み、そしてそのゴールを自身が掴んだことに対する自信もうかがわせた田中。
26日のアウェイ北朝鮮戦は開催されるかどうかも未定だが、彼の帰還がこれからのチームにプラスの影響を与えることは間違いなさそうだ。