アーセナルは6月30日、クラブ公式サイト上で、アサヒビールの『アサヒスーパードライ』と公式ビールパートナー契約を長期、結ぶことを発表した。

これにより、今シーズンからアーセナルの本拠地エミレーツ・スタジアムで開催される男子と女子チームの試合において『アサヒスーパードライ』が提供されることとなる。

アサヒビールは、2022年にマンチェスター・シティと公式ビールパートナー契約を結んでいる。

なぜ日本のビール企業がイングランドのサッカーチームでビール・パートナーを結ぶのか?その答えはアサヒビールの世界戦略があった。

なぜ、日本のビール企業がスポンサーに?

アサヒビールの海外戦略は今に始まった話ではない。

2016年に西ヨーロッパ、2017年に中東ヨーロッパのビール事業を買収し、2022年にマンチェスター・シティー、2023年にラグビー・ワールドカップとパートナーを組んでいる。

イベントを通じて知名度をあげ、スーパードライの価値を地道に高めてきたのだ。

日本におけるビール業界は、アサヒ、キリン、サントリー、サッポロの大手4社の寡占業界が続く。アサヒの2023年度の売り上げは2兆7690億円と2位であるが、ビール部門のシェアはキリンと首位争いを毎年繰り広げている。

しかし、日本国内は少子化によって人口が減ると見られ、各社、多角化、国際化を狙っています。今やアサヒは海外比率が50%もあるグローバル企業なのだ。

アサヒのターゲットはヨーロッパ

そして、そのターゲットがオセアニアとヨーロッパとみられている。

ヨーロッパは経済成長を続けていて、高級なプレミアム・ビールという売り上げが上がってきている土地だ。

一方で、ビールというとチャンピオンズリーグのCMでお馴染みだったハイネケン、中南米のコロナ、タイのシンハーなど、サッカーのスポンサーでもおなじみのその土地土地の銘柄がある。

そこでアサヒは、現地のビール会社を次々と買収。ルーマニア、ポーランド、オランダ、チェコのビール会社を買収してきた。

2019年にオーストラリアのビール会社におよそ1兆2千億円を投じて買収、同じくしてイングランドではフラーズ(Fullers)を買収したことで、パブにビールを流す流通網、多種多様なビールを手に入れた。

そして高級なビールとして『アサヒスーパードライ』を高い位置に置いている。値段は日本よりもヨーロッパのほうが数割ほど高い印象だ。

ドイツでもアサヒビールが?

ドイツはヨーロッパきってのビール大国ということもあり、ヴァルシュタイナー、ベックス、クロンバッハーなどの企業が強く、まだイギリスほどアサヒのシェアはないようだ。

それでも、イタリア・ローマの工場で『アサヒスーパードライ』が作られるようになってドイツにも流入するようになってきた。

ドイツではスーパーで売られているビールは非常に安く、500mlの缶、瓶で1ユーロ(約150円代)で購入できる。ビール天国と言われており、水よりもビールが安いというのが実情だ。

一方で、レストランやビアガーデンで飲むビールは値段が各段にあがる(約3ユーロ/500円程)。そこには、プレミアムなビールとしての威厳があるのだ。

パブやスポーツバーではやはり地ビール(クラフトビール)が主に扱われていたりお店が醸造所であったり多岐に渡る。お酒好きには堪らない環境である。

アサヒはシティ・フットボール・グループと提携し、これまで中国、メルボルン、ジローナ、そして、マンチェスター・シティ、横浜とビールパートナーになった。

2023年にはマンチェスター・シティのトレーニング・キット・スポンサーにもなっている。パートナーシップのリリース記事では10000缶のビールをマンチェスター・シティのために準備したという。

日本人選手が当たり前のように海を渡る時代となったが、日本企業もまたグローバルな時代に負けじと戦っている。

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