サッカー元日本代表FWで、現在はドイツ6部FCバサラマインツで監督を務める岡崎慎司氏(39)が、スポーツ報知のインタビューに応じた。W杯3大会を経験している同氏は、来年6月開幕の北中米W杯で世界一を目標に掲げる森保ジャパンの成長ぶりや、自身が挑戦中の監督業での夢を語った。
世界最大のスポーツの祭典が幕を開けるまで1年を切った。日本代表として3大会に出場した岡崎さんは、「W杯優勝」を目指す今の日本サッカーをどう見ているのか。
「僕は3大会に出たけど、なかなか楽しめる状況にならなかった。今は(プレーの)基準が上がっていて、完全に選手が(日本サッカーを)引っ張っている。日本で育って、国外に出て、海外のサッカーに慣れて、次のステップにいくことが確立されてきた。年齢もどんどん若くなっているのが一番大きい。だから、指導者やクラブも『自分たちも海外に行かなきゃいけない』と(選手に)追いついていこうとしている」
現在の日本代表は、ほぼ海外組で構成される。選手たちのチャレンジ精神が、代表強化につながる好循環が生まれている。「今まで海外挑戦してきたOBたちの積み重ねがスタンダードになってきた」。世界に挑み、日本選手の価値を証明した先駆者たちがまいた種が、大きく開花している。
史上初の8強入り以上が期待される森保ジャパンで注目している選手には、7月26日にドイツ1部ボルシアMGへの加入が決まったFW町野修斗(25)を挙げた。J1横浜Mに入団も出場機会なく、J3北九州、J1湘南を経て海外へ。
「結果を出して、着実にステップアップしてきている。この1年をしっかりチームで結果を残せれば、W杯でも結果を出せるストライカーとして躍り出てくると思う」
岡崎さんは10年南アフリカ、18年ロシア大会では16強を経験。一方で最強と呼ばれ、世界一を掲げた14年ブラジル大会では1勝もできずに1次リーグで姿を消した。改めてW杯とは何か。
「常に特別な場所で、どんな大会よりも価値がある。4年に1度、日本の力を証明する時。活躍次第で選手としても、また日本という国がサッカー界でどこの位置いるかが決まる。『もう一度出たい大会は?』と言われると、W杯。そこは揺るがない」
24年に現役引退した岡崎さんは、FCバサラマインツの監督としてドイツでの初シーズンを終えたばかり。6部リーグで5位だった。
「これだけ日本の選手たちが(海外で)挑戦する環境が出てきて『自分が日本で挑戦するのは、挑戦なのか?』と。なんとなく時間が過ぎるのが嫌でドイツに残る選択をしたけど、思った通り、うまくいかなかった。(選手指導では)『こうきたか』とか、『腹立つけどなんとかしなきゃ』とか。自分が成長できる環境にいるって思いながら過ごした」
海外での監督挑戦の先にあるのは、日本代表の監督やスタッフとしてW杯の舞台に戻るためだ。
「自分が戦い続けるというところでは、それが1番の理由」
ユニホームを脱いでも変わることなく、夢に向かって全力で走り続けている。
◆岡崎 慎司(おかざき・しんじ)1986年4月16日、兵庫県生まれ。39歳。滝川二高から2005年にJ1清水入り。11年にドイツ1部シュツットガルトに移籍。同マインツを経て15年夏に英プレミアリーグのレスターに移籍し、15―16季にクラブ初のリーグ優勝に貢献した。欧州4か国でプレーし、24年シントトロイデン(ベルギー)で現役引退。
〇…岡崎氏は、スイスの時計ブランド「NORQAIN(ノルケイン)」のアンバサダーを務めている。6月28日にはイベントに出席して、同社のトビアス・カッファー副社長、ノルケインジャパンの浜鍜健治代表とのトークセッションを実施。2018年に創立されたブランドの歩みと、自身を照らし合わせながら「選手ではたどり着けなかったところを目指したい」と語った。