
[J2第10節、ジェフユナイテッド千葉 1-0 大分トリニータ、4月20日、千葉・フクダ電子アリーナ]
千葉は大分に1-0で勝利し、首位固めの3連勝を飾った。
DF前貴之(たかゆき)は開幕戦以来のリーグ戦先発出場を果たすと、攻守で存在感を発揮。
Jリーグ通算300試合以上に出場した男が明かす新天地での苦労
J2レノファ山口からやって来た仕事人が苦労を明かした。
「試合にこれだけ出られないのは久々でした。コンディションの作り方は試行錯誤しましたし、初めてのチャレンジだった。どのように(コンディションを)上げていくのかという難しさがありました」
落ち着いたプレーでゲームをコントロールした前昨季にJリーグ通算300試合出場(J2第10節時点で313試合)を達成した前。両サイドバックでそん色なくプレーできるユーティリティ性の高さと、チームの戦術をいち早く理解できるサッカーIQで、どの指揮官からも重宝されてきた。
今季より完全移籍を果たした千葉ではMF日高大(まさる)を抑えて、開幕戦のレギュラーを任されると2-0の勝利に貢献。し烈なサイドバック争いに風穴を開けたと思われたが、その後はケガなどの影響もありリーグ戦5試合の途中出場に留まっていた。
新天地で悔しさを味わった背番号15は「自分のプレーを見失わないように意識していた」とスタメン奪取を決意。直近に行われた非公開のトレーニングマッチでは好プレーを披露し、大分戦の先発メンバーに名を連ねた。
前半の立ち上がりから千葉はボールを握り続けるも、相手の5バックに苦戦して得点を奪えず。背番号15は「なかなか(パスの)刺しどころがなかった。
相手の堅守に手を焼いた前だったが、タイミングを見計いながら、『ここぞ』というタイミングでインナーラップ。ボックス前でボールを受けると、果敢にシュートを狙った。

「あそこはもう自分の感覚でした。相手が5枚で引いてくるなら、ミドルシュートが有効だと思った」とサッカーセンスが光った。
この試合で前は両軍で最多のシュート3本を放ったが、惜しくも得点にはならず。それでも後半9分にMFエドゥアルドがボックス外から強烈なミドルシュートを叩き込み、1-0で勝利した。

チームの勝利に貢献した千葉の仕事人は試合後に「(自分も)あれ(エドゥアルドの得点)をできるように練習します」と緊張の糸がほどけた。
「プレッシャーとか不安はありました。チームが連勝しているので、(自分が)パッと試合に出てあまりいいプレーができずに、『結果が得られなかったら』という責任は感じていました。きょうはその上で気持ちも身体も動かしてプレーしようと思ったので、何よりも結果が付いてきてホッとしています」
千葉は次節25日の午後7時にホームでブラウブリッツ秋田と対戦する。

背番号15は「自分が出て勝つのはもちろん、とにかくチームとして勝つことが一番」とした上で、「いつ(試合に)入っても、自分の頭の中の整理と相手の嫌なことをやります。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)