
8月30日に行われたKSLアストエンジカップの抽選会。前回の記事ではをご紹介した。
しかし、この抽選会において発表されたのはKSLアストエンジカップの対戦カードやスケジュールだけではなかった。関西サッカーリーグは今回「KSLエリアパートナー」として3つの企業とタッグを組むことを発表したのだ。
京都府、滋賀県、奈良県は「株式会社コトネットエンジニアリング」。大阪府、和歌山県は「近畿電機株式会社」。そして兵庫県においては「株式会社ラピスネット」。今後はそれぞれの府県で行われる試合に上記のパートナーの名称がつけられ、新たな形で地域との「共創」を行っていくという。
J1から数えて5部にあたる地域リーグは、プレーしている選手のほとんどがアマチュアであり、露出も多くはない。試合もあまりテレビなどマスメディアで放送されることはなく、リーグが独自にYoutubeで配信を行っている状況だ。
しかし、この3社はそのコンペティションとタッグを組むことを選び、関西サッカーリーグのエリアパートナーとなることを決めた。その選択の裏にはどのような理由があるのか?今回はこの「株式会社コトネットエンジニアリング」「近畿電機株式会社」「株式会社ラピスネット」の代表者の方々にお話を伺った。
まずは兵庫県エリアパートナー「株式会社ラピスネット」の光延弘泰社長のインタビューをお送りする。
「パートナー同士の繋がりが広がれば」
ラピスネット代表取締役社長の光延氏(左)と関西サッカーリーグ運営委員長の八木勉さん(右)――今回パートナーとして紹介されましたが、どんな感覚を受けていらっしゃいますか?
「私は昔、関西サッカーリーグで選手としてプレーしていたことがあるんです。私の時代と違って、みんなが上を目指していくという意欲を感じますし、本当に切磋琢磨しているなというのを感じましたね」
――どのようなキッカケでエリアパートナーに?
「きっかけは八木さん(運営委員長)ですね。
――今、関西サッカーリーグにどんな価値を感じていますか?
「もちろんサッカー自体を盛り上げることも重要ですが、当然我々のような企業として支援をするにあたって、それぞれのパートナー同士のビジネスでの繋がりも広げていければと思います。連携を作るためのクロスポイントになればいいなと」
――ちなみに、ラピスネットとはどんな会社ですか?
「関西サッカーリーグのメインスポンサーであるアストエンジさんと同じように、主に通信設備の工事を行っております。エリアとしては兵庫県全体ですね。我々の業種は、まず『安全を第一に』という点が重要です。なので選手のみなさんも怪我のないように、フェアプレーで戦ってもらいたいなと思っています」
――ありがとうございました!
表に出ない会社だからこそ「知ってもらえたら誇りになる」
そして続いてお話を伺ったのは大阪府と和歌山県でエリアパートナーを務める「近畿電機株式会社」の中村彰宏代表取締役社長。

――パートナーになったきっかけを教えて下さい
「我々は『ミライトグループ』(株式会社ミライト・ワンを中心としたグループ)で、みんなで一緒に通信をやっていくという団体の一員なんです。そして私の長男はアストエンジさんにいますので、一緒になにかをやっていこうと。それが数ヶ月前のことですね。そのようないい試みをされているのであれば、我々も一緒にサポートさせていただければなと」
――この抽選会の場で発表されて、いろいろな方々とお話もされましたが、どんな印象ですか?
「スポーツを本気でやってこられた方々は、やはり爽やかな方が多くて、夢があっていいなと思わされましたね。みんなで応援して、夢を持っている方をサポートできる。それこそが一番のパートナーのメリットだと思っています。
――大手のメーカーとは違ったアプローチですね。
「地域の皆さんに知っていただければ、社員にとっての誇りになります。さらに同じサッカーを応援することで一体感も作ることができますし、それが期待できるメリットですね」
――今後関西サッカーリーグに期待するものは?
「私がこの会社に入った時には、関連会社であるNTTのサッカー部の方が何人かいらっしゃったんです。サッカーの情報を頂いたり、練習や試合に送り出したりしていたのを覚えています。今はやや遠くなってしまったので動きが見えにくかったりするのですが、今関西サッカーリーグはYoutubeを使ったりして発信されているところもありますので、それらを使って我々もアピールができたらなと」
――ちなみに近畿電気とはどんな会社ですか?
「和泉市で79年にわたって仕事をしています。昔でいえば公衆電話など、NTTさんの通信機器のメンテナンスや修理をやってきた会社なんです。お客様と直接関わる仕事ではないので、皆様にはあまり馴染みがないのですが、実は裏で活躍させて頂いています。大阪府と和歌山県には7つのチームがありますが、みんな頑張ってサッカーに取り組んでいるので、我々も地域の発展の一躍を担っていきたいと思っています」
――ありがとうございました!
「地域に根ざしている一方、地域が一体にならないと発展しない」
続いてインタビューに来ていただいたのが、京都府、滋賀県、奈良県のエリアパートナーとなった株式会社コトネットエンジニアリングの代表取締役社長を務める人見健司さんだ。

――まずはパートナーになったキッカケを教えて下さい
「八木さんの存在ですね。以前から彼のことは知っておりまして、アストエンジさんとともに取り組みをしていることも聞いており、そこでぜひ我々も話を聞いてみたいなと思いました。関西サッカーリーグは地域に根ざして活性化したいという思いが伝わってきましたし、弊社も『工事で地域を活性化させていく』という気持ちで仕事をしていますから、共感を抱きました」
――これからパートナーとしてどのような価値を作り上げていきたいですか?
「もちろん地域の活性化もありますが、若い選手が必死にスポーツをして頑張っている姿が地域の方々に与えるものはたくさんあります。
――プロスポーツは世の中にたくさんありますが、アマチュアスポーツの価値はどこにあると思いますか?
「地域に根ざしているということですね。そして同時に、本当に地域が一体にならないと発展しない。スポーツを全力で頑張る姿を見ていると、本当にすごいなという感覚を得られますし、感動を与えられます。そのような方を支えたいという思いがありますし、せっかくこのような立場に私がいますので、なんとかその一助になれればなと」
――関西サッカーリーグには今後どのような発展を期待しますか?
「関西でプレーしたいという子どもたちが増えてほしいですね。全員がプロになれるわけではないですが、我々が応援しているチームから素晴らしい選手が出てきたりすると、とても嬉しいことです。そのような未来が待っているように、手助けしながらやっていきたいですね」
――ちなみに、コトネットエンジニアリングとはどのような会社なのか教えて頂いてもよろしいですか?
「弊社は京都、滋賀、奈良を中心にNTTなどの通信インフラ設備構築、および設備の維持をしております。他にも太陽光発電や省エネ化など、環境社会に役立つ事業を進めつつ、企業の困りごとを解決するICT事業なども手掛けております。建設業なので若い方がなかなか入ってくれないところもあるのですが、自分たちが作った街が形として残っていく仕事です。もし興味がある方がいらっしゃいましたら、街の通信インフラを支えながら、ともに関西サッカーリーグを支えましょう」
――ありがとうございました!
「採用に好影響がある」アマチュアスポーツ支援の恩恵
そして、最後は関西サッカーリーグとパートナーシップを結んでから3年目となる株式会社アストエンジの代表取締役社長を務める森山敬之氏にお話を伺った。

――もう3年目になりますね。関西サッカーリーグに関わってからどのような印象を持っていますか?
「先代の社長が結んだパートナーシップですが、7月に私がそれを引き継ぐことになりました。
その関係もあって、毎年学生さんも当社に1~2名来ていただけるようになりました。採用の関係でも御縁が上手く繋がっているんです。会社の中にサッカー部もありますし、スポーツを通して若い人たちと繋がれていることはとても良いことだと思っています」
――関西サッカーリーグとのパートナーシップの中で、どのようなものを今後作り上げていきたいですか?
「スポーツによって、社会に出る一つ前のところで皆さんが人生の経験を積まれている。我々のような会社と学生さんが繋がって、世の中に溶け込んでもらう。その架け橋になれればいいなと思っているんです。
スポーツをやっている人々は、実は競技を通して地に足のついた生き方を学んでいるんです。そのような若い方を応援したいと思っています」
――改めて、アストエンジがどのような会社なのか教えて下さい。
「我々は情報インフラを担っている企業です。携帯電話から光通信まで、世の中を支えています。地味な存在ではありますが、我々がいなければ便利な社会はありません。
――ありがとうございました!
大会の冠パートナーとなっている「株式会社アストエンジ」、そして新たにエリアパートナーとなった「株式会社ラピスネット」「近畿電機株式会社」「株式会社コトネットエンジニアリング」の三社。
アマチュアコンペティションとしての新しい価値を生み出そうとし、日本の地域リーグに変革をもたらそうとしている関西サッカーリーグ。Jリーグ、JFLが飛躍的に経済規模を拡大するなか、どのような動きを見せるのか注目せざるを得ない。それが日本のサッカーの基盤を強化することにもつながるはずだ。