
サッカーにおいて一つのクラブですべてのキャリアを過ごした選手は「ワン・クラブ・マン」と呼ばれ、大きな尊敬を集める存在となる。
しかしその一方、安定した場所を離れたり、新しい国でのプレーを求めたり、年齢に逆らって現役を続けるなど冒険や挑戦に駆られるタイプの選手もいる。
今回は『FourFourTwo』から「サッカー界における究極の旅人プレーヤー」をご紹介する。
モハメド・カロン
国籍:シエラレオネ
所属したクラブ数:16クラブ
シエラレオネ代表で39試合に出場したアフリカのスター選手の一人、モハメド・カロン。非常に興味深いキャリアを送ったストライカーである。
1995年からはイタリア・セリエAのインテルに加入し、ローン移籍と退団を経て2001年に復帰。世界最高クラスのクラブで3シーズンに渡ってスーパーサブ的な存在となった。
その後もモナコやAEKアテネなど様々な国のクラブに所属し、最後は自身が母国シエラレオネに設立した「FCカロン」でプレー。しかも、シエラレオネのU-17代表監督を兼任していた。
アイウトン

国籍:ブラジル
所属したクラブ数:21クラブ
ヴェルダー・ブレーメン時代にドイツ・ブンデスリーガ最高クラスのストライカーとして名を馳せたアイウトン。太めの体型ながらも強靭なパワーと得点感覚でゴールを量産し、2003-04シーズンには得点王に輝きチームを優勝に導いた。その一方でロナウドやロナウジーニョらと同時代だったことでブラジル代表には全く呼ばれなかったことでも有名。
ブレーメンで6シーズンを過ごした以外、彼はあらゆるクラブを1年以内に退団している。1993年にイピランガでデビューしてから所属したチームは21を数えており、中国やウクライナ、オーストリアでのプレー経験もある。
三浦知良

国籍:日本
所属したクラブ数:16クラブ
アジアサッカー界のみならず、世界のレベルでも並外れた伝説的人物である三浦知良。50代になってからもプロ選手としてプレーし続けており、多くの尊敬を集めている。
幼少期にわたったブラジルで才能を開花させ、帰国して創設されたばかりのJリーグでスター選手に成長。
他にもフットサルで日本代表のメンバーになりワールドカップに出場するなど、その活動はまさにサッカーの旅人である。
セバスティアン・アブレウ

国籍:ウルグアイ
所属したクラブ数:32クラブ
「エル・ロコ(狂人)」の愛称を持っているウルグアイの伝説的なストライカーは、2021年に45歳で現役を引退するまで11カ国の32クラブでプレーした。これは前人未到のギネス記録である。
母国でデビューしてからアルゼンチン、ブラジル、メキシコ、スペイン、イスラエル、ギリシャ、エクアドル、パラグアイ、エルサルバドル、チリで数多くのゴールを決めた。
また現役選手でありながら2019年からは指導者を兼任しており、引退後も休むことなく監督として様々なクラブを率いている。まさにサッカーと旅に狂っている「エル・ロコ」だ。
ルッツ・ファイネンシュティール

国籍:ドイツ
所属したクラブ数:26クラブ
サッカー界究極の旅人といえば、ドイツ人GKのルッツ・ファイネンシュティール。彼は決して有名な選手ではないが、アジア・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・オセアニアのすべてでプレーしたという前人未到の記録を持っている。
ドイツU-17代表にも入っていたエリートだったが、冒険心の塊であった彼はマレーシアでプロデビュー。さらにイングランド、南アフリカ、シンガポール、フィンランドと渡り歩いた。
一度ドイツに戻ってからもインドネシアやニュージーランド、カナダ、アルバニア、ブラジルなどで活動し、最後はナミビアで選手兼コーチとしてキャリアを終えている。
そのキャリアの中では八百長容疑で投獄されたり、ウクライナでマフィアに脅迫されて車を盗まれたり、ニュージーランドで泥棒をとっ捕まえて盗まれたものを取り返すという様々な経験をしたとか。
ジェファーソン・ルイス

国籍:イングランド
所属したクラブ数:42クラブ
アマチュアのキャリアも多いことからギネス記録には登録されていないが、1996年にデビューして以来28年のキャリアで51回の移籍をしたという信じられない選手であり、45歳の今もイングランド8部で現役を続けている。
2008年にドミニカ代表で1試合に出場したストライカーは、キャリア通算で876試合に出場。その中で288ゴールを決めるなどコンスタントに成績を残してきた。
決して環境や報酬も恵まれていないなか、すべての困難に逆らい続けてボールを蹴ることを止めない隠れたレジェンドである。