
【J2第15節 RB大宮アルディージャ3-0 ベガルタ仙台、5月10日、NACK5スタジアム大宮】
前節に国立競技場でJ2首位ジェフユナイテッド千葉を破った3位大宮は、ホームで2位仙台と対戦して3-0で勝利。チームは勝点30とし、順位を2位に上げた。
この日は大宮MF谷内田哲平(やちだ・てっぺい)は、攻守のつなぎ役として堅実なプレーを見せ、後半にはチームの3点目となる得点を挙げて勝利に貢献した。
攻守で存在感を放ち、今季初ゴール
J2上位対決は、両チームの選手が激しくぶつかり合う展開となった。大宮は前半に2ゴールを奪い、試合を折り返した。
迎えた後半31分、MF小島幹敏(まさと)がドリブルでエリア内に侵入すると中央へ折り返し、FW豊川雄太がゴール前で潰れ、ファーへ駆け込んだ谷内田がワントラップで飛び込んだ相手DFをかわして冷静にゴール右へ流し込んで試合を決定づけた。
背番号41は「なぜか(ボールを)止められました。自分も疲れていたんですけど、相手も疲れていた。ああいう中では体を動かすより、頭を動かし続けていたら、体が勝手に反応した。なかなか結果を残せていなかったので、またこれで1(得点を)取れたことは自信になります。また次も(得点を)取れるようにやっていきたい」と今季初ゴールを振り返った。
J2第15節仙台戦で今季初ゴールを挙げて喜ぶ谷内田(写真中央、左端)今季は3-4-2-1のツーシャドーの一角で出場する機会が多かった谷内田だが、この日はボランチで先発出場して後半42分までプレー。攻撃と守備のバランサーとしてビルドアップにも積極的に関わり、守備では泥臭くボールを奪うなどして奮闘した。
同選手は「(僕は)守備の選手ではないので、相手も自分のところを狙ってくることは分かっていました。だからこそ、きょうの試合は守備から入ろうと決めていました。
また、ギリギリの局面で体を張って守れた要因について「自分たちにはサポーターがいるので、守れる気はした」とホームに集まった観客の声援が力になったと胸を張った。

試合はこのまま3-0で大宮が快勝し、今季2度目のリーグ戦2連勝を達成した。
ここまでシャドーとボランチで出場している谷内田だが、チームの戦い方が一貫しているため、ポジションにとらわれず、自分のプレーに自信を抱いているという。
「コンディションも良くなっていますし、このチームがどうやって勝つのかは、自分自身の中でも分かってきているつもり。それを続けながら、その中で自分の良さを出せればいいと思います」と、語った大宮の背番号41の表情は、充実感に満ちあふれていた。
自身2季連続昇格へ「基本の部分を全員ができているチームが昇格争いをする」
谷内田は昨季J1京都サンガから当時韓国2部FC安養(アニャン)へ期限付き移籍していた。
リーグデビュー戦で移籍後初ゴールを挙げるなど、安養サポーターに鮮烈な印象を与えた同選手だったが、主力選手がケガから復帰すると、出場機会が激減した。
チームは見事に2部優勝を成し遂げて1部昇格に成功したが、谷内田は最終的にリーグ戦7試合1得点という結果に終わった。

韓国では昇格したチームの中で、出場機会に恵まれない悔しいシーズンを過ごした。それでも昨季の経験が、いまの優勝・昇格争いに生きているという。
「去年いたチームも似ている部分があって、連敗しないことや、押し込まれたら全員で守る基本の部分を全員ができているチームが、こうやって昇格争いをするんじゃないかと思います」
大宮のチャンスメイカーは、記者から『激しいチャージが多い韓国での経験が、きょうのような守備に生きているのでは』と尋ねられると「そうですね。でも、もっとやらないといけない部分があるので、改善しながら成長していきたいと思います」とさらなる進化を約束した。

大宮は次節、今月17日午後2時から藤枝運動公園サッカー場で、藤枝MYFCと対戦する。上位チームとの連戦で勝点6を積み上げた大宮は、このまま勢いに乗ってJ2首位を走る千葉を追撃したい。
自身2季連続の昇格を目指す大宮の背番号41は「アウェイはアウェイなりの難しさがあると思う。また全員でいい準備をしたいと思います」と今季2度目のリーグ戦3連勝に向けて万全を期すと誓った。
千葉の背中は、もうはっきり見えた。日々進化を遂げる大宮のチャンスメイカーは、静かに闘志を燃やしている。
(取材・文 縄手猟、写真 浅野凜太郎)