
サッカー男子の日本代表は、年内のすべての試合を終えた。
今年は16試合を戦って13勝1分2敗(1試合は3-0の不戦勝)。
元旦に行われたタイ戦での大勝に始まり、アジアカップではイラク、イランに敗れる屈辱を味わったものの、そこから持ち直してアジア予選では圧倒的な強さを見せた。
ただその一方で、招集されながら一度も起用されなかった選手もいる。今回はそんな選手たちを確認してみよう。
藤田譲瑠チマ
日本代表:2試合0得点(2022-)
2024年の招集回数:2(10月、11月)
今年のパリ五輪で主将を務めた藤田譲瑠チマ。中盤底の司令塔としてベスト8入りの原動力となった。
大会後9月のシリーズでは呼ばれなかったが、10月のシリーズで2022年のE-1選手権以来およそ2年ぶりにA代表へと復帰した。
ただ、以降の4試合でベンチ入りを果たせたのはオーストラリア代表との試合のみ。この一戦も遠藤航が直前のコンディション不良でメンバー外となったことによるものだ。
遠藤航、守田英正はもちろん田中碧や旗手怜央、メンバー外では川村拓夢や佐野海舟らとの争いに勝たなければならないだけに出場は簡単ではない。
望月ヘンリー海輝

日本代表:0試合0得点(2024-)
2024年の招集回数:2(9月、10月)
今年の話題をさらった町田ゼルビアから日本代表入りしたDF望月ヘンリー海輝。
国士舘大学から町田へ加入して1年目。192cmの長身にして圧倒的なフィジカル能力を備える23歳は、スケールの大きな右サイドバックとして9月シリーズで初招集された。
ただ「完成している選手だと思って招集しているわけではない」と森保一監督が会見で語っていた通り、二度の招集で出場はゼロ。4試合でベンチに入れたのは藤田と同じくオーストラリア戦だけであった。
自身も代表に呼ばれてまだ困惑しており、「何もない状態から『代表選手』と付いたときはやっぱり“起伏”というか難しいものがあった」と語っている。
関根大輝

日本代表:0試合0得点(2024-)
2024年の招集回数:2(10月、11月)
関根はこの1年で最も名前を売った選手の一人といえるだろう。
静岡学園、拓殖大学を経て今年がルーキーイヤー。春先のU-23アジアカップでMVP級の活躍をし、パリ五輪でも存在感を示した。
そして10月、パリ五輪でチームメイトだった高井幸大が負傷離脱したことでA代表に緊急招集され、11月も谷口彰悟のケガにより2か月連続での追加招集となった。
負傷した相手はいずれもセンターバック。関根の本職は右サイドバックだが、187cmと大型でおそらくは3バックも可能との判断だったのだろう。
2か月の間に行われた4試合で一度もベンチ入りを果たせなかったが、「代表に行って守備の意識は変わった」とここからの巻き返しを誓っている。
野澤大志ブランドン

日本代表:0試合0得点(2024-)
2024年の招集回数:2(1月、アジアカップ)
元旦に行われたタイ戦のメンバーに選ばれ、沖縄出身者として3人目となる日本代表となった野澤大志ブランドン。
2024年は飛躍の年となるはずだったが、ちょっと複雑なシーズンとなってしまったかもしれない。
上述のタイ戦では出番がなく、アジアカップのメンバー入りしたものの5試合中4試合はメンバー外に。
またU-23アジア選手権、パリ五輪では小久保玲央ブライアンに次ぐ第2GKとして参加したためほぼ出番なし。代表での離脱が長かったことにより所属するFC東京でのポジションを一時失うことになった。
長友佑都

日本代表:142試合4得点(2008-)
2024年の招集回数:5(3月、6月、9月、10月、11月)
日本代表はアジアカップで圧倒的な優勝候補とあげられたもののベスト8で敗退。
2022年ワールドカップは長友がブラボー旋風を巻き起こし、主将の吉田麻也やGK川島永嗣がメンバーの精神的な部分をケアしていた。しかし大会後にその3人がチームから離れ、精神的な支柱が不在に。
新チームには若く元気な菅原由勢もいたが、アジアカップでは彼自身やや低調なパフォーマンスで毎熊晟矢にポジションを譲っていた。

自身の調子に左右されないチームの盛り上げ役が必要ーーもしかしたら森保監督はそう認識したのかもしれない。
アジアカップ後の今年3月、長友は1年3か月ぶりに電撃復帰。以来、北朝鮮戦で一度だけベンチ入りしたもののそれ以外の8試合すべてでメンバー外となっている。
不屈の38歳が現状の扱いに満足することはないだろうが、日本代表の快進撃は彼の存在によるところも大きいだろう。