2024年5月15日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、米国南部の国境から密入国する中国人が急増していると報じた。

記事は、米国南部国境で2023年以降に中国からの移民が急増しており、広く注目を集めていると紹介。

その多くは、合法的な入国ビザを取得できなかったため、中南米諸国を経由し国境の壁を越えて米国入国を試みるしかなかったとし、夢の新生活を手に入れるというだけのために、途中でスネークヘッド(密航を手引きする犯罪組織)から襲撃される恐怖に加えて、ジャングルの中を進む危険を冒さなければならないことも多いと伝えた。

そして、米国境警備局のデータとして米国に不法入国する中国人の数が2022年の2000人から23年には2万5000人に急増したと伝えるとともに、大量の中国人不法移民の到来が、そこから利益を得ようとする者たちによる産業チェーン構築に拍車をかけているとも指摘した。

一方で、移民たちに善意による支援の手を差し伸べようとする団体や個人もいるとし、その一人として長年米国に亡命しているイスラム教徒の権利活動家マジュ氏を紹介。マジュ氏が近ごろ裁判でさまざまなプレッシャーを感じるとともに、選挙運動に奔走するトランプ前大統領が中国人移民について米国で軍隊をつくりたがっているのではないかと発言したことに困惑していることを明かしたと伝えている。

記事は、AP通信が現在ニューヨークに滞在する中国人移民2人に話を聞いたとし、このうち1人は中国国内のモスク付近で警察とにらみ合った際に殴られる経験をしたため、妻子とともにニューヨークに移住する決意を固めたと明かし、仕事を見つけて税金を納め、自分を受け入れてくれた街、国に恩返しをしたいと考えていることを紹介した。

また、もう1人については今なお困難な状況にあり、ニューヨーク市フラッシング近郊の森に設営されたテントに滞在していると紹介。

自身のSNS上でのつぶやきに対し中国の警察から「お茶に誘われた」(取り調べを行うことを意味する隠語)ことで、米国で合法的な身分証明書を手に入れ新たな人生を送るために歩み出すことを決意したと移民の動機を語ったことを伝えている。(翻訳・編集/川尻)