欧米メディアのソウル特派員の多くは韓国語ができない、と韓国紙が苦言を呈した。英語が使える「黒髪記者」(現地スタッフ)に頼って取材や情報収集、翻訳などをさせているのが実情だとして、「道路標識すら読めない特派員が韓国の政治について記事を書いているとしたら」と疑問を投げ掛けた。

朝鮮日報は米ジョージタウン大訪問研究員を兼ねるワシントン特派員名のコラムで「もし(韓国メディアの)ワシントン駐在の特派員が英語をうまく操れないせいで取材ができず、バイデン大統領に質問できなかったとしたら?」「東京特派員が日本語ができず、グーグルの自動翻訳やパパゴ(韓国ネイバーの翻訳サイト)に頼ってばかりで机に張り付いているだけだったら?」と前置き。欧米メディアのソウル駐在特派員の「素顔」に触れた。

この中では「全員ではない」としながら、「韓国語がほとんどできないケースが大半」と指摘。特派員たちの韓国語は「アンニョンハセヨ(こんにちは)」「コマッスムニダ(ありがとうございます)」「オルマエヨ(いくらですか)」の域を出ないと続けた。

例えば5月9日に開かれた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の記者会見。4人の特派員が質問したが、韓国語で質問できたのは日本メディアの1人だけだった。

ロイター通信のジョシュ・スミス記者は冒頭「アンニョンハシムニカ」(アンニョンハセヨのかしこまった表現)とあいさつしたものの、その後は英語に切り替えて質問した。2番目に登場したAFP通信のキャサリン・バートン記者は、韓国語で一言も話すことなく英語で質問。英BBC放送のジーン・マッケンジー記者も英語で通した。

さらに米国の代表的なニュース専門放送局の本社から派遣されたソウル特派員は、韓国の新聞を渡してもタイトルすら読めないほど、韓国語が全くできなかった。そのためこの放送局は現地スタッフを雇用し、本社の記者よりはるかに低い給料で翻訳、通訳、取材、交渉、動向把握などをさせていた。

英米圏の某有名放送局も全く同じ。

かつてこの放送局の特派員はツイッター(現:X)にたびたび韓国文化を見下すような投稿をして物議を醸していた。ところがこの特派員はソウルに3年以上も駐在したのに離任するまでで韓国語が全くできないままだった。

コラムは「現場の最前線で直接会って質問して話を聞いて、それを文章にするのがジャーナリズムの基本原則」と強調。「通訳者を用意していたとしても、自ら現地の言語でその社会を理解しているかどうかは取材活動に非常に大きな影響を及ぼす」と述べ、「仮に英米圏の特派員たちに無駄な優越感があるのなら、そうした優越感を捨てて、韓国語で自ら南大門市場の商人を取材し、韓国語の新聞を読み、韓国語でテレビやラジオの情報に接すれば、より正確な報道ができるのではないか」と注文を付けた。(編集/日向)