2025年1月26日、環球時報は、「中国の人工知能(AI)モデルがシリコンバレーを震撼(しんかん)させる」と題した海外メディアの報道を紹介する記事を掲載した。
記事は、英フィナンシャル・タイムズの25日付文章を紹介。
また、OpenAIやGoogle DeepMindなど、人間の認知能力に匹敵する推論能力を持つAIモデルの開発で先行してきた米国企業がこれまで開発手法を公表してこなかったのに対し、ディープシークはR1の技術を惜しげもなく公開したと指摘。シリコンバレーではMetaやAnthropicなどの豊富な資源を持つ米国AI企業が技術的優位性を維持できるかを含めて、激しい議論が巻き起こったとしている。

そして、梁氏が2023年設立したディープシークは限られたリソースでAIモデルを構築するための技術革新に注力しており、米国が中国への最先端のNVIDIAチップ輸出を禁止する中で、既存のGPUの計算能力を最大限に活用する方法を見つけ出したと紹介。R1モデルの訓練に投じられた2048個のNVIDIA H800 GPUと約560万ドル(約8億6000万円)というリソースはOpenAIやGoogleが同種モデルを構築する際のコストに比べてはるかに少ないにもかかわらず、ディープシークは6710億パラメータという超巨大モデルの構築に成功したと伝えた。
文章は、ディープシークは商業化よりも研究成果の共有を重視し、外部資金を募らず独自の運営を続けていると紹介。その姿勢は、かつて研究志向だった初期のDeepMindに例えられるとし、中国のAI投資家からは「ディープシークは、研究とエンジニアリングに専念することで非常に競争力のある企業になった」との声が聞かれたと伝えている。さらに、中国には米国よりもはるかに大規模なシステムエンジニアの人材プールが存在しており、計算資源を最も効率的に活用し、より低コストでモデルを訓練・運用する方法を熟知しているとする専門家の見方を紹介した。
文章は一方で「米国の競合企業も停滞しているわけではない」とし、米国企業はNVIDIAの次世代Blackwellチップで構成される超大規模な「クラスター」を構築しており、強力な計算能力を生み出すことで、中国の競合企業との性能差を再び広げる可能性があるとも指摘した。(編集・翻訳/川尻)