中国メディアの環球時報は29日、海外の自動車メーカーに人員削減の波が押し寄せる中、中国メーカーの拡張の勢いが目立つとする記事を掲載した。

記事はまず、販売台数で世界2位のフォルクスワーゲン(VW)が昨年12月、2030年までに3万5000人の人員を削減する計画を発表したこと、VW傘下のポルシェとアウディもそれぞれ29年までにドイツで約1900人と約7500人を削減する方針を示したこと、さらに、ボルボ、フォード、ステランティス、ゼネラルモーターズ、日産なども続々と人員削減計画を発表したことを取り上げた。

さらに、こうした人員削減の波は、完成車メーカーだけでなく、ボッシュやシェフラーグループなどの部品メーカーやコンチネンタルなどのタイヤメーカーにも押し寄せていると伝えた。

一方で、中国メーカーについては「それに逆らうように拡張し、世界の自動車産業の勢力構造を変えつつある」とし、比亜迪(BYD)、吉利(Geely)、長城(Great Wall)、長安(Changan)、賽力斯(Seres)などの伝統的なメーカーだけでなく、「新勢力」と呼ばれる蔚来(NIO)、小鵬(XPeng)、理想(Li Auto)、零跑(Leapmotor)、極氪(ZEEKR)の従業員数はいずれも23年比で増加していると伝えた。

記事は「世界の自動車産業は深刻な調整局面を迎えている。海外の自動車メーカーとサプライヤーの人員削減の波は、ここ数年の電動化転換に伴う巨額投資により利益圧迫を受けた企業の段階的な縮小というだけでなく、中国メーカーの台頭、市場競争の激化、国際貿易政策の変化など多重の要因が重なった結果でもある。特に米国が仕掛けた新たな貿易摩擦により、世界の自動車メーカーの経営の不確実性が増している」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)

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