絶滅危惧種で「植物界のジャイアントパンダ」と呼ばれる峨眉単性モクレン(Magnolia emeiensis)がこのほど、中国南西部の峨眉山で数十年ぶりに開花しました。同植物の生長した植物体が野外復帰地点で開花したのは、これが初めてです。
峨眉単性モクレンは1940年代に峨眉山で初めて発見されましたが、その後半世紀近く姿を消しており、1987年になってようやく再発見されました。自然繁殖には受粉の難しさや種子の発芽率の低さなどの難題があるため、その野生個体群は希少で、中国の国家一級重点保護野生植物に指定されており、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストでは深刻な危機(CR)にある絶滅危惧種に指定されています。
今回開花した雄株は峨眉山の息心所という野外復帰地点で栽培されており、2015年に播種(はしゅ)され、2018年に移植されて自然に戻された種苗です。
四川省自然資源科学研究院の余道平研究員によると、2018年に自然に戻された苗は計80株でしたが、今回開花したのはわずか1株のみです。30年間の緊急保護が大きな成果を上げたことを示しており、同種の生命科学のさらなる研究に重要なデータを提供するとのことです。
四川省では2016年から峨眉単性モクレンの「帰郷」計画がスタートし、科学研究チームは峨眉山の入念に選んだ五つの実験場所に900株の苗を植えました。モニタリングによると、復帰した苗の成長は良く、生育率は92%に達しました。(提供/CRI)