中国科学技術発展戦略研究院は21日、浦江イノベーションフォーラムで「中国地域科学技術イノベーション評価報告書2025」を発表した。同報告書は2015年から公表されている。

2025年の報告書によると、中国の「総合科学技術イノベーション水準」は80.20ポイントで、前年より1.77ポイント上昇した。「科学技術イノベーションへの投資」「科学技術イノベーションのアウトプット」「ハイテク産業」はいずれも上昇傾向を続け、経済・社会発展を効果的に促進している。科技日報が伝えた。

中国科学技術発展戦略研究院党委員会の劉冬梅(リウ・ドンメイ)書記は、「上海、北京、江蘇、広東、浙江、天津の6省・直轄市が総合科学技術イノベーション水準で全国をリードしており、科学技術イノベーションセンターなどイノベーション拠点の波及的・けん引的作用が持続的に強まり、地域協同イノベーションの発展の成果が一層顕在化している。多層的で特色ある地域イノベーションシステムが一層整備され、新たな質の生産力の形成や科学技術強国の建設を力強く支えている」と指摘する。

「中国地域科学技術イノベーション評価報告書2025」は、「科学技術イノベーション環境」「科学技術イノベーションへの投資」「科学技術イノベーションのアウトプット」「ハイテク産業」「イノベーションによる発展促進」の五つの側面から、「質の高い発展」「新たな質の生産力の育成」「科学技術強国の建設」という国の全体的要求を総合的に考慮して、評価指標システムを修正・改善。12の2級指標と49の3級指標を設定し、全国31の省・自治区・直轄市(香港・マカオ・台湾を除く)の総合科学技術イノベーション水準を評価した。

報告書によると、近年、全国の科学技術イノベーションへの投資・アウトプット規模は拡大を続け、イノベーション環境は顕著に最適化され、成果は大幅に向上した。地域別の総合科学技術イノベーション水準のポイントに基づき、全国31地域を次の三つの階層に区分した。

【第1階層】全国平均(80.20ポイント)を上回る地域:上海、北京、江蘇、広東、浙江、天津

【第2階層】全国平均を下回るが50ポイントを上回る地域:湖北、重慶、安徽、陝西、四川など22地域

【第3階層】50ポイント以下の地域:新疆、青海、チベット

注目すべきは、京津冀(北京・天津・河北)の協同イノベーション発展が持続的に強化されている点だ。北京は総合科学技術イノベーション水準で全国2位にあり、科学技術イノベーション環境は全国首位を維持している。天津は総合6位で、1万人当たりの科学技術論文数、1万人当たりの雇用者の特許出願数、労働生産性はいずれも全国3位。

河北は総合19位となっている。

劉書記は「長江デルタ地域は日増しに中国の科学技術イノベーションの『リーダー』となりつつあり、長江デルタ科学技術イノベーション共同体の形成が加速し、地域科学技術イノベーションの総合的実力を着実に強めている」と指摘。劉書記によると、上海は総合順位が上昇して全国1位となり、GDP1万元(約20万円)当たりの技術国際収入と労働生産性はいずれも全国首位。江蘇は総合順位が3位に上昇し、企業のR&D担当者が社会全体のR&D担当者に占める割合で全国1位。浙江は総合順位が5位に上昇、安徽は総合順位9位を維持した。

「粤港澳大湾区」(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、マカオ両特別行政区によって構成される都市クラスター)に目を向けると、イノベーション発展の原動力は依然として強い。広東は総合科学技術イノベーション水準で全国4位。「イノベーションによる発展促進」では全国首位、「科学技術イノベーションへの投資」では全国2位、「科学技術イノベーションのアウトプット」では全国4位を維持した。

報告書は、長江経済ベルトにおけるイノベーション能力の向上、黄河流域における科学技術イノベーション環境の継続的改善も指摘。長江経済ベルト沿線では「国家自主イノベーションモデル区」が10カ所設立され、沿線11省・直轄市の科学技術イノベーション水準が不断に向上。黄河流域の9省・自治区は沿線都市の科学技術イノベーション資源の協力・共有や科学技術の成果の地域を跨ぐ実用化・応用を共同で推進し、黄河流域の質の高い発展に一層強力な原動力をもたらしており、同地域の中では陝西が総合10位に位置している。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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