公明党が自民党との連立から離脱し、26年に及び関係に終止符が打たれた。離脱をめぐり、日本ネットでは「中国の指示」との臆測が拡散。

公明党の斉藤鉄夫代表は「完全な虚情報」と否定し、中国メディアは「意図的なプロパガンダで反中キャンペーン」との専門家の見方を紹介した。

中国と公明党との関係は1964年の党結成までさかのぼる。結党大会で採択した活動方針で、日中国交正常化を提唱した。68年には支持母体・創価学会の池田大作会長(当時)が講演で「アジアの繁栄と世界の平和のため、最も重要な要として中国との国交正常化、中国の国連参加、貿易促進に全力を傾注すべきだ」と主張。この発言は日中双方で注目を集めた。

ニクソン米大統領が初めて中国大陸の土を踏んだ72年、公明党代表団は5月と7月の2回、中国へ渡った。7月の訪問時、竹入義勝委員長(同)は、田中角栄首相(同)の事実上の「特使」として周恩来首相(同)と会談。毛沢東主席(同)の同意を得た中国側の方針として、最大の懸案の一つである戦争賠償請求権を放棄するとの言質を取った。こうした会談記録を手書きでまとめたのが、いわゆる「竹入メモ」だ。

帰国した竹入氏は田中首相にメモを手渡し、成果を報告。日米安全保障体制に言及しないとの周首相の意向も伝えられ、手応えを感じた田中首相は訪中を決断し、同年9月の日中共同声明へとつながった。その後も公明党は「飲水思源」(井戸を掘った人のことを忘れない)として日中関係で大きな役割を果たしてきた。

「中国指示説」の根拠とされたのは、連立離脱の4日前、10月6日の斉藤代表と中国の呉江浩駐日大使との面会だ。ネット番組に出演した斉藤代表は国会議員会館で呉大使と面会したことは認めたものの、「事実的根拠は一切ない」と指示を否定した。

「中国指示説」について、中国網は共産党機関紙・人民日報系の環球時報の取材に応じた黒竜江省社会科学院北東アジア研究所の笪志剛研究員の見解を報道。笪研究員は「こうしたデマは日本国内の政治的な対立の深さに起因し、外交問題と結び付けるのは意図的なプロパガンダだ」と分析し、公明党が長年中国との友好を主張し関係改善を推進してきた経緯から、「日本極右勢力が連立離脱を利用して反中キャンペーンを展開している」と指摘した。

さらに「虚情報のまん延防止には公明党の明確な反論が不可欠だ」と強調。「公明党は平和と民生を重んじ、連立政権下で自民党の右傾化を効果的に抑制し、中日関係の健全な発展に貢献してきた。中国との交流は正常な往来であり、中日友好促進の立場は公明党の政治理念に基づくもので、『外国癒着』とレッテル貼りされるべきではない」と語った。(編集/日向)

編集部おすすめ