北海道や東北地方を中心に相次ぐクマによる被害は中国でも関心を集めている。在日中国大使館は訪日する旅行者らに出没情報に気を配り、単独行動などを避けるよう注意を喚起。
北京ラジオ・テレビ局の微博(ウィーチャット)アカウント「北京時間」は10月末、4月からの今年度に日本でクマに襲われて死亡した人がすでに10人に達し、10月だけでも78人がクマに襲われて負傷し、中でも秋田県が35人で全国最多になっていると紹介した。
中国大使館は微信の公式アカウントに注意情報を掲載した。日本のメディア報道を引用し、日本各地の山林地帯や住宅地などでクマによる襲撃が発生して死傷者が出ていると指摘。また、東京都や千葉県でもイノシシの出没情報が伝えられているとした。
中国人旅行者らに対しては旅行前に野生動物の出没情報を確認して関連地域を避け、遭遇の可能性を下げるほか、「クマ出没注意」といった警告標識のある場所からは離れることを勧めた。単独での登山を避けることや、クマよけスプレーなどを携帯することも呼び掛けた。
一方、東方新報によると、中国西部の青海チベット高原には約5000頭のヒグマが生息。家畜を襲う事案は6000件を超え、家屋の破壊は1000件余、人を死傷させたトラブルも14件を数える。
特に被害が多いのは、新疆ウイグル自治区に隣接する青海省だ。今年3月18日には青海省玉樹チベット族自治州称多県でヒグマが家畜のヤク2頭を殺害し、警察が出動。ヒグマは「獲物」のヤクを手放そうとしなかったが、警察の4時間にわたる「追い出し作戦」により、ようやく立ち去った。
人が動物の生活環境を破壊してきた状況を改善した結果、今度は人間の暮らしに危険が迫る事態に発展。地元政府は牧畜民や自然保護団体と協力し、人と野生動物の「すみ分け」対策を進めている。
さらに中国メディアは、チベット自治区の人気観光地の寺院に巨大なクマが出没、観光客を威嚇する姿に危険を感じた撮影者が慌てて距離を取る映像を報じた。寺院は標高4000メートルを超える山頂に建ち、周辺には珍しい野生動物が生息している。
クマはツキノワグマの仲間の「ヒマラヤグマ」とみられ、子グマのころからすみ着いているという。今回の映像では人が近付いても逃げるどころか威嚇。寺院は看板を立てて注意を促した。(編集/日向)











