「漢服を着てステージに上がり、『在下李白』と一言告げると、ステージ下から万雷の拍手が沸き起こった」。西安工程大学漢服研究院の呉俊強(ウー・ジュンチアン)アートディレクターは忘れられない感動のひとときとしてこのエピソードに触れ、「これは私が俳優として夢見た舞台のエンディングではなく、漢服の普及拡大の道を歩き始めるスタート地点となった」と話した。

呉さんの俳優から「漢服文化を伝える使者」への転向は、同大が2023年に漢服研究院を設立したことによるところが大きい。同研究院は大学の繊維や服装・アートデザイン分野の学科が持つ優位性をよりどころに、漢・唐時代の服飾品の研究や伝統的儀礼の復元に焦点を当てて、多くの実物の復元やデジタル化による復元のプロジェクトを成功させてきた。

「千年の衣服」を現代に融合させる西安の若者―中国

こうした文化伝承を深く掘り下げる研究は、00後(2000年代生まれ)の若い呉さんを引きつけ、その活躍の場はステージ上からバックステージへと変わった。同研究院が立ち上げた漢服芸術団とファッションデザインチームには、呉さんのような青年が少なくない。

00後のファッションデザイナーの王依婷(ワン・イーティン)さんもその一人だ。「最初は漢服が大好きだったから服装デザインを選んだ。今では、この研究院で夢中になれることができていて、自分はなんて幸せなんだろうと思う」と話す。

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呉さんと王さんは、「より多くの人に漢服に関心を持ってもらう」、「より多くの人に漢服を着てもらう」ために、それぞれに探求の道を歩んでいる。呉さんは、「私たちはこれまでに招待を受けてオーストラリア、日本、カザフスタンなどで漢服の交流イベントやショーを行った。漢服デザインコンテストを開催した時には、マレーシアと米国のデザイナーから作品の応募があった。ここからわかる通り、漢服は中国国内の『同袍(同胞)』の間だけでなく、ますます多くの海外の友人たちの間でも漢服文化がより深く理解されるようになっている」と話した。

同研究院のデザインディレクターの李夢可(リー・モンコー)さんは、「学生はショーの準備と漢服の制作を通じて、資料をじっくり読み込み、実践の中で伝統文化をめぐる深いアイデンティティーを形成してきた。

私たちは11月22日を『漢服で出かける日』とし、10年続けてイベントを開催してきた。今後、若い世代の力によって、漢服が特別な日の特別な服装でなく、日常的に着るものになり、1000年以上の歴史を持つこの衣服が現代の生活に本当の意味で融合して、伝統文化の生き生きとした伝承が実現することを願っている」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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