シンガポールのローレンス・ウォン首相は19日、同国で開催されたブルームバーグ新興経済フォーラムの晩餐会に出席し、日本の高市早苗首相の台湾に関する発言によって日中関係が緊張したことについての考えを述べた。ウォン首相は、日本が地域安全保障においてより重要な役割を果たすことを支持すると表明した上で、歴史についての固定概念は捨てるべきとの考えを示した。

中国を念頭に置いての発言と理解できる。香港メディアの香港01が伝えた。

ウォン首相は、シンガポールと他の東南アジア諸国は日本が地域でより重要な役割を担うことを支持すると述べた。さらに、日本が担う役割には安全保障の最前線も含まれ、一層の安定を促進するためと説明した。ウォン首相はまた、日中両国は互いに重要な貿易相手であるにもかかわらず、領土問題、戦争の歴史、日米同盟のために関係が複雑になっていると指摘し、「私は両国がこれら非常に複雑な問題を解決する方法を見出すことを望む。東南アジア諸国はすでに日本とそれを成し遂げている。東南アジア諸国の我々は歴史を脇に置き、前進し続けている」と述べた。

ウォン首相は、日本の首相高市早苗の「台湾有事」発言についての直接の論評はしなかったが、「日本はむしろ中国との関係を安定させようとしているように見える。事態をエスカレートさせようとしているのではない」ととの見方を示し、さらに「中国も同じ態度を保つことを望む。たとえ意見の相違があっても、共存し協力することは可能だ」と述べた。

ウォン首相は日本について改めて、「東南アジアで最も信頼される貿易相手の一つであり、シンガポールおよび東南アジア諸国は、日本が地域でより重要な役割を担うことも支持している」と強調した。そして、日本の役割には安全保障分野も含まれ、この地域に一定の安定をもたらすものだとの考えを示した。

ウォン首相は米中関係について、両国間には依然として対抗関係と相互の猜疑心が存在しているが、最近の交流によってもたらされた「一時的休戦」と防護柵は安定維持にとって極めて重要と考えると述べた。また、米国は「一つの中国政策」を維持しており、米国が中国政府の「レッドライン」を本当に踏み越えるような事態が起きない限り、台湾海峡で戦争が勃発する可能性は低いとの考えを示した。(翻訳・編集/如月隼人)

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