中国メディア・観察者網の投稿プラットフォームに24日、「なぜわれわれは『日本製品ボイコット』をもう口にしなくなったのか」と題する文章が寄せられた。

この文章は、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受けた日中関係の悪化を取り上げたもので、文章の筆者は「今回の対日闘争の中で日本製品ボイコットという声がほとんど聞かれないことに気が付いたか」と友人から質問されたのだという。

文章は友人のこの指摘を「確かにその通りだ」と認め、「個人の考え」と前置きしてから「ボイコットの声が上がらないのは中国人がより理性的になった、あるいは自信をより強めたことを示している」と言及。また、これについて、「単純にボイコットを呼び掛けても決定的な効果を得られず、逆に仕事などで日本製品に関わる同胞にダメージが及ぶ恐れがある。人々は『外国製品の使用イコール愛国心がない』という単純で狭量なロジックをすでに超越している」と論じた。

文章はさらに、「今回、人々がボイコットを口にしないことにはより重要な理由があると考える」と記し、それは過去数十年の間に日中の経済競争力と産業優位性が逆転して中国ブランドがより多くの業界で「国産代替」を実現したことだと言及。「日系ブランドを含む外国ブランドはすでに絶対的多数の中国人の日常消費において主導的地位を有していない。つまり、われわれの日常生活にはボイコットできる、あるいはボイコットに値する日本製品がほとんど存在しないということだ」とも指摘した。

文章では、「キヤノンのカメラ2台を除くと(文章の筆者の)自宅に日系ブランドの製品はほとんどない」という身近な情報の他、中国自動車市場における日系ブランドの状況が「2025年の中国の乗用車販売台数は2500万台前後と見込まれているが、日系ブランド全体の販売台数はすでに300万台を下回り、市場シェアはピーク時の約24%から現在の約11%に下がった」などと記されている。

一方、中国には単一ブランドだけでこの販売規模に達するブランドが少なくとも四つあり、それは年間販売台数500万~550万台前後の比亜迪(BYD)、吉利(270万~300万台)、奇瑞(260万~280万台)、長安(250万~270万台)なのだという。

文章はまた、「自動車以外では無印良品やユニクロ、日立のエレベーターなどが中国で比較的知られているが、一般消費者が必ずしもこれらブランドに接するとは限らない。特に地方都市や農村部ではなおさらだ」「二十数年前に多くの中国人にとって極めてよく知られたソニー、東芝、パナソニック(旧・松下電器)などだが、今の中国の大衆消費市場では存在感が低下している」とし、こうした現象の背景には日中の産業優位性が過去10~20年の間に転地が天地がひっくり返るレベルの変化を見せたことがあると論じた。

この点について文章は、「かつて日本は鉄鋼、自動車、造船、家電、消費者向け電子機器などの分野で圧倒的地位を占め、中国を含む世界市場を席巻した。だが、こうした主要産業における日本の地位は先に韓国企業、今は中国企業から厳しい挑戦を受けている」と言及。

「国家間の競争が最後に行きつくのは科学技術と産業の競争だ。日本はインターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)などで中国に後れを取っている」とも論じ、「今、世界的に有名な日本のインターネット企業はなく、世界的影響力を持つ日本発の大規模言語モデルも存在しない。これこそが日本の危機であり、日本に向き合うわれわれの最大のよりどころだ」との考えを示した。

文章は最後に「今日のわれわれは日本製品だけでなく、米国や英国、韓国などの製品についてもボイコットをほとんど言わなくなった」と述べてから「結局のところそれは中国の産業、中国のブランドが台頭し、国産代替の流れが止められないからだ」と記し、「中国の一般消費者の間で外国ブランドの可視度と影響力が下がり続ける中、いわゆるボイコットは完全に必要がなくなった」「これは巨大な歴史的進歩であり、中国の真の実力を示すものだ」と論じた。(翻訳・編集/野谷)

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