北京日報などによると、中国を訪れる外国人観光客が2024年以降急増し、消費水準も向上している。欧米からの観光客の割合が顕著に拡大し、米国人観光客の支出額は前年比50%増、フランス人観光客の支出額は同160%増と大幅に伸びた。
背景にはビザ手続きの簡素化、国際航空便の再開、外国人対応のキャッシュレス決済整備、中国社会への関心回復などがある。この訪中ブームがもたらす影響は単なる観光収入の回復にとどまらない。中国では今、外国人観光客の急増が経済、社会、国際認知、外交の各分野に連鎖的な変化を引き起こしている。
外国人観光客の増加は宿泊、交通、文化施設、飲食、小売といった都市型サービス業の拡大を促している。さらに、桂林や雲南省、張家界といった地方都市への観光も増え、観光支出は「都市中心型」から「地方分散型」へと広がりつつある。観光業は都市インフラ改善、景観整備、公共交通の多言語化など、社会サービスの国際標準化を加速させる契機となっている。
中国を訪れる外国人にとって、最大の障壁は決済だった。中国ではモバイル決済が普及している一方、国外決済サービスの対応は限定的だった。最近では、外国人向けモバイル決済登録やオンライン手続きが簡素化され、観光客はスマホ一つでほぼ全ての支払いを完結できるようになった。これは単なる利便性の向上ではなく、中国のデジタル経済が国内向けから国際向けへ拡張する試験場ともいえる。
これまで外国人観光客は北京や上海、広州など大都市に集中していた。現在は成都、西安、桂林、重慶といった文化・自然資源の豊かな都市が注目され、地方都市のブランド力向上につながっている。
海外メディアの中国社会や政治に関する報道による抽象的な中国像と異なり、実際に訪問した旅行者の体験はリアルだ。治安が良い、都市が清潔で近代的、デジタル生活が便利、市民が親切など、実感に基づく評価は情報発信力の高い個人による口コミとして広がり、従来の外交や報道の枠を超えた影響力を持つ。
外国人観光客の増加により、交通案内や施設の多言語化、ホテルや飲食店の外国語教育、公共サービス窓口の外国人向け整備など、制度やサービスの国際化が進んでいる。
観光客は中国と政治的摩擦のある国からも来る。しかし、彼らが帰国後に発信するのは政治ではなく観光体験だ。この民間レベルの認知改善は外交関係における緩衝材として機能する可能性がある。観光客を通じた直接的な接触は国際的な誤解や偏見を和らげる重要な要素となる。
サービス産業の活性化やデジタル経済の国際化、地方都市のブランド力向上、社会システムのグローバル対応、民間外交の活性化などが期待できる。また、観光業のみならず、都市インフラ、経済構造、国際認知、外交に至るまで広範な影響を及ぼす社会構造の変化を促す。
中国旅行ブームは、中国の地方都市までもが世界と接触し、中国を再認識するプロセスを象徴している。観光収入だけでなく、その背後にある社会や経済、国際的効果に注目することが、これからの中国の動向を理解する上で不可欠となる。











