2025年12月29日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、25年に大きく揺れた日中関係を振り返る記事を掲載した。
記事は、石破茂政権から高市早苗政権への政権交代を機に大きく変化した日中関係を「先暖後寒」と表現した上で、前半と後半を対比的に振り返った。
まず、石破政権期を「一時的な融和期」と定義し、石破氏が日中国交正常化を主導した田中角栄氏の路線を継承しており、歴史問題でも対話を重視する立場だったため、中国側も肯定的に評価していたと解説。3月の外相会談では20項目のコンセンサスが形成され、6月には中国が日本産水産物の輸入制限を一部解除するなど、経済・観光の両面で交流が順調に進展していたと伝えた。
一方で、高市氏が10月に首相に就任すると、憲法改正による「国防軍」創設や靖国神社参拝を主張する右派保守層の代表であること、また「台湾有事は日本有事」という安倍元首相の主張を強く支持していることから中国が警戒感を示し、関係急転のきっかけになったことを指摘。特に、10月末のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の際に台湾の林信義(リン・シンイー)総統府資政と会話を交わしたこと、11月の国会答弁で台湾有事を「存立危機事態」と想定する発言を行ったことが両国関係の決定的な分水嶺となり、中国が日本への渡航自粛要請などの対抗措置やレーダー照射などの軍事行動に出て、政治・民間交流が全面的に停滞したと紹介した。
記事は、日中関係が急激に悪化し、短期的な回復が望めない「新氷河期」に入った背景として、中国が圧力を強めるほど日本国内で高市氏への支持が高まるという「負の循環」が形成されていることを指摘。日本国内では、経済面でドイツやインドに追い抜かれる中での焦りやいらだち、給与の伸び悩みや物価高に対する政府への不満の転嫁、観光地にあふれかえる外国人観光客への反感、そして中国の巨大な経済・軍事力の強い圧迫感といった要素によりナショナリズムや排外主義が助長され、ますます高市氏の支持基盤が強固になりつつあると論じた。(編集・翻訳/川尻)











