2025年12月15日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、高市早苗首相の台湾有事発言に端を発する日中関係の冷え込みが続く中、日本が核兵器保有の可能性を考える可能性について有識者が言及したことを報じた。

記事はテンプル大学日本校現代アジア研究所のロバート・デュジャリック所長がRFIのインタビューに応じた際に語った内容を紹介した。

デュジャリック所長はまず、米国による「核の傘」に対する信頼が揺らぎつつあり、台湾有事が発生した際に米国が「第3次世界大戦を引き起こすに値しない」と判断して傍観姿勢を示した場合など、日本国内で安全保障の不確実性に対する懸念が強まりつつあるとの見方を示した。

次に、日中関係が冷え込む中で、中国が周辺海域での軍事的な活動を日常化し、さらに活発化させているほか、中国政府が日本を「危険」と称して自国民に渡航を控えるよう要請していることに言及。日本の世論は他国ほど民族主義に敏感ではなく、大規模なデモや抗議活動は行われていないとした上で、中国政府の情報は「誤っている」ものの、すでに観光業に一定の影響を生み始めていると伝えた。

また、高市首相による発言は「日本が実際に攻撃を受けるか生存を脅かされた時にのみ軍を行使するという従来の枠組みを脱するものではない」と説明しつつ、中国が今回強硬な姿勢を示していることについて、米中間の敵意を減らして合意に至る筋道が見える中で日本を孤立させようとしている可能性があるとの考えを示した。

このほか、台湾危機が韓国にとって破滅的な結果をもたらすリスクがあるとも言及。駐韓米軍基地の転用問題、中国・日本との密接な経済関係、さらには北朝鮮と隣接しているという条件下で、韓国は日本よりも難しい選択を迫られており、現実を直視せず回避する「ダチョウ政策」を取らざるを得ないと評した。

デュジャリック所長は、日本や韓国による原子力潜水艦の保有はコストやインフラの面から現時点では合理的ではないとの結論が出ていると紹介する一方で、現在の国際情勢は両国に核兵器保有の可能性を検討させる要因になっているとも指摘した。(編集・翻訳/川尻)

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