高市早苗首相の「台湾有事」発言後、中国との関係が緊迫する中、共産党系紙は「日本の攻撃的な軍事化が加速」と非難した。さらに第1次世界大戦後、ヒットラーが台頭したドイツを引き合いに「敗戦国の再武装が再演」として、対日批判のトーンを一段と強めた。

中国網が紹介した共産党機関紙・人民日報系の環球時報の記事によると、軍事専門家の張軍社氏は「日本は現在、攻撃的武器装備の開発・配備を露骨に推し進めている。これは平和憲法の専守防衛の原則に著しく反し、ポツダム宣言が明確に定めた日本再武装禁止の規定にも著しく反する」と述べた。記事は「近年の日本の武器装備状況を見れば、現在の日本政府の『攻撃的』な動きが明らかだ」とした。

具体例としたのは第5世代戦闘機F35−Bを搭載した護衛艦の「いずも」と「かが」。「ヘリコプター空母から準戦闘空母にアップグレードされており、完全に攻撃的武器となる。日本は世界最大の通常潜水艦『たいげい型』を複数開発しており、これも防御的武器とみなしにくい」と続けた。

記事は「日本は既存の12式地対艦誘導弾の射程を拡大し、1000キロ以上の射程を持つ極超音速ミサイルと巡航ミサイルを開発し、米国から『トマホーク』巡航ミサイルを輸入している」とも言及。「これらの行為は第2次大戦の侵略国かつ敗戦国としての日本がポツダム宣言を完全に無視し、『先制攻撃能力』を発展させていることを示している」とやり玉に挙げた。

米ニュースサイト「USNI News」の記事も紹介。「11月17日、日本が開発中の極超音速ミサイルシステムの試験配備を実施した」とも付け加えた。

一方、国際戦略学者で中国現代国際関係研究院研究員の楊霄氏は「第1次大戦後のドイツによる発展の流れと21世紀以降の高市首相を含む日本の数人の首相による軍事的主張を比較すれば、景気停滞―安保不安―軍事突破という類似した道筋をたどっていることが明らかだ」と断じた。

楊氏は「この100年を超えた類似性は偶然ではなく、その背後には同じ核心的な論理が存在する」と分析。

「第1次大戦後のドイツと1990年代以降の日本は深刻な債務問題に直面していた。ドイツは戦争債券で経済を刺激しようとしたが、日本は国債を発行して膨大な防衛予算を賄おうとしている」と論評した。

その上で「右翼政治勢力の台頭と戦略的自立への渇望は日本の軍備拡張を推進する重要な『エンジン』となっている」と指摘。「第1次大戦後のドイツのナチスにせよ、日本の小泉純一郎、安倍晋三、そして現在の高市首相にせよ、みんな戦後体制の束縛の打破を主張する保守勢力の代表者だ」と糾弾した。(編集/日向)

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