台湾では今年、通年の出生数が11万人を下回って過去最低水準になる見通しだ。中国メディアの参考消息は、根本的原因は民衆の間で「安全感の喪失」が発生していることと論じる記事を発表した。
台湾での少子化は、人口構造についての課題から、長期的な発展と安全に関わる重大な危機へと変化しつつある。現在の政策の大半は、住宅価格、賃料水準、育児リソースに焦点を絞っており、補助金や手当を通じて出産意欲の改善を試みるものだ。しかし、手当が加算され続けているにもかかわらず、出生数は低下し続けている。
2000年以降の出生数の変化は、社会全体の安全に関する雰囲気と出産意欲の間に強い相関関係があることを示している。台湾での2000年の出生数は約30万5000人だったが、03年には約22万7000人に減少し、08年には20万人を割り込んだ。
2000年5月から08年5月までの台湾の指導者は民進党の陳水扁総統だった。この時期には中台の政治関係が緊張し、将来の戦争リスクに対する社会の不安が顕著に高まり、一方で出生数は加速的に低下する傾向を示した。
08年5月から16年5月までは、国民党の馬英九総統の時代だった。中台関係は09年から15年にかけて比較的安定した。出生数はおおむね19万から21万人の間を維持した。このことは、安全リスクへの不安が低い状況下では、出生率が確かに一定の落ち着きを取り戻すことを示している。16年以降の出生数の急速な低下は、安全に対する見方がいかに重要であるかを改めて浮き彫りにした。
出産に関する意思決定は、長期的な社会状況を考慮しての選択だ。多くの台湾の若い世代にとって、出産するかどうかは自らの経済状態についての単純な計算によるのではなく、将来20、30年にわたる生活環境への全体的な判断に基づく。兵役期間の延長、戦争に備えるための議論、防空演習、そして戦争リスクが公的な議論の一部になるにつれ、社会全体の「先行き不透明感」は強まった。
少子化対策が仮に福祉の枠内にとどまるのであれば、問題の核心に触れることは難しい。出生数の変化は経済状況を反映するだけでなく、将来の安全と安定に対する集団的な予測を反映する。政策設計が短期的な補助金に着目するだけで、全体的な安全感の喪失に対処できなければ、その成果は当然ながら限定的になる。戦争リスクを低減させ、社会が将来に対する予見可能性を再構築することこそが、少子化傾向の緩和に可能性をもたらす。(翻訳・編集/如月隼人)











