独メディアのドイチェ・ヴェレ(中国語版)は22日、台湾メディア・鏡報による「中国、意図的に対日衝突を強める」との論評記事を紹介した。

鏡報の記事は「高市早苗首相による台湾有事をめぐる答弁が、長年積み重なってきた導火線に火を付けたかのように見えるが、構造的な観点から見れば、一連の出来事はむしろ中国が意図的に高圧的な態度をつくり出したものに近く、その目的は衝突を引き起こすことではなく、来年の米中首脳会談を前に交渉カードを最大化することにある」との見方を示した。

そして、「中国は厳しい言葉遣いをしているにもかかわらず、全体の熱量としては依然、戦争勃発の瀬戸際にはほど遠い。理由は単純で、中国は日本との直接衝突がもたらす経済的リスクを負うことはできず、また、日米同盟と正面から対峙するという戦略の結果にも耐えられないからである」と指摘。「さらに重要なのは、米中は来年4月にトランプ大統領の訪中、その後の習近平(シー・ジンピン)国家主席の訪米を予定しており、これは中国が交渉可能な環境を維持する必要があることを意味している」と論じた。

また、「日本の立場から見ても、同様の抑制が読み取れる」と言及。「日本は中国を強く批判し、対抗はするが、不可逆的な軍事行動にまでエスカレートさせることはない。日本は本当に危険なのは中国の軍事的な威嚇行為そのものではなく、それによって日米が不必要にエスカレートした行動に出た場合、逆に中国に流れを主導されてしまうことであると理解している。高市氏の発言が発端ではあったものの、その後の姿勢は日本が一貫して示してきた『緊張はあるが制御を失わず、警戒はしても性急に動かない』というものである」と述べた。

同記事は「現在の日中の対峙は衝突へ一直線に向かうものではなく、政治的なコントロールをめぐる綱引きである」とし、「日中双方がパフォーマンスを行っているが、いずれも『やりすぎてはいけない』ことを分かっている」との見方を示した。(翻訳・編集/北田)

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