独メディアのドイチェ・ヴェレ(中国語版)は22日、台湾メディア・風伝媒による「北京(中国政府)、再び『琉球カード』を切る――歴史叙事下の外交攻防」との論評記事を紹介した。
風伝媒の記事は「高市早苗首相による台湾有事をめぐる国会答弁に反発した中国が一連の対抗措置を行っており、その中には近ごろ集中的に打ち出されている『琉球(沖縄)地位未定論』も含まれている」と指摘した。
その上で、「サンフランシスコ平和条約および1972年の日米『沖縄返還協定』によって日本の沖縄に対する主権と行政管轄権は明確にされており、現在に至るまで米国が沖縄に大規模な軍事的プレゼンスを維持していることから、(中国が)国際法理の面でこの枠組みを揺るがすのは容易ではない」と指摘。一方で、「琉球の人々の歴史的な苦難や、数十年にわたる反米軍基地に対する積年の恨みが現実であることも否定できない。こうした背景から、中国政府による『琉球カード』には三つの機能がある」と分析した。
一つ目は「植民地支配による加害の歴史的負債を日本にもう一つ加えることで道徳的優位に立ち、『先住民の自決』という自然法の論理(法律以前の正義)を用いて現行の条約の正当性を弱めること」だとした。
二つ目は「西太平洋で次第に力を失いつつある米国の反応をさらに探ること」だとし、「特に現在の米国の上層部は学識に乏しく大衆に迎合しがちな者たちであり、外交シンクタンクのレベルも冷戦期に比べて大きく低下している上に、その研究成果が意思決定層にまで届いていない可能性がある」と指摘した。
三つ目は「台湾カードが使い古された状況の中で、中国政府が(国民の)感情を高ぶらせ、かつ制御可能な新しい論点を必要としていること」だとし、「国家成立以前の冊封・朝貢といった概念を改めて持ち出し、古代の中国と琉球の関係におけるポジティブな物語を強調することで、大衆の思考を古代の朝貢体制へと誘導する狙いもある」と論じた。
同記事は一方で、「中国政府による対米、対日戦略の基本方針は一貫して『やり合っても(均衡は)破らず』であり、今回の琉球カードもまた『戦略的はったり』にすぎない」との見方を示した。(翻訳・編集/北田)











