中国メディアの環球時報はこのほど、オーストラリアのニュースメディア、ザ・カンバセーションに掲載された「中国のドリアンブームがこの熱帯フルーツを外交の道具に変える」とする記事を紹介した。筆者はスウェーデンのルンド大学の東アジア・東南アジア研究員、ミン・ガオ氏とタビタ・ローゼンダル氏。
記事はまず、ドリアンについて「独特の味わいで、賛否両論があることで知られ、誰もが好むフルーツではない」と紹介した。
そして、明代の航海者である鄭和(1371~1433)に同行して今のマレーシアに当たる地域を訪れた通訳官が旅行記でドリアンを「腐った牛肉のような臭いのする臭い果物」と表現したことに触れ、「それから6世紀を経て、この熱帯フルーツは中国の日常生活にすっかり溶け込んでいる。中国はドリアンの世界最大の輸入国であり、世界の需要の約95%を占めている。2024年の輸入額は過去最高の約70億ドル(約1兆920億円)に達した」と伝えた。
記事によると、世界のドリアンの大半が生産されている東南アジア各国の政府は、その輸出を政治的、経済的影響力の手段として利用している。長年にわたり、中国に最高級のドリアンを贈ることで、友好関係を育もうと努めてきた。1975年にはタイのククリット・プラモート首相が中国・北京を訪問した際、200個のドリアンを中国の指導者に贈呈した。2024年にはマレーシアのイブラヒム国王が中国を公式訪問した際、高級ドリアン2箱を中国の指導者に贈呈した。
記事によると、ドリアンは東南アジア諸国と中国の友好の象徴にとどまらない。中国のドリアンに対する巨大な需要は、地域全体の経済成長を後押しし、貧しかった農業地域を繁栄の地へと変貌させた。24年にニューヨーク・タイムズのインタビューを受けたマレーシアのドリアン農家、エリック・チャン氏によると、ドリアンの中国向け販売による収入が同氏が住む町を一変させた。ドリアン農家は家を木造からレンガ造りに再建することができ、子どもたちを海外の大学に送る余裕ができたという。
記事は「東南アジア諸国もまた、中国のドリアン需要を利用して経済関係を強化してきた」と指摘。その例として、ベトナムではドリアン輸出が他の国産農産物の中国市場へのアクセスを開拓したと評価されていることや、マレーシアのアフマド・ザヒド・ハミディ副首相がドリアン輸出を中国からの投資誘致の手段として捉えていると公言したことなどを挙げた。
また「中国にとってドリアン貿易はより広範な戦略の一環だ」とし、中国の現指導者が一貫して自国の食料安全保障を守らなければならないと強調してきたことや、中国の食料輸入の多様化を目的とした投資と貿易協定の新たなネットワークが研究者らに「食のシルクロード」と呼ばれていることを紹介した。
記事は「中国市場の成長が続く中、東南アジア諸国は、不安定な世界経済におけるサプライチェーンへの外国からの規制の強化や不確実性にも備える必要がある。これらの国々にとって今後の課題は、中国のドリアン需要の恩恵を享受しつつ、自国の産業の拡大をコントロールしていくことになるだろう」と指摘した。(翻訳・編集/柳川)











